母の友2023年11月 特別企画「こどもに聞かせる一日一話」
母の友(著)
/福音館書店
作品情報
特別企画「こどもに聞かせる一日一話」をお届けします。面白くて、すぐ読める短い童話が一挙30話。絵本作家、小説家、ミュージシャン、様々な分野で活躍する方たちによる子どものための物語をお楽しみください。この号では、おとなのための物語も掲載。作家・古谷田奈月さんが小説を書き下ろしてくれました。*電子版には巻末付録のカレンダーはつきません。*電子版では、掲載されないページ、マスキングされた画像が含まれる場合がございます。*この作品はカラー版です。お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
-
特別企画の前に一つだけ。
「絵本作家鼎談
ガンバートル×ボロルマー×津田紀子(後編)
違いから生まれる絵本の種」
一年間のうち夏の間の二か月はモンゴルに帰る、ガンバートルさんとボロルマーさんは、…そこで日本とは全然異なる世界を再体感して、絵本からは離れた『生きる』ということを考えることで、また日本に来たときに、絵本創作の新たな糧になることや、モンゴルでの絵本の印象がアート的な難しいものであることから、絵本は、日本のような子どものために存在する楽しいものなんだということを、これから、もっと広めていきたいという思いに、心を打たれました。
そして特別企画、
『こどもに聞かせる一日一話』です。
私にとって初めてのこの企画、実際に見てみると、本当に30話入ってる! しかも見開き二ページずつとはいえ、絵もしっかりあり、お話の種類も作家もバラエティに富んでいて、これさえあれば、お子さんへの読み聞かせにも困らない優れものです。
また読み聞かせについて、別に順番通りにすることはありませんし、続けていくうちに、子どもにとって、お気に入りのお話がそれぞれ異なってきそうなのも、面白いですし、大人が読んでも感銘を受けるものがあったりと、それぞれに楽しみが見出せる良さもあると感じました。
そして、今回新たな試みとしまして、全30話それぞれの、ひと言レビューに挑戦したいと思います。
短くスパッと切れ味の良いレビューが苦手な私にとって、どうなることやら(^_^;
ちなみに作家の表記について、一人だけ書いてあるのは、文も絵もその人が担当しており、二人書いてあるのは、最初が文、その次が絵の担当です。
また、作家名の後に都道府県の表記があるお話は、読者による投稿原稿になります。
1.「かっぱのおもち」 乾栄里子 西村敏雄
リズミカルな台詞に乗せられて、最後は前向きな気持ちになれたね。
2.「ぼうし ぬぎません!」 まつださおり(京都府) 花山かずみ
素朴な絵柄と女心の繊細さが見事に噛み合った。
3.「ナッツとクリームパン」 ハトホタテ
自らの望みを自らの特技で叶えられる嬉しさといったら。
4.「やんちゃなともだち モンゴルのお話」
イチンノロブ・ガンバートル バーサンスレン・ボロルマー 津田紀子訳
そのやんちゃな気持ちも自分事で捉えると、きっと実感できるよ。
5.「カエルのおじさん おおいそがし」 出久根育
子だくさんのユーモラスな中に於いても変わらぬ家族愛の素晴らしさ。
6.「ふわふわのところ」 鹿又広祐 鹿又きょうこ
聞けばきっと眠りたくなる、詩的で夢見心地な文も素敵。
7.「わにのカレーやさん」 くどうれいん 日隈みさき
コックさんは日頃、こうしたジレンマと闘っているのかも!?
8.「歌が大好きツバメちゃん」 杉田比呂美
そのポップな絵も温かい、子どもの成長を見守る眼差し。
9.「ばあさんのポップコーン」 死後くん
ばあさんと鳩の噛み合わないやり取りが、可笑しくもグッとくる、それぞれのやさしさ。
10.「こんちゅう会議」 垂石眞子
昆虫の哀愁漂う愚痴を聞いている内に、その印象も変わる?
11.「まさひろ君と水筒」 牧野伊三夫
子どもの物への思いは、まるで動物たちへのそれに感じられた。
12.「にぎやかなふすま」 長田結花
どんな子どもにも素晴らしいところはあるということ。
13.「パーティーにいかなくちゃ!」 柴田聡子 unpis
ピザの具材をオシャレに着飾った表現も楽しい、ドタバタ劇。
14.「魚母さん 宮古島の昔話」 頭木弘樹 再話
伊野孝行
見えないところで見守ってくれているのが、なおさら切ない。
15.「ちいさいこえのエビ」 山崎ナオコーラ ちえちひろ
どんな個性もその人を肯定してくれていることを、やさしく教えてくれる。
16.「おばけのハンカチ」 乗松葉子 佐々木未来
おばけにも色々いることから知る多様性。
17.「タヌキのどろだんご」 藤重ヒカル
こんな子ダヌキたちがいたって、いいよね。
18.「つぎの、つぎ」 折坂悠太 しんよんひ
次の次ではない、今、行動しなければならないときだってある。
19.「まてまて カサ」 おくやまゆか
黄色いカサが素敵な物に変わるのは、人のために行動することの素晴らしさの具現化。
20.「ほしのこ じょーじぃ」 阿部結
現実的な女の子にもしっかりと向き合える、ほしのこの人間性(?)がすごい。
21.「おじいさんのピカピカおにぎり」 ねもときょうこ
お腹がペコペコの時の塩おにぎりの美味しさに、思わず食べたくなる!?
22.「おちば大会」 飯塚花(群馬県) 平野恵理子
大切なのは順位付けではなく、皆それぞれに一等賞があるということ。
23.「ひかりのしっぽ と かげのしっぽ」 志人
鬼頭祈
日本画と幻想的な和の言葉遊びが紡ぎ出す、この世は光と闇が共存している。
24.「たからさがし」 藤原あずみ(長野県) アヤ井アキコ
郷土愛も素敵な、自然の恵みの素晴らしさ。
25.「さいごの秋」 中村文 山口洋佑
季節が終わることは、こんなに素晴らしくも儚いものであることを教えてくれた。
26.「オオカミと森のむし風呂 リトアニアの昔話」
八百坂洋子 再話 植垣歩子
一見残酷なようでも、彼のしたことを思えば・・・。
27.「大きな月の夜のこと」 森洋子
月の魔力は、その絵とともに、素敵な発想の転換をもたらしてくれる。
28.「風ばあさん」 林原玉枝 山村浩二
その懐の深さに、共通したものを感じさせられた、風とおばあさん。
29.「エナガさんの子育て」 中島京子 東郷なりさ
エナガさんのそれは、人間にも通じるコミュニティが素晴らしい。
30.「はなさか ゆたんぽ」 おのみつこ(埼玉県)
浜野史
人も動物も皆温かい気持ちになって、幸せいっぱい。
更に、大人にも特別企画が!
大人が自分で読む小説
「クイーン・トキコの大切な日」 古谷田奈月
子どもの成長の過程に於いて、やがて訪れる、子どもの精神的自立と、母が子どもを想う気持ちとのギャップ感は、それぞれの個の存在が異なることから当然だとは思いながらも、やり切れなさもある、このもどかしさに対して、改めて向き合う為に大切なのは、母も一人の人間であることと同時に、相手の気持ちも立てることだと痛感し、それを上手い形でやり続ける大変さは、私には計り知れないものがあるが、少なくとも、これを読んで「ああ分かる!」と共感出来る方も、きっといるだろうと思わせた、ドライな感覚も生々しい、母への応援歌。続きを読む投稿日:2023.11.25
恒例の一日一話特集号。今年は佐々木マキさんのご参加がなくてちょっぴりさみしい。
心に残ったお話は、頭木弘樹(再話)「魚母さん(宮古島の昔話)」、これはすごい。
中島京子「エナガさんの子育て」興味深くて…おもしろかった。八百板洋子(再話)「オオカミと森のむし風呂(リトアニアの昔話)」もゆかいでおもしろかった。長田結花「にぎやかなふすま」、乗松葉子「おばけのハンカチ」、藤重ヒカル「タヌキのどろだんご」、森洋子「大きな月の夜のこと」もかわいくて好き。林原玉枝「風ばあさん」は豪快で楽しい。先月号と今月号で絵本作家鼎談に登場している日本在住のモンゴルの作家の作品もあるのがうれしい。たのしい「おちば大会」は作者がまだ9歳のようでおどろいた。
モンゴルの絵本作家コンビ+日本の翻訳者の鼎談は後半。モンゴルの子どもや子育て、絵本事情の話が興味深い。
古谷田奈月さんの短編小説もよかった。子どもが忘れてても祝ってほしくないっていわれても、子どもの誕生日は母親にとってはお母さんになった日だったりその子と出会えた大事な日なんだよね。だからいい歳になったらお母さんにありがとう&おめでとうを贈る日なんじゃないかなと思ってる私。
それにしても、おねえさん、何がきっかけでゴーイングマイウェイをやめてしまったんだろう? 続きを読む投稿日:2023.10.07
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