ピン芸人、高崎犬彦
大前 粟生(著)
/太田出版
作品情報
『芸人雑誌』の太田出版が送る、『おもろい以外いらんねん』大前粟生による世界初“ピン芸人”小説!
Aマッソ加納の紹介(『アメトーーク!!』)によって業界の話題をさらった『おもろい以外いらんねん』に続く大前粟生「芸人本」の最新作は、これまで描かれることの少なかった“ピン芸人”にフォーカスをあてる。主人公・高崎犬彦とそのライバル・安西煮転がしの約20年もの人生を追いかけることで、芸人にまとわりつく「売れること」と「消費のされやすさ」の葛藤を描く。
「本気でネタを見てくれてる人って、売れれば売れるほど少なくなっていくんか?
売れるほど芸人らしくなくなっていくんか?
せやったら、売れるってなに? 僕は、僕らは、なんのために芸人しとるん?」
――本文より
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 0 (1件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
同じ著者が漫才コンビを描いた『おもろい以外いらんねん』がオモシロかったので読んだ。R-1が芸歴制限を解除したことで再び注目が集まっているピン芸人。その鬱屈した感情や環境が丁寧に描写されており楽しく読んだ。
レビューの続きを読む
タイトルどおりピン芸人の高崎犬彦が主人公で彼が脱サラして芸人デビュー、そこから売れっ子になるまでを三人称視点で描写している。器用さを持ち合わせない彼が笑われる側から笑わす側へとなんとか移行しようと悪戦苦闘する姿は自己実現を果たそうとする人間として映るので仕事論とも言える。自分が好きなこと、やりたいことが評価される訳ではない。
脱サラという設定も示唆的だった。アウトサイダーとして憧れた芸人が社会におけるパブリックな存在になってしまったことで品行方正を要求される。またバラエティに出たとしても場の調和を大切にするサラリーマン的な振る舞いを要求されるのであれば一体なぜ芸人になったのか悩むのは当然だ。言われてみればその通りなのだが、この逆説的なアプローチが新鮮だった。
芸人は芸を肥やしに生きる仕事のはずが、その場の空気に合わせた道化のような振る舞いが評価される。ネタ原理主義と売れっ子になることのギャップをどう考えるか?というテーマは前作の『おもろい以外いらんねん』でも取り上げられていたが本作でも向き合っている。ピン芸人の場合はコンビやトリオと違って1人なので、さらに煮詰まっており各芸人の小宇宙同士のぶつかり合いが繰り返し起こる。そこでぶつけ合う主義主張には著者のお笑いに対する批評性を感じる。なかでも「お笑い芸人に象徴させすぎ/背負わせすぎ問題」に意識的だった。芸人はニュース、バラエティ、CMなど、今やエンタメ/非エンタメ問わずそこかしこに入り込んでいる。ポップカルチャーゆえの責任を背負うかどうかの過渡期の今、本著が一種のタイムスタンプとして機能することになるかもしれない。
小説では文字でネタを書いて表現しなければならないので主要人物のネタ形式は漫談となっていた。文字で読んでもオモシロくならないという可能性については、主人公がどちらかといえばスベり芸というポジションとすることで回避していた。あと「ネタは別の世界なんで…」というエクスキューズとして文字の大きさを変えるという見た目のギミックを使い、ネタと小説を区別するのは効果的だった。
以下のラインは日本のピン芸とUSのスタンダップの比較から今の状況を婉曲的に批評しており新たな視点だと感じた。考えないで笑うことに慣れきっているが頭のどこかに留めておきたい。
*反射で笑わへんってことは、裏を返せば反射で中傷せえへんってことやろ?きちんとした境い目があったら、演者を守ることになると思うねん。芸人って図太いし、お客さんと一体になって生まれる笑いがめちゃくちゃ気持ちいいのはわかってるけど、それだけじゃない仕組みが必要なんちゃうかな。*投稿日:2024.03.30
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。