ヤマケイ文庫 「身体」を忘れた日本人 JAPANESE,AND THE LOSS OF PHYSICAL SENSES
養老 孟司(著)
,C.W.ニコル(著)
,青山 聖子(聞き手)
/山と溪谷社
作品情報
解剖学者・養老孟司氏と作家・冒険家のC・W ニコル氏が、都市生活によって衰えた日本人の身体をテーマに、子どもたちのこと、食べるということ、極地での気づきなどさまざまな問題に切り込んだ対談集。
アレルギーになる子ども、災害時に火をおこすことが出来ない大人たち。
便利になりすぎた都市生活によって、あまりに身体を使わない世の中になっていないだろうか。
そして自然と触れる機会もなくなった現代人は、嗅覚、免疫といった身体機能も衰えている―。そんな問題意識から、話は広がっていきます。
文庫版には、著者のお二人と交流がある甲野善紀先生による解説を追加しています。
■内容
【1章 森と川と海のこと】
荒れた森を再生する/日本の杉は苦しがっている/木の力、森の力/森と川、そして海のつながり・・・ほか
【2章 食べること、住まうこと】
田舎の力/都会の罠/虫は貴重なタンパク源だった/何でも食べられるのは「貴族」/木を生かす適材適所・・・ほか
【3章 子どもたちと教育のこと】
「ほったらかし」が一番/二人の子ども時代/母親の世界から飛び出せ/ゲームより実体験/体験を通すと生きた知識が身に付く・・・ほか
【4章 虫のこと、動物のこと】
生き物の分類は分ける人によって変わる/ゾウムシは中央構造線を知っている?/オスは時々いればいい/熊との付き合い方・・・ほか
【5章 五感と意識のこと】
ハエも用心するクサヤのにおい/顔色をうかがうための進化/意識はコントロールできない/「意識の時代」と「身体の時代」・・・ほか
【6章 聞くこと、話すこと】
英語を強制されたトラウマ/気持ちと結びつく日本語/訓読みは難しい/主語の有無は文化の違い/自我の目覚めが遅い日本人・・・ほか
【7章 これからの日本のこと】
子供も、大人も外で遊べ/若者に責任を持たせよ/日本人に覚悟はあるか/言い訳の多い日本人/日本人よ、自分を取り戻せ・・・ほか
■著者について
養老孟司(ようろう たけし)
1937年神奈川県鎌倉市生まれ。解剖学者。東京大学名誉教授。
1962年に東京大学医学部を卒業。1981年、東京大学医学部教授に就任。
1995年に東京大学を退官。脳科学や人間の身体に関するテーマをはじめ、幅広い執筆活動を行う。
昆虫研究でも知られ、2022年まで福島県須賀川市の科学館「ムシテックワールド」の館長を務めた。
著書に『養老先生と虫』(山と溪谷社)、『バカの壁』『「自分」の壁』(新潮社)など多数。
C・W ニコル(クライヴ ウィリアム ニコル)
1940年英国ウェールズ生まれ。作家、環境保護活動家、探検家。
カナダ水産調査局主任技官、エチオピア・シミエン山岳国立公園長などを歴任後、1980年長野県に居を定める。
1986年、荒れ果てた里山を購入し『アファンの森』と名付け、森の再生活動を始める。
2002年「一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団」を設立し、理事長となる。著書に『勇魚』(文藝春秋)など多数。
2020年、79歳で逝去。
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商品情報
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
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「なんでも食べれるのは貴族だけ」という話が、自分が以前から感じていたことが言語されていて驚いた。前々から、身の回りで日本食以外の食べ物が食べられないという人に共通する「何か」を感じていた。そういう人は…食べるものを限定されているのだという話だった。確かに、毎日スーパーのお惣菜や、割引された揚げ物、ポテトチップスを食べていれば、異国の料理を受け付けなくなるのも分かる。自分は基本何でも食べられる。異国の料理も抵抗なくトライできる。それが食において特権的であることに気が付いた。続きを読む
投稿日:2024.01.13
旅先の有隣堂にて本棚で見かけて手に取った本。
出会えて良かった。
裏山を駆けたり木に登ったりして育ったミレニアル世代として、日頃モヤモヤしていた気持ちが何なのか、何故そう思っていたのかを代弁してくれた…かのような一冊。
故ニコルさんと養老先生の対談形式なので、とても読みやすい。続きを読む投稿日:2024.03.01
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