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澁澤龍彦 / 河出文庫 (24件のレビュー)
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zasetu
『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています…。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。 澁澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔は、澁澤龍彦という匠にしか建てられぬものでしょう。 個人的お気に入りは、やっぱり『狐媚記』ですね。続きを読む
投稿日:2022.08.24
kuroinohos
『ねむり姫』リーダビリティはよい。ポニーで田舎者を馬鹿にするのがなんか 『狐媚記』狐の好物ってさうなのね。(原典読んで「澁澤作品の方が」と言へるレヴェルの筈) 『ぼろんじ』澁澤先生みとこーもんくらゐは…見てたってどっかに書いてあった筈 『夢ちがえ』 琵琶湖の畔の話なのね。(田楽を舞ふ異形のなんぞが鎌倉でどうたら話があるさうなのだが先生の地元シリーズに入らない) 『画美人』へそー 『きらら姫』おさるスーツと、欲望に弱いキャラがそれを叶へて「あぁ、俺がナニしたあれが」と言ふのであったと言ふのが、衝撃。しかもタイムトラベルをするではないか。で先生の地元シリーズの壱。続きを読む
投稿日:2021.10.20
yamada3desu
2008年10月8日~9日。 面白い。 そして凄く切ない。 無償の思いの美しさと残酷さに心が震えます。
投稿日:2018.01.06
深川夏眠
しばしのインターバルを経てTasso再読祭再開。 様々な典籍に材を取った幻想時代劇、全6編。 何度読んでも味わい深く、しみじみ面白い。 眠りに落ちたまま年を取らなくなった珠名姫と 異母兄つむじ丸の物…語「ねむり姫」や、 望楼に幽閉された万奈子姫の悲恋「夢ちがえ」が 殊の外、切ないが、 もう一人の姫こと「きらら姫」が 遂に正体不詳で終わるところにニヤリとさせられる。 以下、多少の余談なぞ。 「ぼろんじ」(虚無僧の意)において、 主人公の兄を振武軍に導き入れたとされる 澁澤成一郎(1838-1912)は 明治以降、幼名に復して澁沢喜作と名乗った実業家で、 日本資本主義の父と呼ばれる澁澤栄一の従兄であり、 作者の親類にも当たる。 「夢ちがえ」の「箱の蓋を持ちあげてみると」の条(p.178)では、 つい、泉鏡花「天守物語」 朱の盤の登場シーン(これは汁が出ました)を連想。 「画美人」の、 ガラス鉢の金魚に情事を見られている気がする……云々は、 作者の初期短編「撲滅の賦」のヴァリアントだろうか。 江戸の大工の倅・音吉が 鎌倉時代へ時間旅行する「きらら姫」。 彼は地震で倒壊した日蓮上人の草庵を建て直すのだが、 日蓮の弟子・日興が「伯耆房」の名を賜り、 日蓮と共に身延山に入った経歴が、 鳥取の地名である「伯耆」を苗字として名乗る人々が 山梨県の身延町に存在するという謎に迫る鍵ではないか…… と愚考する。続きを読む
投稿日:2017.11.24
葎花
現実から、ひょいっとはみ出してとける。不思議と現実のはざまを語る。そんな短篇集だと思う。上るのではなく潜るのに近いけれど、手引きがあるので溺れずに済む。ただ、その手引きがどんなもので、どこへぼくたち…を連れて行くのかを考えはじめるとすこし怖くなる。グロテスクが道中にあるような、白骨を横目に潜っていくような、感覚。初期短篇選や唐草物語より、語り口が軽妙な気が、なんとなく。 2017.8.不明.続きを読む
投稿日:2017.10.07
七誌
時代劇ものって読みやすかったっけみたいな本です。 内容は落語の左甚五郎の、題が出てこない。話のようで すね。
投稿日:2016.02.17
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