やまゆり園事件
神奈川新聞取材班(著)
/幻冬舎文庫
作品情報
2016年7月26日、知的障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が死亡、26人が重軽傷を負った「やまゆり園事件」。犯人は植松聖、当時26歳の元職員だった。なぜ彼は「障害者は生きるに値しない」と考えるに至ったのか。地元紙記者が、37回の接見ほか丹念な取材を続け、差別を許容する現代日本のゆがみを浮き彫りにした渾身のドキュメント。
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商品情報
- シリーズ
- やまゆり園事件
- 著者
- 神奈川新聞取材班
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎文庫
- 書籍発売日
- 2022.08.04
- Reader Store発売日
- 2022.08.04
- ファイルサイズ
- 6.7MB
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この作品のレビュー
平均 3.6 (10件のレビュー)
-
個人による日本における大量殺人事件「やまゆり園事件」。元職員の男がなぜこんな凄惨な事件を起こしたのか、だけにとどまらず、この社会に潜む病理に切り込んだ一冊。
確かに犯人・植松の思考は、常人のそれとは…違う。でも、異常者と言えるほど、突飛な発想ではないようにも思える。特に、障がい者の家族のしんどさや職員の疲れた様子を鑑みて、それを軽減させたいという思いはなんとなくわかった(だからと言って、勝手に命を奪ったり傷つけたりするのは言語道断だが)。でもこれが現実なんだろうなと。
そして、奪われて良い命などないという原則によって行われている裁判のはずが、死刑を求刑している(命をうばいにいっている)のが、最大のジレンマで、思わず唸ってしまった。事件の詳細や裁判の様子、やまゆり園や被害者に関する情報にとどまらず、障がい者を取り巻く社会の状況に目を向けて議論を進めているのが、本書のすごいところ。とくに、障がい者の子どもを特支に入れるか通常学級に入れるか、は私たち教育者にとっても大問題。
引き続き考えていきたい問題が山積している。
p.236 スケート植松の命
生きるには値しない。命は無いと、植松の独善に従うのであれば、植松自身の命の価値はどう考えれば良いのか。あくまでも私たちと等価であるはずの命に死をもたらす刑罰だからこそ、黙過たくない。
植松は生きるに値しない、とみなし、彼を処罰することはできない。植松の主張とそっくり重なり、否定したはずの彼の過ちを肯定することになるから。この取材で幾度も聞いたかパラドックス。落とし穴が待ち受ける。死刑によって、私たちが植松の命を奪う意味を、本書の終わりに通ってみたい。
p.268 支援と管理が逆転
身体障害者の大半は最重度の「障害支援区分6」で、言葉での意思疎通が難しい人が少なくない。暴れるなどの強度行動障害がある人もいる。
支援のあり方を模索し続ける桜の風でも、支援のつもりが、入所者を意のままに行動させようとしている時がある。入所者が管理の対象になるという主客が転倒した状態に近づく。
ある30代の男性入所者は、散歩や体操への関心が薄かった。職員はやる気を促すための策を練った。1日1回運動したらシールを1枚あげ、平日に毎日続けて5枚たまったら好物の缶コーヒーを飲むことができるという約束を交わした。
やがて支援の歯車が狂いだす。「運動に行かないとシールをあげないよ」「シールもらえなくていいの」。本人の頑張りを引き出すためのシールが行動を操る手段に逆転する。
ある時「シール5枚」を達成できず、落胆する男性の姿を見かねた職員から相談を受けた副施設長の佐野良は「来週は頑張ろうと励まして、きょうは缶コーヒーを飲んでもらおう」と助言した。
「支援計画が崩れる。いいんですか」と問い返す職員を、佐野は論した。「あなたは仕事で嫌なことがあったら、気分を晴らすために飲みに行ける。缶コーヒーをお預けにするのは、楽しみが奪われてつらい思いをしている人に、飲みに行っては駄目と追い打ちをかけるのと同じだ」
佐野が自戒を込める。「現場では、支援と管理が逆転していても、気づきにくい時がある。少しでも油断をしていると、本人の行動を制限すると言う危うさをしないかねない。」
続きを読む投稿日:2023.12.17
凶悪犯罪者に関する書籍で最も深かったと思う。快楽殺人ではなく、信念を持った犯行であり、植松死刑囚の問いかけは万人に通ずるし考え続けないといけない。特に京アニとの比較、被害者の記号化は考えさせられた。
投稿日:2024.04.17
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