目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)
國分功一郎(著)
/新潮新書
作品情報
自由は目的に抵抗する。そこにこそ人間の自由がある。にもかかわらず我々は「目的」に縛られ、大切なものを見失いつつあるのではないか――。コロナ危機以降の世界に対して覚えた違和感、その正体に哲学者が迫る。ソクラテスやアガンベン、アーレントらの議論をふまえ、消費と贅沢、自由と目的、行政権力と民主主義の相克などを考察、現代社会における哲学の役割を問う。名著『暇と退屈の倫理学』をより深化させた革新的論考。
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この作品のレビュー
平均 4.2 (31件のレビュー)
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「暇と退屈の倫理学」で指摘した「楽しむ」ということの重要性。
人間は自由を求めているようでいて、自由になると暇になり、暇になるから退屈する。だから暇を嫌い、自由を拒否する。ここで忘れられがちなのが「楽…しむ」ということ。広い意味での勉強をして楽しみ方を学んで、楽しめるようになることが暇の過ごし方だと國分功一郎は言う。
さて本書である。
その楽しみが、何かの目的のためだったとしたら?それは「目的の手段」となり、「楽しみ」ではなくなってしまうだろう。
ハンナ・アーレントの言葉を引用して作者はこのように持論を展開する。
「目的として定められたある事柄を追求するためには、効果的でありさえすれば、すべての手段が許され、正当化される。こういう考え方を追求してゆけば、最後にはどんな恐るべき結果が生まれるか」(『人間の条件』)
目的の本質はまさしく「手段の正当化」にある。
何だって目的遂行のためには許されるのだ。
目的とは、そういう性質をもったものだ。
またこうも言う。
「全体的支配はその目的を実際に達しようとするならば、『チェスのためにチェスをすることにももはやまったく中立性を認めない』ところまで行かねばなら」ない。つまり、全体主義が求める人間は、いかなる場合にも「それ自体のためにある事柄を行う」ことは絶対にない。
全体主義は一つの目的遂行のために人間を動かす。
全体主義の元では、芸術も目的のために存在するものである。芸術自体を目的として楽しむなんてことは許されない。
おそろしや。
チェスの引用だったが、この引用の部分で、藤井聡太くんを思い出した。藤井くんは目的のために将棋をやっているか?いや、もちろん違うだろう。結果として七冠や八冠を得ようとも、ただただ楽しいから将棋をしてるに違いない。
大谷翔平だってそうだろう。二刀流を史上初で達成するという名誉やタイトルのために野球をやってるんじゃないよなあ。楽しそうだもんなぁ。二人とも。
目的から解放されているからこそ楽しいのだし、我々も彼らの清々しさから楽しみのお裾分けを気持ちよくもらえていると言うわけだ。
結果として充実感を得ることと、充実感を得ることを目的として何かをするのは、大きく異なる。
確かに確かに。
この本でも例として挙げられている学校の文化祭もそうだ。本当に彼ら彼女ら楽しそうに一生懸命やるよね。受験勉強も放っておいて笑
ああ、無駄なことを楽しむって、なんて人間的!
そういえば、谷川俊太郎の「生きる」という詩にも。
生きるとは「ヨハンシュトラウス」であり、「ミニスカート」であり、「ブランコをこぐということ」であると。
先達たちはとっくに知っている。大事なことを。
「目的への抵抗」という表題の意味が読み終わって腑に落ちる気持ちよさ。
大いに「浪費」し贅沢を楽しもうと思う。続きを読む投稿日:2023.08.06
『暇と退屈の倫理学』の続編的なもの。大学の講話が話し言葉で掲載されているのでとても読みやすい!
私は考えるのが好きなので考える本を読んじゃう。それが楽しくて目的は特にない。國分さん、もはやファンです。…
続きを読む投稿日:2023.11.12
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