激動期を生き抜く これからの帝王学
永田雅乙(著)
/秀和システム
作品情報
本書は、お金を儲けたい、増やしたい、そして幸せになりたいという方に向けて、「日本映画の最盛期を築いた男」永田雅一から帝王学を授かった著者が、お金と幸せを結ぶ教養としての帝王学を分かりやすく伝授する指南書です。
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この作品のレビュー
平均 3.5 (2件のレビュー)
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帝王学って貴族階級のような、どう従わせるかの威厳やらなんやらと勝手に想像してしまうけど、これぞ帝王学として教え伝えていくものだと感じた。
今に通ずるものであり、お金の価値、時間や未来、過去に対する考え…方と人と接する際の姿勢(心の持ち方)など、これを心がけるだけで毎日毎時間気持ちよく生きられそう。
95冊目読了。
続きを読む投稿日:2023.04.06
今の親は、子供に「道徳」を教えられているだろうか。「帝王学」も、結局親が子に語り継ぐ道徳なのである。
もちろん、私自身もそれが出来ていたとは到底言えないのだが、老齢になった今だからこそ、心の底からそう…思う。
今の時代だからこそ、語り継ぐ物語が沢山あるのではないだろうか。
永田ラッパの異名を誇る、永田雅一氏も間違いなくその1人だと思う。
氏の業績は伝記などでも書籍化されていると思うが、このように身内から氏の考え方そのものを「帝王学」としてまとめるのは相当に意味があると思う。
優れた経営者は数々いるが、ほとんど裸一貫の状態から、とんでもない事業を創り上げた。
確かにお金も沢山儲けたと思うが、お金儲けだけが目的であったならば、ここまでの大金持ちにはならなかっただろう。
そして時代の波に揉まれ、映画会社「大映」を倒産させてしまう。
こういう経験をした中で、氏は子・孫に何を語ったのだろうか。
これには大いに興味が湧いてしまう。
永田雅一氏はとにかく「人たらし」だったことで有名だ。
つまり悪い意味ではなく、周囲の人はその彼の魅力に魅了され、例え困難であっても、一緒に大きな事業をやりたくなってしまう。
「この人について行きたい」と思わせてしまう。
そういうカリスマ性があったということなのだ。
もちろん、凡人にはそんなカリスマ性は備わっていない。
しかし裸一貫の氏は、どういう思考回路をもって、そのカリスマ性を手に入れたのかは非常に興味がある。
その秘訣を孫に語っていたのであれば、それは是非聞きたい内容だ。
稀代の名経営者が考えていた「帝王学」について。
それは極めてシンプルで、特別なことではなかった。
・人を笑顔にすることをしなさい
・どんどん動いて失敗しなさい
・他人の評価を気にしない
これだけ聞くと特別なことは本当に何もない。
逆に言うと「帝王学」と言えど、たったこれだけに集約されているのかと関心してしまう。
むしろ、帝王学ということではなく「生きる上での大事なこと」そのものではないかとすら思う。
我々はしばしば「利他の精神が大事」と言っているが、本当にそれが大事なのだろうか?
「人を笑顔にすること」を深掘りして考えてみると、どうも意味的には似ているが、本質が微妙にズレていることが見えてくる。
「他者に気を遣いない」ということでもない。
最近は「みんな仲良く」を言い過ぎて、逆に教室で浮かないようにどう振舞えばいいか分からなくなってメンタル不調に陥ったりしている。
社会がより複雑化してしまっているのは間違いない。
「人を笑顔にする」は、他人に忖度する訳ではないし、決して自分を犠牲にして他人を喜ばす利他の精神という訳でもない。
「人を笑顔にする」とは、突き詰めるとどういうことなのだろうか?
そもそも我々は「人を笑顔にする」ことに対して、「それはどういうことか?」と真剣に向き合って考えたことがあるだろうか?
シンプルだが、実に奥深い。
他人を幸せにする、というのは本当に難しい。
幸せとは意外と本人の中に鎮座しているもので、外に出すものでもない。
しかしながら、我々は感覚的に知っている。
幸せな人を見ると、自分も幸せな気持ちになることを。
「人を笑顔にする」というのは、実は幸せの循環を創り上げることに他ならないか。
人の笑顔を見ていると、自分まで笑顔になってしまう。
その笑顔を見ているだけで、幸せな気持ちになるし、自分自身ですら「明日も頑張ろう」と思えてしまう。
「人間の笑顔」とはそれぐらい、他人に影響を与える力があるのではないだろうか。
自分を犠牲にして、他人の笑顔を創ろうとしても、本当の笑顔にはならないだろう。
人を笑顔にするためには、自分自身が徹底的に楽しまなければいけないはずだ。
例え困難があったとしても、笑顔でいれば乗り越えられそうな気がする。
言葉のユーモアも大事かもしれない。
「笑顔でいること」は、生きる上で本当に大事な、本質の部分なのかもしれない。
その大目的があるのであれば、「どんどん動いて失敗しなさい」「他人の評価を気にしない」は、大目的を達成するための手段に見えてくる。
私自身のメンター的大先輩が常々言っていたことがあった。
「人生なんて所詮思い出作り。仕事で業績を出しても、みんな何年かすると忘れてしまうよ。だから仕事に限らず、何年経っても忘れない思い出を作った方がいい」と満面の笑顔で語っていたのを思い出す。
結局その大先輩とは仕事も沢山したが、思い出作りも沢山した。
あまり仕事と関係ないこともあったが、本当に今になって思い出そうとすると、仕事の功績よりも、それ以外のくだらない思い出作りのことだったりする。
今、かつての写真などを見返してみても、そんなくだらない事こそ、みんな良い笑顔でシャッターに収まっている。
「人の笑顔は循環する」
そう思えば、人の笑顔のためにはドンドン動く必要があるし、失敗なんて気にしていられない。
本書の中で好きな言葉があった。
著者の永田ラッパ氏への問いかけ「なんでラッパって言われていたの?」に対し、氏は「聞いてくれたんだよ。ラッパを」と答えていたそうだ。
無謀な大ボラを吹くから「永田ラッパ」という異名が付いた訳であるが、ほんの数人でもちゃんとラッパの音を聞いてくれた人がいた。
「もしかすると、この大ボラがホントになるかも」と思ってくれた人がいた。
「笛吹けど踊らず」とは真逆な意味になるが、これは面白い。
「嘘も百回言えば真実となる」という諺もあるが、これもまた真なり。
今も昔も、イノベーションを起こす人物は、ラッパを高らかに吹ける人なのだ。
楽しそうにラッパを吹いていれば、それを聞いている人たちもその内に笑顔になっていくのだろう。
その様子が目に浮かぶようだ。
我々はもっと本質について考えなければいけない。
閉塞感に打ちひしがれている場合ではない。
まずは自分が楽しんでラッパを吹き始めれば、きっと賛同してくれる人も出てくるのだろう。
他人の評価を気にしている場合ではない。
(2023/10/9月)続きを読む投稿日:2023.11.01
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