古本屋探偵登場
紀田順一郎(著)
/創元推理文庫
作品情報
「本の探偵――何でも見つけます」という奇妙な広告を掲げる神保町の古書店主・須藤康平。半世紀近く誰も見たことがないという稀覯本を手に入れたと豪語するコレクター――果たして入手した本は本物なのか。幻の本を巡る騒動を描く「殺意の収集」、幼少期の愛読書を捜す女、古書店に戦前の本を売りに来る若い男、憑かれたように書物を集める老人の三者を結ぶ線から意外な犯罪が浮かび上がる「書鬼」、須藤が不倶戴天の同業者とオークションで競った花柳文献に隠された驚くべき秘密「無用の人」の全3編を収録する。(『古本屋探偵の事件簿』分冊版)/【目次】『古本屋探偵の事件簿』まえがき/殺意の収集/書鬼/無用の人/『古本屋探偵の事件簿』あとがき/解説対談=紀田順一郎・瀬戸川猛資
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商品情報
- シリーズ
- 〈古本屋探偵の事件簿〉
- 著者
- 紀田順一郎
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2023.09.29
- Reader Store発売日
- 2023.09.28
- ファイルサイズ
- 2.4MB
- ページ数
- 376ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
-
1985年刊行の文春文庫版は読んでいたけれど、このたび1991年創元推理文庫版が分冊版でリイシューされるというので迷わず買いました。この『古本屋探偵登場』には、1991年の創元推理文庫版が刊行された…ときに書かれたまえがきとあとがき、文春文庫版には未収録の『無用の人』、解説対談として瀬戸川猛資との対談が収録されています。成島柳北の『柳橋新誌』幻の第三篇が題材となっている『無用の人』、和本についての蘊蓄が楽しくてあっという間に読み終えてしまいました。解説対談も興味深く、行われた場所が山の上ホテルなのも、にやにやしちゃいます。続きを読む
投稿日:2023.10.11
・紀田順一郎「古本屋探偵登場 古本屋探偵の事件簿」(創 元推理文庫)は旧版の一冊本を分冊にした書である。本書はその1、短編3編が入る。珍しく私は旧版を持つてゐる。買はな くても良いのだが、読み直すのな…らこの方がはるかに読み易いので買つた。そして読んだ。おもしろかつたのは言ふまでもない。この手の本を読むと私は愛書家ではないといつも思ふ。本好きではあるが決して愛書家ではない。第一、本の数が違ふ。 家の根太がどうのなどと考へることはない。最近は、新刊以外はwebで探すことが多い。以前は結構古書目録を見てゐた。ほとんど買ふことはないが、見るだけは見てゐた。言はば目の保養である。今でも古書目録を 請求すれば送つてくれるはずだが、私は見ない。webでより安い本を探す。本書で問題になるやうな限定版の類には興味ない。言はば安物買ひである。こんなわけで私は愛書家とは言へない。ただし、「愛書家とか蔵書家とはいっても、普段はごく普通の人たちなんですね。」(解説対談「『本の探偵』と愛書奇譚」362頁)とか、愛書家は「まあ、フェティシズムの一種ということなんだろうけれど。」(同前)とかの瀬戸川猛資の言がある。これからすれ ば、愛書家といつてもごく普通の人であるのに、「現実生活とはおよそ無縁なものに、とほうもない情熱と精力を傾ける」ところがあるといふ点は、私にも似たところはあると言へよう。
・巻頭の「殺意の収集」の依頼人津村恵三は、「本探しの極意は熱意ではない、殺意だと思います。」(22頁)と言ふ人である。これが私家版2部のうちの1部を入手したといふことから物語は始まる。「カンと殺意」(29頁)で見つけた私家版はいかなるものかといふのを、書肆・蔵書一代といふ古書店主の須藤康平が推理する物語である。津村はサラリーマンで「要領がよく、言動にムダがないという感じで(中略)いつも整然とした話し方に感心させられ」(17頁)るやうな人である。およそ「殺意」を抱いた愛書家とは見えない。「無用の人」の依頼人尾崎朋信は「銀行の人」(293頁)で、「おれのポストは重要な、忙しい仕事なんだ」(349頁)と自ら言ふ人であるから、こちらもそんな愛書家とは見えない。ところ が「書鬼」の依頼人風光明美の祖父となるとさうはいかない。 本は「それはもうものすごいものです。そのころだって、書斎から廊下へ、玄関へとあふれて いて云々」(191頁)と明美が言ふほどである。しかも身分を明かしていない須藤に、「本を盗みに来おったのだろう」(259頁)と言ふほどに本に対する執着がある。本を動かされたらその場所が分かるかとの問には、「『わかる』言下に答が発せられた。」(同前)といふほどであるから、並みの者ではない。明るくして顔を見れば「人間の顔だろうか。」(264頁)である。従つて書鬼、正に書鬼である。こんな愛書家、蔵書家が出てくる本書で最も気になつたのは次の言葉である。「蔵書一代…人また一 代…かくして皆…共に死すべ し…」(140頁)「書鬼」の蔵書は“紙屑”として「一切合財処分」(同前)されてしまつ た。一軒の家ほどの大量の蔵書も本人以外は無用の長物であつた。津村や尾崎の蔵書、それもかなり高価な限定本の類らしい、も同じ運命をたどるのであらう。何でもさうだが、いかに重要なものであれ、その持ち主以外には無用の長物である。津村の商品たる古書とて同じこと、津村の後にどうなるかは分からない。作者自身「それが結局、本書のテーマになってるということでしょうね。」(374頁)と言ふ。いかにも紀田順一郎らしい。さういふところが好きなんだよなと言つておかう。続きを読む投稿日:2023.11.16
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