八本目の槍(新潮文庫)
今村翔吾(著)
/新潮文庫
作品情報
石田三成とは、何者だったのか。加藤清正、片桐且元、福島正則ら盟友「七本槍」だけが知る真の姿とは・・・・・・。「戦を止める方策」や「泰平の世の武士のあるべき姿」を考え、「女も働く世」を予見し、徳川家に途方もない〈経済戦〉を仕掛けようとした男。誰よりも、新しい世を望み、理と友情を信じ、この国の形を思い続けた熱き武将を、感銘深く描き出す正統派歴史小説。吉川英治文学新人賞受賞。(解説・縄田一男)
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商品情報
- シリーズ
- 八本目の槍(新潮文庫)
- 著者
- 今村翔吾
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2022.04.26
- Reader Store発売日
- 2022.04.26
- ファイルサイズ
- 1.1MB
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この作品のレビュー
平均 4.4 (60件のレビュー)
-
最高にかっこいい石田三成に出会えました。
歴史は勝者がぬりかえるもの。敗者は事実と異なると言われがちですが、そもそも、一から十まで明確なものは残されていないわけで。膨大な資料の片隅からこれほどのしっ…かりとした、ドラマチックな人物を描くことができるとは。そしてそこに、作者特有の明るさと、温かさがあることが、読後の爽快感に繋がっているのだと思います。
地元ながら賤ヶ岳七本槍の武将名もままならなかったのですが、瑞々しく生き生きとした文章のおかげでそれぞれの表情まで想像することができました。今村さんに感謝✨
それにしても、一本目から七本目まで、それぞれが完成された映画のよう。七本分の世界観を楽しませていただきました。続きを読む投稿日:2022.07.09
賤ヶ岳七本槍とあぶれた石田三成の青春グラフィティー的な趣きのある作品。七本槍それぞれがエピソード主人公として、石田三成(や他の七本槍)との関係性を一章ずつ描いた短編連作で単独でも読めるが、前の章の台詞…が後でまた出てきたり、謎が解明されたりでやはり全体を読まないと全ては明らかにならない。
七本槍の面々が全員尖った個性的なキャラとして描かれているので、今日読むのはここまでと1日の最初に決めつつ、次は誰次は?とどんどん読み進めてしまい、最後4人は一気に読破してしまった。
そもそも七本槍とはよく聞くけど7人は誰で構成されているか全員の名前を言える人って歴史研究者や小説家、戦国オタク以外ほとんどいなさそうだし、知っててもじゃあこの人何した人?となるとほとんど知識は無いと思う。
作品冒頭を飾る7人のうち最も有名な加藤清正(虎之助)ですら熊本城を築城したことと朝鮮の役で暴れ散らかした事以外何したっけ?くらい業績が知られていない。あと、戦績は全然思いつかないのに武闘派としての側面だけ有名でなんで主計頭なの?っていう疑問もあったり。その辺も描かれているのが嬉しい。そして、この話は(というか随所にだが)謎が散りばめられて、後の章で徐々に回収されていき、最後を締める盟友とも言うべき福島正則(市松)であっと驚く展開を見せる。
続くのは誰おま?な糟屋武則(助右衛門)
、忠臣蔵では赤穂城受け取りの正使として有名な脇坂淡路守の藩祖ながら関ヶ原では小早川秀秋に呼応するかのように寝返って印象の良くない脇坂安治(甚内)、豊臣家の家老格として奔走するものの地味で、常に家康、淀殿双方から怒られまくっている中間管理職みたいな印象の片桐且元(助作)や子孫が山田風太郎の忍法帖に悪役として登場するくらいで、昔から名は知っているもののこれまで全く興味の無かった加藤嘉明(孫六)、またしても誰おま?な平野長泰(権平)など読む前は特に食指が動かない人物も構成の妙、各章のバラエティ豊かなテーマ、キャラクター造形は本当に引き込まれるし、それぞれの生い立ちや結末もはっとするものが多い。あと、章のタイトルが絶妙で、読む前と読後でタイトルから受ける印象が全く異なる。
それぞれのあっと驚く顛末は簡潔に書こうと思えば書けるけど、やはり是非読んでみてほしい。特に『蟻の中の孫六』。ほんとこのタイトルも驚天の秘密も(質の数が増えるところとか)細かな描写も感心した。
あと、物語の締めとして短気で一番頭が悪いとされている市松が否応なしに探偵役にされて、地道な聞き取り捜査で全ての謎を解いていくはめになるのも面白い。
さて、全編に共通して登場する主人公ながら、基本的には他人の視点で描かれる石田三成(佐吉)。
一般的に石田三成と武断派と呼ばれる加藤清正や福島正則らとは仲が悪かったとされているが、この作品ではほんとみんな仲が良くて……というか佐吉大好き人間の集団でほっこりする。中高共に帰宅部だった私が言うのもなんですが、高校の部活の仲間みたいな……ここまで石田三成と七本槍の関係性が深いのは、いや、この石田三成像がフィクション度高めでとにかく佐吉が超越者。これは今村作品の主人公の特徴のような気がしているんだけど、平家物語を描いた同著者による『茜唄』の平知盛と似た思想の持ち主。共に数100年から1,000年先の世界(つまり現代日本)を視ていて、知盛よりも佐吉の方が後代の人物だからかさらに先鋭的。戦争の無い民主的で平等な世界を理想として目指している。(本当に現在の世界が佐吉の理想通りになっているかはともかくとして)
一方、知謀に於いては自身の死後まで策を打つこれまた全てを見通した軍略で(演義の)諸葛亮を思い起こさせる。とにかく、家康も霞むほどのスーパーハイスペックなので、『茜唄』でも感じたけれど、やはり本作も漫画などのメディアミックスにぴったりなエンタメ度。
ただ漫画とかになると、例えば山田風太郎や荒山徹の作品のようにとんでも忍法や朝鮮妖術が出ると、いやいやこれは作者の創作でしよ?というのが一発でわかるのだけど、本作はそういう人外の技が出ないので人によっては創作部分(とは言えそういう可能性も万に一つあったかもしれない実に微妙なところをついている)も史実として信じてしまうかもしれないところが玉に瑕かなあ……。
P.S. あまり有名では無いながら、糟屋助右衛門はその最期のかっこよさもあってめちゃくちゃ人気出そうな感じするんですよね。キャラデザは『黒子のバスケ』の青峰とか『ヴァニタスの手記』のノエとか『名探偵コナン』の安室とかそんなイメージ。続きを読む投稿日:2024.05.06
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