自考――あなたの人生を取り戻す/不可能を可能にする/日本人の最後の切り札
岡田豊(著)
/プレジデント社
作品情報
【内容紹介】
これから、まったく新しいスタートを切りませんか。
思考を完全に切り替え、状況を反転させませんか。
やることは、たったひとつ。シンプルです。「自考(じこう)」です。
自分の頭で考えて、自分にふさわしい、自分のやり方を、見いだすこと。
新しいやり方を創り出し、新たな行動に移すこと。
この「自考」で、あなたの中の何かが変わります。
私がアメリカでの勤務を終えて帰国した時、日本は実に息苦しい社会だと気付きました。
人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。
自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。
他人を妬む。他人を排除する。出る杭を打つ。
決められたモノサシから外れたりする人を異質と決め付ける。
ナンセンスな社会です。おかしな社会です。
大事なのは、一人ひとりの個の人です。
すべての人が価値ある存在であり、すべての人の価値観が受け入れられていいはずです。
これからは私たち一人ひとりが、自分たちの質を高めていくしかありません。
必要なことは、一人ひとりが、古びた過去と決別し、新しいやり方を「自考」で創り出し、行動することだという結論に、私は至りました。
「自考」をひとりでも多くの人に知っていただきたい。本書にはそうした願いが込められています。
約30年間、メディアの視点から日本を見つめてきたテレビ朝日・元アメリカ総局長の著者がたどり着いた、人生を取り戻すヒントとは。
【著者紹介】
[著]岡田 豊(おかだ・ゆたか)
ジャーナリスト。1964年、群馬県高崎市生まれ。日本経済新聞記者を経て1991年から共同通信記者。山口支局、大阪支社、経済部。阪神淡路大震災、大蔵省接待汚職事件、不良債権問題、金融危機など取材。2000年からテレビ朝日記者。経済部、外報部、災害放送担当(民放連災害放送専門部会委員)、福島原発事故担当、ANNスーパーJチャンネル・プロデューサー、副編集長、記者コラム「報道ブーメラン」編集長、コメンテーター、ニューヨーク支局長・アメリカ総局長(テレビ朝日アメリカ取締役上級副社長)。トランプ氏が勝利した2016年の米大統領選挙や激変するアメリカを取材。共著『自立のスタイルブック「豊かさ創世記」45人の物語』(共同通信社)など。
【目次抜粋】
第1章 私たち市民の平和的な「革命」
第2章 日本人に欠けていた自考
第3章 自考が「不可能」を「可能」にする
第4章 自己責任で情報と向き合う時代 自考で見極める
第5章 自考で決別する 古びた伝統・慣習・価値観
第6章 会社員よ公務員よ、立ち上がれ 自考で目覚める
第7章 アメリカ人のセンス 出る杭を育て、やり直すことを認める
第8章 世界で埋没する日本 自考で食い止める
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この作品のレビュー
平均 2.0 (2件のレビュー)
-
日本を憂う 作者自身の経験から
自己中心的ということでなくしっかり自分で考えて肯定していけ ということかな投稿日:2022.02.23
時代にあった新しい価値観を、自分の頭で考え続けることの大事さを学べる本です。
変化の激しい時代では多様性が必要とされる一方で、伝統的な慣習、価値観などにより、変化が拒否されることも多いのが実情です。
…まずは、自らが他人の価値観を受け止めつつ、自分の頭で考えてみて、古い価値観に縛られていないか、求められる新たな価値観は何かを考え続けることの大事さと、その方法を教えてくれます。
もっと活躍したい、より深く考えたい、自分で考えて行動し、自分や社会を変えていきたいと思う人などが読むと、そのきっかけが得られる1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「伝統、歴史、慣習、価値観、ルールは日本発展の原動力で、それらがあったから今の日本の礎ができたのだろうが、時代は変化する。目に見えるものだけでなく、目に見えず、心の中に忍び込んでいるものもあるが、時代に合わない古びたものは、それらに感謝しつつも、新しいものに変えるべき。」
「人と違うやり方で挑戦する人に拍手を送る、無意味な忖度をやめて組織の支配から抜け出す、自分と異なる人をそのまま受け入れる、過去のやり方は参考にしつつ流されない、既存のルールに埋もれず縛られない。これらを自らの頭で本気で考え抜けば、未来を切り拓く本物の知恵を生み出せる。」
「自分の価値観や基準を『自考』で新たに見いだし、新しく創る。そして、他人が『自考』した基準や価値観をも受け入れる。政府や自治体、政治家のレベルは、きっと私たち国民のレベルなので、ただ批判していても何も変わらない。一人ひとりが自分たちの質を高めるしかない。」
→他人の価値観を、自分の価値観と合わなくても受け止めてみると、「なぜ」そうなのかを考えることで、新たな多様性が生まれることもあります。また、行政や政治など「他人のせい」にしてしまった時点で、思考が停止してしまいます。何事にも当事者意識を持っていると、前向きになれる気がします。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・これまで世間の無茶なモノサシ、価値観、慣習に随分と自分を合わせようとしすぎていた。これからは、かけがえのない自分のことを絶対に守る。ためらう必要はない。大事なのは、一人ひとりの個の人。すべての人が価値ある存在であり、すべての価値観が受け入れられていいはず。
・自分の価値観や基準を「自考」で新たに見いだし、新しく創る。そして、他人が「自考」した基準や価値観をも受け入れる。政府や自治体、政治家のレベルは、きっと私たち国民のレベルなので、ただ批判していても何も変わらない。一人ひとりが自分たちの質を高めるしかない。
・先人たちが一生懸命に営みを続けてきた中で培われた伝統や慣習やルールを変えるのは勇気が要るが、そのままでいいはずがないという現実が、自分、周り、世界中にたくさん存在する。新しい姿を、新しい形で想像する。「自考」は逃避やエゴではなく、自分と周りの人の今をより良く見直そうとする挑戦、未来を切り拓くための創造。
○私たち市民の平和的な「革命」
・「自考」は、自分の頭で考えて、①既存のルールや価値観、やり方などを疑う、②自分のやり方を見いだし、創り出す、③自分以外の人を受け入れる。④以降を自分で追加してもよい。
・先人が決めた“常識”、過去の成功体験、慣習、伝統、仕組みは、一生懸命に営みを続けてきた中で培われたものだが、その中に、私たちが自分らしくあろうとすることを阻み、自立を阻み、可能性を奪うものがたくさんある。
・人と違うやり方で挑戦する人に拍手を送る、無意味な忖度をやめて組織の支配から抜け出す、自分と異なる人をそのまま受け入れる、過去のやり方は参考にしつつ流されない、既存のルールに埋もれず縛られない。これらを自らの頭で本気で考え抜けば、未来を切り拓く本物の知恵を生み出せる。
○自己責任で情報と向き合う時代
・メディアの情報に完全に依存したり、ネットの情報をそのまま鵜呑みにするやり方には限界があり、「受け手」が自己責任で情報を見極め、判断することが重要になる。「出し手」と「受け手」が双方で監視し合い、尊重し合い、成長し合えるやり方のほうが、民主社会の質を高めることにつながる。
・ネット上の情報がウソか本当か見極めたり、メディアによる不作為の誤報や情報操作、不要な忖度をチェックできる「情報リテラシー」は、漢字の読み書きや算数の足し算、引き算に匹敵するほど、重要な基礎的能力になっているかもしれない。
・学校(小中高)、大学、図書館、大手メディア(新聞・TV・出版)、NPO・地域コミュニティ、個人などさまざまな主体が情報リテラシーを普及させ、批判的な思考力や広く深い思考力を身につけるリテラシーが広がれば、私たちに直接有益になるだけでなく、ネット情報やメディア情報の質が高まる効果が期待される。
・世の中にあふれる玉石混交の大量の情報の中から、本当の事実を見極めるのは簡単ではない。自分の頭で考え、判断し、本物か偽物かをその都度見極める覚悟が必要。情報を①事実(現場や当事者から自分の目と耳で直接確認した内容)、②事実の可能性が高い準事実(①の確認はできないが、事実と思われる内容)、③事実かどうか確認できない情報(①②以外)に分け、②は「事実の可能性が高いが疑う余地あり」と解釈する。過去の史実や歴史も、当時の為政者らの一方的な価値観で書かれた可能性があるので、③に分類した方がよいかもしれない。
・情報の真偽の判断は、自分で直接確認するのが一番だが、簡単ではない。①誰がいつ発信した情報か、②情報発信者が実名か匿名か、③ソース、根拠を明示しているか、④情報と発信者の関係性、⑤発信者が情報を発信した目的、の5つを確認し、その上で複数の発信者(媒体)の情報を確認すれば、信憑性をある程度見極められる参考になるかもしれない。
○古びた伝統・慣習・価値観と決別する
・伝統、歴史、慣習、価値観、ルールは日本発展の原動力で、それらがあったから今の日本の礎ができたのだろうが、時代は変化する。目に見えるものだけでなく、目に見えず、心の中に忍び込んでいるものもあるが、時代に合わない古びたものは、それらに感謝しつつも、新しいものに変えるべき。
・量をいたずらに追いかけず、惑わされず、質を重視すると、社会を良くするための選択肢が広がる。多くの人が受け入れる量、どこかの団体が決めた権威付けの賞も、何がしかの根拠がある判断基準だが、それだけに依拠して他を見過ごすと、別の大事な価値観を見失うかもしれない。
・海外には「日本社会は同質性が高いから混乱が起きにくい」という分析もあるが、別な角度からは「個性を我慢しなければいけないため平均値に押し込められ、同質な社会になっている」という見方もある。
○自考で目覚める
・会社は、労働力、技術、能力を提供し、対価を得る場。日本でも転社、転職への抵抗感はだいぶ減ったので、価値観などが合わなければ会社を変えればいい。ただ、会社を変えただけで自らの所属意識が強いままでは、会社の価値観に翻弄され、自分の仕事人生を楽しめないかもしれない。
・圧倒的な当事者意識、健全な危機意識、ともに生きていく仲間意識、この3つの意識を持った社員を抱えた企業は絶対につぶれず、発展する。多様な評価が必要なので、年功序列制度ではなく、社員の数だけ雇用契約がある。
・会社は、社会にとって、働き手にとって、生活の糧や未来への希望などを生み出す原動力となる欠かせない存在。公務員は、特別な使命を負った自立した立場の人。会社員も公務員も、毎日、小さな判断や大きな判断を迫られて過ごしている。軸がぶれそうになったら、自分の良心と志に立ち返ればいい。
・トライしない人は、夢を実現することはない。リスクもあり、不安も大きいが、自分の夢をどこまで実現できるのか、それにトライする人生は、きっと楽しいはず。トライする人が多いほど、新しい事業や世界が実現する確率も高まるはず。大勢の人がトライする社会は、きっと明るく、たくましく、楽しい。自考すれば、トライすべきかの答えは自ずと出る。
○世界で埋没する日本を自考で食い止める
・日本の実力は、私たちの想像以上に速いスピードで衰えていて、世界の中で比べると、それがはっきりする。認めたくない人も多いが、現実から目を背けていては状況を悪くするだけ。自分たちの姿をしっかり直視して、何をどうすればいいか、一緒に自考したい。
・日本財政の問題は、政治家に任せきりにするのではなく、私たち一人ひとりが自考すべき、避けては通れないテーマ。財政破綻で日本人の「自由」が奪われてしまうことだけは何としても避けたい。問題なのは、避けて通れない課題と闘うことを避け、国債発行という借金を重ね、負担を先送りしてしまえばいいという安易でずるい発想。続きを読む投稿日:2022.07.19
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