【感想】運命の人(二)

山崎豊子 / 文春文庫
(52件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
10
23
9
3
0

ブクログレビュー

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  • 海外おやじ

    海外おやじ

    このレビューはネタバレを含みます

    いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

    ・・・
    第一巻では、特ダネ記者としてぶいぶい言わせる弓成が、外交官や政治家に食い込み、情報を取ってくる様子をビビッドに描写しています。

    第二巻では、外務省からの情報漏洩につき、三木に続き弓成も逮捕され、彼らへの取り調べや尋問、弁護士とのやり取り、会社の弓成へのサポート、そして起訴・裁判の様子が描かれます。

    ・・・
    もっとも印象的なのはやはり弓成と通じていた三木の独白でしょうか。
    弓成と肉体関係を結び、そのことを病身の夫にバラすとゆすらされた末の情報漏洩とする三木の独白。これは第一巻での三木と弓成との仲睦まじさとは正反対のトーンです。真実は分かりませんが、本作では三木は魔性の女として描かれていることになります。

    ・・・
    また、弓成家、特に奥様の心痛もまた印象的なところです。
    今でいうところサレ女、そしてマスコミを通じての世間の関心は事をしでかした夫よりも家を守る妻に集中します。家柄はどうだとか、子どもたちはどうだとか。その呻吟する様子は実に痛ましいばかりです。

    ・・・
    そして最後の外務省の秘密主義。
    検察の尋問にしらを切りとおす外務官僚のに対して、飽くまで批判的に筆者は描いています。

    ・・・
    第二巻も、歴史の振り返りとしてのみならず、議論のネタも多いものでありました。
    公務員の守秘義務について、また家庭の維持とワークライフバランス(女性の過程でのありかた)等、一言でいえば昭和、ですが、それ以外にも考えるべきイシューがあるなあと感じました。

    歴史、政治、外交、ジャーナリズム、ワークライフバランス等に関心のかる方にはお勧めできる作品であると思います。

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    投稿日:2023.08.13

  • にしど

    にしど

    新聞記者弓長が公文書漏洩問題で告発されてしまう。逮捕、起訴され離婚の危機にも立たされてしまう第二巻。全4巻の作品だが山崎豊子さん作品にしては1冊のボリュームが少なめで読みやすい。

    投稿日:2023.07.10

  • 43street

    43street

    第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。
    どうやって機密情報を入手したかがミソ。
    やっぱり、この主人公は好きになれない。
    感情移入できないです。

    けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子は流石。
    三巻、四巻、まだ入手してないんだよなぁ。
    ってか、もう発売されたんだろうか?
    買って来なきゃ。
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    投稿日:2023.05.01

  • MASIA

    MASIA

    国家公務員法違反で逮捕された、弓成亮太と三木昭子。

    国家権力と『知る権利』を全面に推し出すジャーナリズムとの対決。

    そして、弓成と三木昭子とのスキャンダルが明らかになる…

    世論は一転し、弓成は窮地に…
    弓成の妻・由里子はスキャンダル記事に惑わされる…

    弓成と昭子の関係が明らかになる…
    が、若干の違和感が残る…
    昭子が嘘をついているのか…
    検察が操作しているのか…

    初公判が始まる。

    弓成は巨大な国家権力に葬りさられようとしているのか…



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    投稿日:2023.01.22

  • ひゃっほう

    ひゃっほう

    2巻では、いよいよ裁判へ。

    政府の徹底した秘密主義ととぼけっぷりは、現代と変わらない印象です。
    一方で、主人公・弓成の家庭の状況にも触れており、
    特に妻の心理描写についてはさすが同じ女性、リアルで共感できる内容でした。

    1巻では読者にも伏せられていた事実が明らかになったり、2巻の最後に初登場の人物が現れたりと作者の凄さに感嘆します。

    ますます続きが楽しみです。
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    投稿日:2022.10.17

  • 太極堂

    太極堂

    あまりにも悪役が悪いと異論が差し挟みづらくなる。冷静な意見を言おうとすると、「そんなのは敵を利する行為だ」と。知る権利キャンペーンが張られるなか、その雰囲気に違和感を覚える記者、そこで語られるクリーンハンドの原則、その後出てくるのが両被告の密通だった。

    今ロシアがウクライナに攻め込んでいる。力に物を言わせ、一方的に現状を変更しようとする行為は到底許されるものではないが、徹底抗戦一辺倒で異論が許されない感じに何となく違和感があって、身につまされた。
    続きを読む

    投稿日:2022.03.27

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