この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
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著者の見解と活動記録いう色彩が色濃いと見受けられる内容で、賛否や様々な御意見も出る内容だと思う。が、自身としては「気になる…」に一定の形を与えてくれる内容が多かったと思う。また、こういう問題に関しては…「考える材料」が多い程好いというようにも思う。本書に在る内容は、そういう「材料」になるモノだった。
歴史関係の研究者として知られる著者は、賛同者を募り、2022年2月のウクライナでの「開戦」から然程の時日を経ない時点で、「即時停戦論」というような意見を表明する声明を出している。本書はそういう著者の活動、活動しながら事態を見詰めて考え続けて来たことを詳しく綴ったという内容だ。「即時停戦論」というような考え方を抱きながら、日を追って深刻化する事態を憂慮している様子が強く伝わる。或る意味では、「不特定多数の読者の存在を意識した日記」という色彩も帯びているかもしれない。
著者や、その声明発表への賛同者の皆さんというような、学識者、有識者という程でもない「普通の人」が普通に考えて、「戦争」は善くないことは明らかであろう。将兵の戦死も在れば、破壊される街で生命を落とす民間人も在って、それらが夥しい数になり、その何倍もの人達が家族や親しい人達を喪う哀しみを押し付けられる。戦禍が拡がる国土が破壊されて荒廃する。そうなれば人々の暮らしも破壊される。破壊がもたらすのは多重的な意味での喪失である。喪失がもたらすモノは、少なくとも幸福では在り得ない。不幸そのものである。莫大な戦費を投じて不幸を撒き散らすのは、俗な言い方になるが「ロクなモノではない」ということになる。様々な知識を有するような人達が「直ぐに停めるようにしよう」と意見を表明しようとするのも判る。
そういうように思うのだが、著者やそのグループが発した論は存外に拡がっていないようにも見受けられる。他方で「ウクライナに向かって降伏せよとでも言うのか?!」、「停戦をすればロシアの側が有利になるばかり?」というような調子の声明を批判する論や、「“親露派”が鬱陶しい!」というような話しも聞こえている。誰も幸福にしない戦争を停めるべきと主張すること自体に、“親〇派”というような色分けは関係ないであろうし、一方を不利なように陥れるという論でもないのではないだろうか。そういうことで、著者やそのグループが発した論に関して、単純に「知りたい」と思って本書を入手した。そして「知りたい」は達成出来たと思う。
何処となく、「賛否や御意見は別に“こういう意見”というのが普通に広く伝えられても悪くはないのではないか?」と著者は思っていて、そういうようにはならず、「ロシア非難基調」に塗潰され過ぎたのではないかという問題提起をしているようにも感じられた。だからと言って、それが“親露派”ということにもならないと自身は思う。が、それを“親露派”と呼ぶ人達も少なくない。
本書では、ウクライナの現今の事態を巡って様々な論者が発表したモノ、本に触れての著者の観方等に言及が在る箇所も見受けられる。自身でも読了している本が幾つも在って、「こういう観方の在るか…」と非常に参考になった。
「開戦」から然程の時日を経ない時点で、「誰も欲しない戦いを続けることを回避しよう」と“停戦交渉”が試みられた経過は在った。これに関しては、開戦から1ヶ月余りを経た4月の「住民虐殺?」の故に「抗わなければ殺される…」とウクライナ側が「徹底抗戦」的な路線になって行ったとされている。著者は「それだけか?」としている。4月頃から、所謂「代理戦争」のような色彩を帯びて行ったのではないかという観方を示している。
多くの国々が関わって、兵器提供というようなことで、著者の表現を借りれば「准参戦国」という立場になっている国々も増えている様子に関して、他の論者が「既に第三次世界大戦?」としている例が在ることも承知している。著者の論もこの「既に第三次世界大戦?」という論に近いと観る。そして、ウクライナの戦争が進む中で、他の地域にも緊張が拡がる危惧が見受けられるようになっているかもしれないと指摘している。そうしたことを回避する意味でも「停戦」への努力が必要であるとしている。
例えば近所に野原が在ったとする。或る人が、子どもの頃に兄弟姉妹や友達と走り回って、見付けた花の名を教え合うというような、平和な過ごし方をした想い出を持っていたとする。そんな人が子どもの親になって、子どもを連れて同じ場所に足を運べば、「父さん(母さん)がお前位の年だった頃…」と想い出を語って聞かせるであろう。街での暮らしや記憶はそうやって受け継がれる筈だ。近所の野原のような場所は、子どもだった人が親になる迄のような年月で御聞く様子が変わることも珍しくない。だからと言って、そういう場所が戦禍で破壊されてしまって構わないのだろうか。対人地雷やクラスター弾の不発が転がっているから立入禁止となって構わないのだろうか。更に言えば、子どもに自分の子ども時代を語って聞かせる父さんや母さんは戦禍で生命を落としてしまっているかもしれない。或いはそういう事由の故に、父さんや母さんの話しを聴く子どもは生まれないかもしれない。「戦争が続く」というのは、多分そういうことなのだろう。
自身、「ウクライナの降伏」というようなことをしなければならないとは全然思わない。「降伏」ではなく「ウクライナの人々の幸福」を願って止まない。が、「“最後の一人”迄、生命を危険に晒して抗い続けるのか?」という程度には思う。更に「世界中の夥しい兵器をウクライナの地で実戦使用し続けるのか?」というようなことも、最近では思うようになっている。
このウクライナの問題は、静観しながら様々な論に耳を傾けて考えなければならないような性質の事柄だと自身は思っている。こんな論、あんな論、こういう観方、ああいう観方という色々を聞くことから始まる筈だ。「“反露派”か?“親露派”か?」と「踏絵」のようにして如何なるのでもない。そう言えば、何処かに「聞く力」なるモノを“売り”にしている方も在ったと思う。それはそれとして、際限は無いかもしれないが、「考える材料」を「聞く」(または本等を読む)ということは大事にし続けなければならないと思う。
何れにしても、なかなかに著名である人達が関わっている活動の割には「声明の中身が伝わっていない?」という気もしていた事柄について、本書を介して少し詳しく知ることが叶ったのは善かった。御薦めしたい一冊だ。続きを読む投稿日:2023.08.19
ウクライナとロシアの戦争が長引いている。しかし、ニュースでの扱われ方は、開戦時より少なくなってきていると感じ、この戦争の行く末に不安を感じていた。
そんな折、この本に出会った。ロシアとウクライナの関…係性についてあまりにも無知であったことに気付かされた。
朝鮮戦争の事例をひいた、停戦実現についての記述が納得いくものであった。
和田氏をはじめ、粛々と即時停戦実現に向けて行動されてきた知識人の方々に頭が下がる。
これ以上の死者を出さないでほしい。一刻も早く即時停戦に向けて歩みを進めていくことを切に願う。続きを読む投稿日:2023.10.27
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