みんなが手話で話した島
ノーラ・エレン・グロース(著)
,佐野正信(訳)
/ハヤカワ文庫NF
作品情報
「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾(ろう)というだけでした」(本文より)アメリカ・ボストンの南に位置するマーサズ・ヴィンヤード島。20世紀初頭まで、遺伝性の聴覚障害のある人が多く見られたこの島では、聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。耳の聞こえない人も聞こえる人と同じように育ち、社交し、結婚し、生計を立て、政治に参加した。「障害」「言語」そして「共生社会」とは何かについて深く考えさせる、文化人類学者によるフィールドワークの金字塔。解説:澁谷智子(成蹊大学教授、『ヤングケアラー』『コーダの世界』著者)
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商品情報
- シリーズ
- みんなが手話で話した島
- 著者
- ノーラ・エレン・グロース, 佐野正信
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫NF
- 書籍発売日
- 2022.10.04
- Reader Store発売日
- 2022.10.04
- ファイルサイズ
- 3MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (20件のレビュー)
-
医療人類学者である著者が1979年より米ヴィンヤード島の島民・系図について調査、あらすじを締めくくる一文には「『障害』『言語』『共生社会』とは何かについて考える」とある。
普段身近でないコミュニケーシ…ョン手段であるため理解を深められるか心配だったが、この一文につられて読むことを決意した。
「あの人たちが特別と思ったことはありません。あの人たちは他の人とまったく同じでした。そうだとしたら、この島ほど素晴らしい場所は、他になかったんじゃないでしょうか」
ヴィンヤード島は映画『ジョーズ』のロケ地や元大統領のクリントン氏やオバマ氏の避暑地として知られている。しかしそれ以前の島は避暑地以上に人々(主に学者)から注目を受けていた。
聾者と社会の壁が撤廃された、珍しくも理想的なコミュニティだったのである。
1644年英ケント州ウィールド地方より最初の定住者65名が上陸した際は、いずれも聾遺伝子保持者でなかった。(そこまで分かっているのがまず凄い!!) しかし近親婚が何世代も続いたことで、聾遺伝子も現れやすくなる。中には4人に1人が聾者である地区も存在し、島内では健聴者も手話を交わしていた。
聾の子供の誕生は人々の間ではさしたる問題ではなく、何故島内で聾者が多いのか考えにも及ばなかったという。
回想エピソードを聞く限り、聾者・健聴者ともに非常に生き生きと暮らしている。
健聴者の中には言葉よりも先に手話を覚える者もいたようで、幼い頃から聾者との共生はごく自然なものだった。(健聴者同士が無意識に手話で話していた、なんてことも…!)
聞かれたくない話を手話で済ませたり、聾者自身も「聞きたくないことを聞かないで済む」と生まれ持った性質をプラスに捉えていて、微笑ましさすら感じ取れる。
中でもトランプ競技会の話が個人的に好き。
2人1組の2チームに分かれて競うゲームで、一方のチームが互いの手札を手話で教え合い、結果そのチームが大優勝。ゲームになると、なかなか参加の余地が難しいと思い込んでいた自分が情けなくもなった。
現代の我々が手話を特別視しているのを彼らが目にしたら、きっと不思議がることだろう。(実際島からボストンに出た島民が、人々が手話についてメディアなどで取り沙汰するのを不審がっていたそうな)
健聴者が合わせるというよりも、一言語として島に定着していたのか…!(島外からの移住者が増え、現在は手話を使える・使っている人が島には残っていない)
島の生活を実現していくのは至難の業に違いないけど、自分の中の特別視フィルターくらいはそろそろ取っ払っていこう。続きを読む投稿日:2023.02.04
論文を読んでいるかのよう。ヴィンヤード島の話を聞いていると、そもそもハンディキャップとは?と言葉そのものについて考えさせられる。島では手話は聾者のものではなく、健聴者も手話を操り当たり前の会話の手段と…して用いられている。それは、生まれた時からその環境にいたから聴こえようが聴こえまいが話題にもならない。知らないから不便や差別が生まれるのだと改めて思った。続きを読む
投稿日:2024.04.03
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