母の友2023年12月 特集「“声”が聞きたい」
母の友(著)
/福音館書店
作品情報
特集は「“声”が聞きたい」。話の中身はちょっとしたことでも、誰かと話をしたら、なんだかほっとした。そんな経験はありませんか? 声が持つ不思議な力に注目します。桜林直子さん、江戸家猫八さん、堀井美香さんたちが登場。童話欄はモンゴルのお話「カッコウのナムジル」。*電子版には巻末付録のカレンダーはつきません。*電子版では、掲載されないページ、マスキングされた画像が含まれる場合がございます。*この作品はカラー版です。お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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まずは、気になったコーナーから。
川内倫子さんの写真、「十二月の光」
その冬枯れの木々を、どこか朝靄がかかったように取り巻く光には、まるで優しさを見出せる温かさがあって、月毎に異なる光って、ある…んだなあと、改めて実感させられた。
「絵本作家対談 多田多恵子×堀川理万子(前編)
まつぼっくりがつないだ二人」
「海のアトリエ」の堀川さんの登場に嬉しい私は、その絵の描き方、『子どもたちにも伝わるようにデフォルメして描いているんだけれども、植物学的に矛盾がでない程度に要所をちゃんと押さえている』や、『あえて絵をちょっと非対称に描くことで、生きている感じが出せる気がする』に、感銘を受け、その常に試行錯誤している様子には、絵本作家ならではの拘りを感じられて、私が絵本を読む際にも、とても勉強になった。
「読んであげるお話のページ」は、母の友でもお馴染みの、ガンバートル、ボロルマー、津田紀子さんによる、モンゴルのお話「カッコウのナムジル」で、読んでいて、『スーホの白い馬』に似ていると思ったが、終わり方にちょっとした違いがあって、なんでも、その馬頭琴誕生を巡る物語は複数あり、彼らによれば、モンゴルでは「ナムジル」のお話がポピュラーだとのこと。
「特集 “声”が聞きたい」
様々な状況に於いて、声というものが与えてくれるもの、そして、もしかしたら私も、私の声で誰かに何かを与えられるのかもしれないということ。
鶴谷香央理さんの「チキンソテーと豆腐飯」
鶴谷さんが、漫画家仲間のオカヤさんと通話しながら料理をする、ただそれだけなんだけど、お互いに話しながらその音が聞こえてきたり、相手の料理に羨ましがったりと、この状況が何だか温かいなと感じられて、その後も、一緒に食べながら話したりするのも含めて、ビデオ通話にしないで声だけというのが、また、お互いの料理を想像する楽しみがあって、更に食欲がそそられるのも素晴らしく、これはご飯美味しく感じるよね。
山﨑広子さんの「声の力」
最も印象的だったのが、『自分で録音した声と、喋りながら聞いている自分の声は、伝わり方も異なる別の音』ということを、初めて理論的に教えてくれて、これ、学生の頃、私やったんですよ。カセットデッキで録音しながら、「あー」とか声出して。そして聞いてみたら、「何、この声!」って感じたのが、とてもショックで・・・でも、別の音なら違って当たり前だったんだと、出来れば、あの頃に知りたかったけど、まあ良かったです(笑) あ、それから読み聞かせには、少し低めの楽に出せる柔らかい声が、子どもにとって心地好くて良いそうです。
山口雅子さんの「声で、わかった」
絵本の読み聞かせについて、報われたと言うと、おかしいのかもしれないが、子どものため、一所懸命にやっている人にとっては、とても心に響くことを仰ってくれているように思われたのが感動的で、『読み聞かせって、特に子どもにとっては、生身の人がここにいて体温もあって、その状況全部ひっくるめての特別な体験』であり、『ただ読んでもらうとか、知らない本を知るとかっていうのではなくて、その人が自分のためにそこにいてくれるっていう安心感』もあり、『いつも読んでくれる人の声は、子どもが本を開けば聞こえてくるもので、だからこそおとなになっても、ちょっとしたきっかけで蘇ってきた』には、その実体験も知ることにより、とても説得力を増して胸に迫るものがあり、絵本に声が加わることで、子どもにとっては何物にも代え難い特別な思い出となることに、これまで以上に、絵本の読み聞かせの素晴らしさを感じさせられて、改めて、読んで良かったと思う。
最後に、今年一年を振り返るような、高井祐子さんの「心のセルフケア」より、『悲しみにも傷つきにも息つぎが必要』には、『色んなことがあったけど、今、自分は生きている。よくやってこられたよね、と、自分自身へのねぎらい』をかけることが、その現状の捉え方を変える意味合いもあって、大切なのだと私は思い、それが現在進行形であることに不安もあるが、見方を変えることと考えてみることというのは、自分自身のためにもなるのだろうなといった客観性は、これからも持ち続けていきたい。続きを読む投稿日:2023.12.14
特集「"声"が聞きたい」は、山崎広子さんのお話がいろいろ興味深かった。わたしたちは耳からだけでなく、皮膚からも音を聞くし、耳では認識できない高周波が脳に届いているということもあるらしい。
山口雅子さん…のお話で、読み聞かせなどを通じてこどもは声で思い出の本を記憶するというのも興味深かった。わがやの子らは私の声でどんな作品を思い出すのだろう? 逆にどの絵本を開くと私の声がよみがえるのだろうか?
鶴谷香央理さんのエッセイ漫画も読めてうれしかった。
読んであげるお話のページは前の号まで作家対談に登場していたモンゴルのコンビ(+日本の翻訳者)の作品で、馬頭琴の由来のスーホとは全く違う別バージョンだった。いずれにじても、モンゴルでは馬と人の関係がすごく密なのだとわかる。
「あの号の話」は安野光雅が表紙を担当していた1978年7月号をピックアップ。不定期連載「夫婦でダベる時間です」の抜書きがほんとうにおもしろく興味ぶかかった。45年経ってもまだまだ足踏みだなあ。続きを読む投稿日:2023.11.26
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