【感想】黒い福音

松本清張 / 新潮社
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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8
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ブクログレビュー

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  • ばあチャル

    ばあチャル

    再読。ノンフィクション・ミステリー。
    戦後という日本が国際的に弱い立場の時代、キリスト教宗教集団の名に隠れて、救援物資の横流し、麻薬の密輸の犯罪が行われ、あげくに殺人事件も隠されようとする。
    翻弄され殺されたのは、そのころ憧れの職業スチュワーデスの女性。殺したのは若い神父。
    こういう昭和時代の黒い部分を、描かせたら一品の清張節をふたたび満喫。
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    投稿日:2024.05.27

  • raga-movie

    raga-movie

    犯罪はどこで道を誤れば至るのか。聖人君子ではない神父もまた人として道を見誤る。裏社会にも通じる圧力は時に政治や世間体へと影響する。真実を突き止められずに終幕する未解決事件、悔恨が日常の営みに溶け込んでいく。忘却へと流される被害者の無念が私たちの心にひっそりと宿した時に変えよう変わろうという声となることを望む。変えなければならないのは世間よりも先に私たちなのだ。続きを読む

    投稿日:2021.03.04

  • minerva-48

    minerva-48

    昭和34年に実際に起こった「スチュワーデス殺人事件:英国海外航空の現役スチュワーデス:武川知子さん(27歳)が川の畔で死亡しているのが発見。解剖の結果、他殺と断定されて、捜査が始まる。遡上に上ったのは、武川さんが通っていた都内杉並区にあるカソリック教会のベルギー人神父。結局、神父の帰国によって未解決のまま。」を素材とした作品が本書。続きを読む

    投稿日:2019.10.19

  • マサユキ

    マサユキ

    ☆☆☆2019年2月レビュー☆☆☆


    松本清張の小説からは「昭和」を感じる。この作品は実際に昭和34年に起きたスチュワーデス殺人事件を題材に描かれた小説である。
    グリエルモ教会は「布教」の名のもとに、密輸、支援物資の横流しで大きな金銭的利益を得ていた。「密輸」を生業とするランチャスター氏と深い関係を持ち、それがスチュワーデス殺人事件に繋がる。
    直接の実行犯はトルベック神父であるが、彼もまた追い込まれて罪を犯したという意味では「被害者」ともいえる。殺人を犯すまでに追い込まれたトルベック神父があまりにも憐れだ。恋人である生田世津子を自ら手にかけるその精神的苦痛が、読んでいた痛いほど伝わってきた。
    新聞記者と刑事のやり取りや、人々の生活描写から時代を感じることもでき、最後までスラスラ読めた。
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    投稿日:2019.02.12

  • こむそーや

    こむそーや

    実際にあった殺人事件を元に、事実を推測し物語にしたもの。結構分厚く、持参のブックカバーに入らなかった。それだけに読みごたえはあるが、難しいと思うことなく時間を忘れて読み進めた。

    あまり推理もの等を読まない身としては偏見として、警察は悪役に回るものなのかなと思っていたけどこの話はそうではなかった。寧ろ日本の警察の力❨勿論権力のことではない❩に期待をかけていたような感じさえ受ける。教会側は教会側として、初めから詐欺だとかなんだとするというのではなく本気で布教するなら国の法律を犯してもよいというところに基づいているところもなんとなく歯切れの悪いところ❨※これは誉め言葉です❩。

    構成としても江戸川乱歩の初期作品のように、実際の犯行を先に書き後から明かしていくというのもよかった。
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    投稿日:2018.04.03

  • たにぐち

    たにぐち

    ある日本人スチュワーデスの殺人事件を追ううちに、教会の闇物資や麻薬取引にも事件と関係があることがわかってくる。事件を追う警察や新聞社だが、教会の閉鎖的な慣習と戦後間もない日本の立場の弱さが、犯人逮捕の道を閉ざしていく。実際に日本で起きた事件をもとに描かれた小説。信仰の名の下に、教会のためなら善悪の判断もつかなくなってしまった神父たち。神父は悪いことをしないという前提のもと、擁護する信者たち。何かがおかしいのにそこがわかっていないその感覚。わたしが宗教に何となく苦手感を持っている理由がそこにあるような気がする。続きを読む

    投稿日:2017.02.06

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