【感想】明治天皇(1)

山岡荘八 / 山岡荘八歴史文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 2.7
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ブクログレビュー

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  • 天須次郎

    天須次郎

    読んだ本 明治天皇(1) 山岡荘八 20231017

     山岡荘八歴史文庫もこの明治天皇全6巻でコンプリート。中学生の時に織田信長を読んだのが最初で、足掛け40年。吉川英治も読破したし、読み終わったときには何か感慨深いものを得るのだろうか。多分得ないな。
     まず第1巻は、明治天皇が産まれるまで。まだペリーも来ていない頃で、ここから物語を始めるのかという感じ。山岡荘八は幕末を描いても、徳川びいきのところがあって、特に260年の太平の世を、家康が幾重にも張り巡らせた政策で作り上げたって色んな作品で繰り返してますね。
     そういう意味では、徳川家康全26巻が代表作なんだろうな。確かに読み応えがあって面白かったけど、大坂の陣あたりから、なんか内輪揉め的な話になってきて、ちょっとつらかったかな。読み疲れもあって、天下取りがなって家康に情熱が感じられなくなり・・・。でも、家康の国づくりはそんなところから始まったんだよね。外様大名を次から次へと改易に追い込んで、金利から離れた江戸に幕府を置き、慎重に慎重を重ねて大名を配置した。それがこの幕末に続いてるわけだからね。
     そう思うと、源頼朝から順を追って読めばよかったかなって思いますね。


     
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    投稿日:2023.10.17

  • たくぼん

    たくぼん

    このレビューはネタバレを含みます

    明治天皇という題名だが、明治天皇即位までの幕末維新の動きについて記している。
    この本の特徴としては、その時代を天皇家の側から綴ったものであると言うことだ。
    私もいろいろ、幕末物を読んでいるが、天皇家の側から書かれた物はあまりない。
    という意味では新鮮である。

    話は、黒船渡来に端を発した幕末日本の受難から、将軍継嗣問題の紛糾、尊皇攘夷の対立を経て、条約の勅許問題から遂には安政の大獄に進展し、桜田門外の変、禁門の変、七卿落ち、孝明天皇崩御、明治天皇即位と流れていく。

    その明治天皇の誕生から即位までを、厳密には即位までは生き延びることができなかったが、皇室側から支えてきた、田中河内介を中心に物語りは進んでいく。
    本書を読むまでは余り聞いた事がない名前であったが、維新後、明治天皇から追贈で正四位が贈られていると言うのだから、その存在は相当大きかったものに違いない。正四位は、坂本竜馬や久坂玄瑞などと同位であり、維新前に倒れた志士達の中では最上位にあたる。

    明治維新の混乱・対立を総合すると、井伊直弼が考え、島津久光が願っている様な公武合体でペリー来航以降の国難が乗り切れるのか、それとも、田中河内介や真木和泉のように、草莽全ての力を、日本の良心を天皇の下に結集しなければ、国難打開の力は出ないとする見方が正しいのか、の問題だった。
    言葉を変えて言えば、いずれが日本の過去の歴史に照合し、より多く確立のある未来への先見性を持つかの比較であった。
    ここでハッキリいえるのは、前者は志士達の声を、経験によって抑圧すればやむものと計算し、後者はその声を一つのエネルギーと見て、これに正しい方向を与えて結集し、国難打開の道に爆発させなければならないとした、その差であった。

    本書が他の維新を綴った小説と違うところは、天応側から見たものだと言ったが、本書の中で注目しなければならないのは、「わが国は天皇が統治すべきものだ」という国学的思想である。一君、すなわち天皇は、人にして神、神にして人であった。いささかも私心があってはならず、全ての民をわが子として愛しみながら治められる対象でなくてはならず、その天皇と万民の間に一切よこしまな力が介在してはならないのだということで、大義名分を日本の国柄の真理と見てなければならないという思想である。言葉を変えて言えば、政治は親の心で、という万民の切なる希望を最も素朴に、端的に表現した日本的な民主主義の姿だといえる。われわれ人間は、同じ人間の小ざかしい野心や、権力で治められたくはない。一切の打算や我欲を超えたところに輝く本当に親の愛で治められたいと思うのだ。その親の愛情に万民は飢えており、そういう事実から日本の国柄ははじまっている。それはあるときには見え、あるときには見えなくなる。最近で見えたのは、やはり、終戦時の昭和天皇のお姿である。わが国民に一切の罪は無い。その罪は天皇である自分の罪であり、自分が一切の罪を背負う、とマッカーサーに言われたことである。そのお言葉により、日本は救われたと言えよう。こういった姿こそ、神ながらの姿であると言えよう。言うまでも無く、現実の人間には親のある子供もいれば、無い子供もいる。しかし、それらのもののうえに、平等の親の愛をそそごうとし、みんなもまた、そそいでくれるものと信頼して慕い寄って行く姿がわが国の国柄なのだ。天皇の即位というものは、言うまでも無く、万民の親になりますという無限の愛と、大自然の徳の実践を誓う儀式にほかならない。その意味では、天皇は国民の慈父であり、皇后は文字通り国民の慈母である。また、そうならなければならないという厳しい修養が連綿として天皇家歴代を貫いているところに、我々国民の忠誠心も芽生えていく。

    幕末に天皇の言う攘夷というのは、ただ単純に夷敵を追い払うというものではなく、理不尽で不正義な開国要求、力による、暴力による要求はこれを断固として跳ね返すという考えであり、幕末志士の間で流行った尊皇攘夷から尊王倒幕というものではなりえなかった。天皇は、幕府もそれに対抗する倒幕派も同じわが子であり、どちらかを一方的にやり込めるというのは、親の心からしてもありえない話であったからだ。結局、天皇の思いも拠らないところで世間は回っていき、幕府が倒れ、明治回天へと転がっていった。
    全6巻

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    投稿日:2017.02.24

  • くろわつ

    くろわつ

    大帝の生涯をもっと掘り下げて欲しかった、、なんて無いものねだり。
    荘八先生にそんな不遜な真似ができるべうもない。

    投稿日:2008.09.13

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