つけびの村 ~山口連続殺人放火事件を追う~
高橋ユキ(著)
/小学館文庫
作品情報
“うわさ”が5人を殺したのか?
この村では誰もが、誰かの秘密を知っている。
2013年7月、わずか12人が暮らす山口県の限界集落で、一晩のうちに5人が殺害され、2軒の家が燃やされる事件が発生した。凶行に及んだ男が家のガラス窓に残した貼り紙に書かれてあった「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」。メディアはこぞって「犯行予告」と騒いだが、真相は違った・・・・・・。
気鋭のノンフィクションライターが、拡散された「うわさ話」を一歩ずつ、ひとつずつ地道に足でつぶし、閉ざされた村を行く。発表のあてもないまま書いた原稿を「note」に投稿したところ思わぬ反響を呼び、書籍化。事件ノンフィクションとしては異色のベストセラーとなり、藤原ヒロシ、武田砂鉄、能町みね子ら各界の著名人からも絶賛の声が上がった。
事件から10年という節目に、新章となる「村のその後」を書き下ろし加筆して文庫化する。
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商品情報
- 著者
- 高橋ユキ
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 小学館文庫
- 書籍発売日
- 2023.03.07
- Reader Store発売日
- 2023.03.07
- ファイルサイズ
- 5.4MB
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この作品のレビュー
平均 3.2 (5件のレビュー)
-
噂をただの噂だと思うことと、それを被害妄想的に捉えることと。
わたしは後者だ。
職場で誰かがわたしの名を出すとピクっと反応し、ふざけて「なになに悪口~?」なんて言って同僚を困らせている。
だいたいそ…れは悪口ではないのだけれど、でもそうやってふざけて自分の気持ちを外に出してみるだけで、自分もその場も和んだりする。
たぶん、「あれは悪口だ」と一人ふさぎ込んで思い込んだりすると、病む。
わずか12人が暮らす限界集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。
「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」
犯人は、奇妙な貼り紙を残したまま姿を消した。
警察が犯人のボイスレコーダーを発見。
中にはこう吹き込まれていた:「うわさ話ばっかし、うわさ話ばっかし」「田舎には娯楽はないんだ、田舎には娯楽はないんだ。ただ悪口しかない」
P294「メディアやSNSからこの事件のうわさを得る我々と、『コープの寄り合い』に集まり、うわさ話を仕入れていた村人たちに、はたして何の違いがあるだろうか。私自身、この取材にのめり込んだきっかは、うわさだったのだから」
娯楽のない田舎やSNSに限らず、職場や保護者同士の繋がりだったり、人が集まるところにはいつだって噂話は存在する。興味なしとする人もいれば、そこにしか興味がない人もいる。そして、その噂話の被害に遭う人もいる。悪意のない噂話を、「悪意」のある「悪口」と捉える人だっている。そして、その人が置かれた環境によっては、精神疾患を発症したりもする。そして、もしその精神疾患を発症した状態で何かしらの事件が発生したとしたら、その事件で一番裁かれるべきは誰なのか。
以前、堀田らなさんのことを紹介した(https://www.u-gakugei.ac.jp/pickup-news/2023/03/post-1026.html)けれど、人を裁く立場にいる裁判官は、どの程度精神障害を理解しているのか。
P276「市民に身近な裁判員制度」の「市民に身近」とはどの程度のものなのか。
精神保健福祉士の試験に合格したわたしでも、精神疾患についての理解はちゃんとできているかと問われると、まっすぐに首を振ることは憚られる。それだけ複雑なことを知っているからだ。
P275「専門家でも意見の割れる“責任能力”についての判断を、彼らの意見を元に、精神医学を専門に学んできたわけではない裁判官や裁判員らが下さなければならない」
こうなってくると、人が人を裁くということは、もはや運ゲーに近い。
裁判員の中に精神障害に理解がある人がいればラッキー、なんらかの事件の被害者になったことがある人がいればラッキー、よくわからないまま裁判員になりました、という裁判員ばっかりだったらアンラッキー。
同様に、被告人に理解をしめす裁判官に当たればラッキー、理解をしめさない裁判官に当たればアンラッキー。
司法がこれでいいのか。
司法は全てに対して平等であるべきではないのか。
取材をすすめてきた、高橋ユキさんの並々ならぬ覚悟に溢れた一冊でした。
噂の元となる人など、ここに出て来る人がこの作品に触れたらどう思うだろう、と思いながら読み進めていたのだけれど、その想いはきっと著者である高橋さんが一番お持ちだっただろう。だけど、それでも出版する覚悟というものが、ぎゅっと詰まってた。
著者の取材の熱量と努力。
ここまで掘り下げるか、というほどのエネルギーに、圧倒された。
なんで、どうして、っていう探求心みたいのって、どうやって培われるんでしょうね。わたしもある方だとは思いますけど。
そして、だからこそ時々ノンフィクションに触れると、ぐいぐいのめり込んでしまう。
有給中は家で単行本を読み漁ろうと思っていたけれど、ついつい圧倒されて、没頭して読了。続きを読む投稿日:2023.04.20
行ったことはないが車で2時間位の場所が事件現場の集落でずっと読みたかった本。ど田舎の集落は街育ちの人間には想像もつかない現実があるのは耳にはしていたが
村八分や集落の風習だったりどこの県の所謂限界集…落はこんなもんだろうだけど此処は特に香ばしい
集落の住民の言動に対する作者の"一体何を言っているんだ"的な反応が笑える。続きを読む投稿日:2024.05.06
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