【感想】3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―

赤坂憲雄 / 新潮選書
(6件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • shihohkan

    shihohkan

    このレビューはネタバレを含みます

         ―2023.03.12.読了

    防潮堤を作っても津波がそれを乗り越えてくる可能性は高い。
    それがわかっていて、なぜ復興と称して巨大な防潮堤を造るのか。
    今、被災地を歩いていて眼に入ってくるのはコンクリートばかり。
    公共事業だらけだ。コンクリートのインフラ整備に大量のお金が流れている。
    結局、大手ゼネコンや大企業が復興予算としてつぎ込まれたお金を、そのまま東京に回収していくシステムの中ですべてが動いている。
    ハウスメーカーや、除染に関わるゼネコン、巨大な防潮堤を作る建設会社、それぞれがみんな同じ構造の中で、被災地をむさぼっているようにしか見えない。

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    投稿日:2023.03.12

  • raizox

    raizox

    かなりのページをさいて野蒜(東松島市)の話アリ。そして意外にも「潟環境を再生するプロセスがあっても良いのではないか」というのが締めくくり。主にiPadを持ち歩いて書かれた文書だそうです。

    投稿日:2018.10.09

  • 100manaco

    100manaco

    やっぱり赤坂憲雄と相場英雄を組み合わせさせてみたい。と、つい考えてしまう。東北の「外」から東北と関わる、その場所からなにがしかの言葉を発信する行為。あ、宇都宮裕三さんもだ。

    投稿日:2014.03.30

  • 人生≒本×Snow Man

    人生≒本×Snow Man

    前半の「新章東北学」が素晴らしい。著者はご自分のことを中途半端なフィールドワーカーと言うが、それは専門職だからこそ言いうる。その謙遜、ある意味での沈黙こそが本書を豊穣なものにしている。

    後半は、民俗学がベース。前半との重複も散見される。

    ・そこで見たこと、感じたこと、考えたことを起点にして、これからの表現がはじまるはず。
    ・時給300円の仕事場。もの作りの拠点の現実。
    ・原発から自然エネルギーへの転換は、東京一極集中の中央集権的なシステムを地域が主役となる地域分権型のシステムへ変えることにつながっている。
    ・「までい」。汚染の中にというのではなくて、この困難な状況のなかに踏みとどまって、覚悟を決めて、すべてを引き受けようとしている。
    ・分断のラインは幻想的。グラデーションの中に無理やり裂け目をいれて、あちらとこちらを分断する。
    ・犠牲者の2/3が60才以上の高齢者だった。
    ・世代間の対立。個と家、ムラ。
    ・「どんな発現にも敬意を持って耳を傾けよう」
    ・一本の線で自然と人間を分けられるという建築や土木の手法は間違いだった。
    ・所有と入会。新しい公共のモデル。
    ・「大丈夫だ、きっと立ち直るから」
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    投稿日:2013.06.19

  • 語落

    語落

    非常に読みやすい文体で書かれていて、さらっと読めます。

    時々胸につまるような体験者の記録が書かれている。
    時が流れるにつれて、薄れていく被災地の記憶は、風化ではなく浄化で
    あるべきだという一文に気を惹かれた。
    浄化の意味で忘れていくことは、決して罪ではない。
    被災地に限らず、誰かを喪った体験を持つすべての人に、
    訴えるものがある本だと思いました。
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    投稿日:2013.04.28

  • shoji1217

    shoji1217

     東北学の赤坂先生の被災地をめぐる軽いエッセイ。

     ときどき光る言葉あり。

    (1)この泥の海に回帰した干拓地をいかに復興するか。誰もが描く水田への復旧のシナリオには、すでにリアリティが失われていることを、あきらかにしておく必要がある。(p195)

    (2)民族芸能はなぜこれほどまでに素早い復興をとげることになったのか。おそらく、東北の夏の祭りや民族芸能が、多くは鎮魂、供養、そして厄払いをテーマとしていることと深いかかわりがあるにちがいない。(p160)

    (3)被災地の現実はこの国の未来図です。(p66)

     復興に苦しむ東北のことは、いつか全国でもっと高齢化が進み経済力が衰退している日本が直面する課題だと思って取り組もう。
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    投稿日:2012.10.09

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