【感想】自省録

マルクス・アウレーリウス, 神谷美恵子 / 岩波文庫
(156件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
81
35
18
3
4

ブクログレビュー

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  • 漢

    自省録とあるだけに、著者が考えたこと感じたことをメモのように綴ったものであり、他人に向けたものというよりかは自分に向けたものという印象だった。彼の禁欲的で寡黙そうな性格が見て取れて面白かった。
    もし自分が著者だったらこういった自分の思想を書き留めたメモを世にさらされたら恥ずかしくてたまらないと思う笑

    内容としては、いわゆるストア派の思想をさまざまな比喩でもって書き記している。
    ストア派の思想についてよく知らず、当初は、人の運命は全て最初から決まっている、といった後ろ向きなものであまり好かないなと思っていたが、共感できる、心に響く内容がそれなりにあり、現代の自分達にとっても役に立ちそうであった。

    全ては宇宙の法則に従っており、宇宙がより良くなるために万物は動く。それゆえに人間のなすことや、この世界で起こるあらゆることに悪いものはない。だから人のなすことにいちいち腹を立てたり、死を恐れたり、悲劇に悲しむのはナンセンスだ。それに他人の言動や世の中で起こることは変えられないが、それに対する自分の心の反応は変えることができる。自分の考え方次第で世界をどうにでも変えられるのだ。

    上記のような嫌なことをとるに足らぬものと考えるためには、そのような物事を細かく構成要素に分解し、それぞれ分析することで、それが大したことでないと実感することである。
    例えば嫌な人がいればその人と話し、その人の思想、考えを知ることである。またそこで自分の考えに相手を引き込むのもよい。

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    投稿日:2024.03.31

  • miniknife

    miniknife

    2024.2.26 読了
    通勤のお伴に
    註釈で行きつ戻りつ同解釈の章を繰り返すことで、3〜4周回読んだ感じがある。
    それぞれに心に留まる章があると思うが、何より現皇帝がこれらの言霊を胸に施政を行っていたということが驚きだ。
    特に心に刺さった章は、
    第11章八、第3章七、第8章47

    今後の一生で、何度か読み返す本
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    投稿日:2024.03.10

  • uniso

    uniso

    思想はエピクテトスの影響を受けていると言われている通り、自由意志を以って悪徳を排除せよという主張が繰り返される。本書では指導理性という用語が頻繁に使われている。エピクテトスのような冗長な表現は少なく大変読みやすい。
    皇帝としては内政・外政ともに超多忙で、ストレスも相当なものだったはず。エピクロス派であれば避けるべきと言われる状況だっただろう。しかし彼はストア派の徒であり、公への奉仕が善という価値観で生きている。皇帝ゆえ受けるストレス、お追従への自惚れ、平穏な暮らしへの憧れ等を振り払うべく、内省が繰り返される。
    また宇宙から見れば人間なんてどれほど小さい存在か、と言う視点も繰り返される。人間の一生は短く、死んでしまえば皆同じ。死は当然のこととして受け入れ、現在にフォーカスして生きること。
    現代人が読んでもハッとさせられる主張や表現に満ちている名著だと思う。
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    投稿日:2024.02.17

  • 祥

    皇帝かつ哲学者という歴史上(解説によれば唯一)非常に稀有な人、マルクス・アウレーリウスが折に触れて書いた手記なのだそうだ。誰かの目に触れることを念頭に置いていないので、つらつら「他人のことなんかに嘴を挟まず、自分が、今、善く生きることに集中しとけ」的なことが書いてあるかと思えば、急にキャッチコピーのような一文が書かれていることもある。「宇宙即変化。人生即主観」は諸行無常、色即是空みたいで面白い。

    何度も似たようなことが書いてあると、「この人は本当は、他人からとやかく言われたくないんだろうな」「つまらないことで大騒ぎしたり、見栄を張ったり、怒ったりする人たちが周りにいてうんざりしちゃったりして、あーまたつまんない事で今日も腹を立てちゃったよ、とか思ったんだろうな」とか、凡人の私は、ついつい邪推してしまう。多分、違うだろうけど。きっと、立派な人だったんだろうけど。でも本当に自分の身についている生き方なら、こんなに何度も似たようなことを繰り返し書くだろうか。こんなふうに本当は生きたいのにな……という心の表れだとしたら。

    一番好きな部分は第10巻の16
    「善い人間のあり方如何について論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ」
    確かに、口や頭だけ動かしてないで、行動にしないと意味ないな、と笑ってしまった。行動が伴う生き方をしたい。
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    投稿日:2024.02.15

  • saya

    saya

    このレビューはネタバレを含みます

    人に読ませるために書かれたものではないので、日記状で箇条書きのような形なのが
    細切れで流れのある書物ではない為読みづらく感じるところはある。
    逆に比較的さくっと読めるという利点でもある。


    以下抜粋メモ(多少の簡略化あり)

    公益を目的とするのでないかぎり、他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな

    あたかも一万年も生きるかのように行動するな。

    君の肉体がこの人生にへこたれないのに、魂のほうが先にへこたれるとは恥ずかしいことだ。
    手など体の一部を切り取られて、残りの肢体から少し離れたところに横たわっている。起ってくる事柄をいやがったり、他の人たちから別になったり、非社会的な行動を取ったりする者は、それと同じようなことを自分にたいしてするわけである。君は自然による統一の外へ放り出されてしまったのだ。君は生まれつきその一部分だった。ところが現在は自分で自分を切り離してしまったのだ。ただし君は再び自分を全体の統一にもどすことが許されている。
    不正は不敬虔である。なぜならば宇宙の自然は理性的動物を相互のためにこしらえ、彼らがそれぞれの価値に応じて互いに益し合うようにしたのであって、決して互いに害し合うようにはこしらえなかったのである。嘘つきもまた同じ神にたいする不敬虔である。

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    投稿日:2024.01.19

  • Jeni

    Jeni

    まだ途中だが、太古の人間が考えていることを、本という形で現代まで語り継がれていることが改めて有り難く思った。

    投稿日:2024.01.16

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