- 最新巻
警部ヴィスティング 疑念
ヨルン・リーエル・ホルスト(著)
,中谷友紀子(訳)
/小学館文庫
作品情報
大ヒット未解決四部作シリーズ、最高傑作!
1999年8月、ノルウェー南部の小都市ラルヴィクの郊外で、十二歳の少女が絞殺体で発見されるという事件が現実に発生した。
その捜査に当たったのが、当時刑事をしていた本書の作者だった。
二年後に二十代の男が逮捕されたが証拠不十分で無罪となり、以来この事件は「膿んで癒えることのない心の傷」となっていたという。
北欧ミステリの名だたる賞を総なめにしている〈ヴィスティング〉シリーズ。
作者がこの事件を下敷きにして、精魂を込めて執筆したコールドケース四部作の最終作にして最高傑作が、本作である。
ある朝、ヴィスティングの自宅の郵便箱に差出人不明の封書が届く。中にあったのは、12―1569/99と数字だけが書かれた一枚の紙。数字は事件番号で、隣接する警察署の管内で1999年に起きた1569号事件を意味していた。
この年の7月、十七歳のトーネ・ヴァーテランが行方不明となり、二日後に絞殺体で発見された。トーネの体内から検出された精液のDNA型が元恋人のもの一致し、男は逮捕され禁固十七年の刑を受けていた。
匿名の手紙は冤罪を示唆しているのか、何を訴えたいのか、そしてなぜ自分に届けられたのか‥‥。
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商品情報
- シリーズ
- 警部ヴィスティング
- 著者
- ヨルン・リーエル・ホルスト, 中谷友紀子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 小学館文庫
- 書籍発売日
- 2023.03.07
- Reader Store発売日
- 2023.03.07
- ファイルサイズ
- 1MB
- シリーズ情報
- 既刊4巻
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この作品のレビュー
平均 3.8 (12件のレビュー)
-
地味だけどカッコイイ!丁寧で本職刑事の捜査を体験できる、警部ヴィスティング・シリーズ第四弾 #疑念
■あらすじ
休暇中のヴィスティング警部のもとに一通の手紙が届く。そこには事件番号と思われる数字のみ…が書かれていた。
その事件では少女が殺害されており、すでに犯人も逮捕されている。手紙に何らかのメッセージを感じた警部は、その事件を調べ始めるのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
地味。鬼のように地味。
しかしこの地味さが本作の持ち味ですね。
まるで本職刑事になったみたいに、丁寧で実直な捜査を体験できる作品です。なにもミステリーにラノベ感抜群のキャラ刑事や、才色兼備なスーパー名探偵が出てくる必要はないですね。現実に居そうな真面目な刑事の捜査を追っていくだけで、十分しっかりと推理小説を楽しむことができます。
何と言っても主役のヴィスティング警部、これがカッコイイのよ。ホント普通の特徴のない、ひとり人間であり、ただの刑事である。しかしながら意思と信条をもって一手一手を指していく。決して正義は語らず事実を追っていく様は、頼りがいのある父親の背中を見るようです。
特に人間性が垣間見えるのは、娘の元夫と対峙するシーン、これは惚れる。私も親なので家族を守る難しさは分かっているつもりです。やるべきことを淡々と進める姿勢に痺れました。
そしてこの事件の真相ですよ…腹立たしい。久しぶりに怒りが沸々と湧き上がってきました。人間は確かに罪を犯す。経済的な事情、幼い時期の不幸、人間関係の軋轢など、いくばくかは私も理解できる。しかし本作の犯人は許せない。なにを基準に生きるべきか懇々と話したいと思いました。
作者が刑事だった時代に、実際にあった事件をもとに作られた未解決事件シリーズ。まだこれまでの作品が読めていないので、挑戦したいと思います。
■きっと共感できる書評
現代のネット社会において、世間をくすぐる情報が発信されるとすぐに炎上する世の中。本人と意図しない文脈で情報が拡散され、関係者はもちろん、様々な人たちが傷ついてしまう。
ただなにも全員が自分本位のことを主張しているのではなく、それぞれの正義感と公正基準が入り交じってしまうだけ。その結果、何が正しい判断かわからなくなるんですよね。
結局は自分自身で答えを出していくしかない。派手な行動より、本作の主人公のように、ひとつひとつ誠実に向き合っていくことが近道ではないのでしょうか。続きを読む投稿日:2023.08.23
このレビューはネタバレを含みます
警部ヴィスティング、コールドケース四部作の最終作。
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あらすじ
ヴィスティングは休暇中。管内では放火された自宅後から妻の死体が発見される事件が起こっている。自宅に送られた手紙には事件番号が書いてあった…。それは女性殺害事件で、犯人は元恋人で、服役・出所していた。続く2通目。同じような女性殺害事件で、これはヴィスティングが担当してものだった。2件を調べ直していると、圧力がかかったりする。その後国家犯罪捜査局(クリポス)からスティレルが加わる。二人は女性の衣服を発見したり、封筒の指紋をたどったりするがそれらは元恋人と記者の策略だった。二人は罪を逃れるため、別の人物に罪を着せようとしていたのだった。
《感想》
ヴィスティングは手堅いなー。今回の事件は、簡単に言うと犯人の悪あがきと逆恨み。また、犯人が逆恨みしていたのは当時の担当捜査官なので、ヴィスティングは巻き込まれた感じであった。それでも粘り強く対応し、着実に真相に近づくベテラン、ヴィスティング。年齢的には定年が視野に入っているところで、健康にも気遣うようになっている。捜査に対しては図太くて、ちょっとやそっとの圧力や、同僚からの凄みや妨害なんかも平気。むしろそこを怪しんで捜査を進めていく。
良作・名作が多い北欧ミステリーの中でもこのシリーズはバランスがいい。事件と私生活の。作者は元警察官だけあって、捜査の様子は地に足がついた感じ。また、登場人物も個性はあるけど、本当にいそう。ヴィスティングが歩数計を気にしているところは印象に残った。ノルウェーでも一日1万歩ってあるんだな。続きを読む投稿日:2023.10.12
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