【感想】新釈「五輪書」

長尾剛 / PHP研究所
(2件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • bukuawa

    bukuawa

    剣豪・宮本武蔵の"五輪書"のエッセンスを現代語でまとめあげた一冊。筆者によれば、武蔵が死の直前に一気に書き上げた原著は、文書の流れが十分には整理しきれておらず、本人も手直しを考えていたという、ある意味未完成版とのこと。そのため直訳では大意をつかみづらく、この本では原著の要所を抜き出し、さらに解釈を加えた構成を選択した由。

    内容は剣技の技術論がメインなのだが、そこに"とはいえ現代にも生かせる点はあるはずだ"と筆者が繰り返すのは、まあご愛敬。そりゃ"他山の石"という言葉すらあるとおり、学べる人はどんなものからも学べるわけで。ただ武蔵のシビアでリアリスティックな考え方は確かに学べるところがあるようにも思える。

    最後に、仏教思想も下敷きにした、兵法の道を究め空に至るその理想を記した"空之巻"は、長い戦いの末に彼がたどり着いた境地が窺え、感慨深いものを感じると同時に、自らを省みる材料ともなった。
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    投稿日:2023.03.17

  • 出雲一寸

    出雲一寸

    このレビューはネタバレを含みます

    「新釈「五輪書」」5

    著者 長尾剛
    出版 PHP文庫

    p150より引用
    “成すべきは、毎日の努力である。
    千日の稽古が「鍛」であり、万日の稽古が「錬」である。
    だから「鍛錬」なのである。”

    ノンフィクション作家である著者による、
    大剣豪・宮本武蔵が書き記した兵法書「五輪書」を、
    わかりやすく編集・解釈した一冊。
    武蔵自身の考えに対する気概から具体的戦い方まで、
    原文と共にかなり大量の著者の解説が書かれています。

    上記の引用は、
    水之巻のまとめの項の中の一文。
    戦が無い時代であっても何かを成し得るには、
    この考えが必要不可欠なのではないでしょうか。
    水之巻で何度も出てくる「能々稽古すべし」のフレーズに、
    大成した人物の経験がにじみ出ている様に感じます。
    どんどん鍛錬を重ね、
    無意識のうちに体が動くようになる、
    それが技を身につけた事になるとの事です。
    私も無意識に仕事をこなせる位、
    この先も続けて生きたいものです。

    以前小説家か誰かが言ったと記憶していますが、
    「努力すればなんとかなるという考えは大嫌い」、
    というような内容の発言をしたと覚えています。
    平凡な人が努力をやめる事で困るのは、
    才能のある人ではないかと思います。
    同じ事をしている平凡な人たちが、
    才能のある人と比べる対象として存在していなければ、
    才能の強さも光らないのではないでしょうか。
    「五輪書」はs・スマイルズ「自助論」と並んで、
    努力ということの大切さに重きを置いた作品だと思います。


    ーーーーー

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    投稿日:2011.04.27

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