父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる
陳建一(著)
/岩波ジュニア新書
作品情報
中華の神様と呼ばれた父・陳建民氏.父と同じ味を出したい,偉大な父に少しでも近づきたいと悩む建一氏を救ったのは「お父さんの真似ではなくて,自分の料理を作ればいいじゃない」という言葉だった・・・.父という大きな壁を乗り越え,一流の料理人として活躍する中華の鉄人が語る「幸せ」に生きるための極意.おいしいレシピ付.
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商品情報
- シリーズ
- 父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる
- 著者
- 陳建一
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波ジュニア新書
- 書籍発売日
- 2006.07.20
- Reader Store発売日
- 2021.10.28
- ファイルサイズ
- 6.8MB
- ページ数
- 220ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
[ 内容 ]
「中華の神様」と呼ばれた父、陳建民。
父と同じ味を出したい、偉大な父に少しでも近づきたいと悩む息子、建一を救ったのは「お父さんの真似ではなくて、自分の料理を作ればいいじゃない」という言葉…だった…。
父という大きな壁を乗り越え、中華の鉄人として活躍する著者が語る「幸せ」に生きるための極意。
おいしいレシピ付。
[ 目次 ]
1章 僕という少年
2章 料理業界に入って修業の日々
3章 逃げ出したい―立ちはだかる壁に背を向けて
4章 料理人であるという意識が確立したとき
5章 現在の四川飯店―僕のポリシー
6章 働くこと―陳建一の仕事の現場
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]続きを読む投稿日:2011.03.25
○新書で「学校生活」を読む⑫
陳建一『父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる』(岩波ジュニア新書、2006年)
・分 野:「学校生活」×「人生を読む」
・目 次:
はじめに ♪パッパラパッパッパ――…人生の極意
1章 僕という少年
2章 料理業界に入って修行の日々
3章 逃げ出したい――立ちはだかる壁に背を向けて
4章 料理人であるという意識が確立したとき
5章 現在の四川飯店――僕のポリシー
6章 働くこと――陳建一の仕事の現場
おわりに 三代目となる息子へ
あとがき
付録レシピ 家庭で作れる陳建一ごはん
・総 評
本書は、有名な料理人である著者が自らの半生を振り返りながら、料理への“思い”を語った本です。著者は、日本に初めて四川料理を紹介した伝説の料理人・陳建民を父に持ち、自身も二代目料理人として四川飯店グループの代表を務める人物です。
料理人の息子として多彩な料理を口にした子ども時代、やがて父と同じ料理人の道を歩み始めるも、偉大な父の“息子”という重圧に悩んだ修業時代、そして父亡き後に二代目として店を切り盛りする日々――そんな「山あり谷あり」な人生が、著者の明るい筆調で書かれています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。
【POINT①】料理人に必要な“資質”とは?
幼少期から様々な料理を味わい、時には自分で作ってきた著者は、料理をする際に大事なこととして「感じること」を挙げています。例えば、炒めた時の音や色、そして食べた時の味といった“五感”をフルに活用して料理を「感じる」ことが上達の第一歩だと言います。また、ある食材を見た時にぱっと「関心」がわくかどうか――即ち、この食材を「どうやっておいしくしてやろうかな」と勇み、これまでの経験を活用して、その食材が最も輝くような料理に挑戦してみる――そうした「ファイティングスピリット」がないと一流の料理人にはなれないと著者は指摘しています。
【POINT②】父という“立ちはだかる壁”を前にして
料理人としての修行を続け、お客さんに自分の料理を出せるようになった時、著者は“父”という壁にぶつかります。自分の料理が「常に父という中華の神様の味にどれだけ足りないか」という視点で見られるようになり、半年にも及ぶスランプに陥りました。しかし、ある日、妻の言葉をきっかけに「俺は陳建民じゃねえんだ!」と踏ん切りがつき、そこからは「自分のファンを作っていこう」と思うようになったと言います。この半年間は著者にとってつらい日々でしたが、それでも料理人以外の道を選ぼうという気持ちは一切起こらず、やはり「理屈ぬきに僕は料理が好きなのだ」と再確認できたと著者は指摘しています。
【POINT③】“経験”が“技術”になる時
料理人としての“技術”を習得することについて、著者は「今まで悩みながらやってきたことがパッとできるようになったとき、身についたと言えるのではないか」と指摘している。そのためには「さまざまな経験を通して〔技術を〕培っていく」必要があり、具体的には、つらさや楽しさの連続が“経験”として蓄積され、ある場面に出くわした時に、自分の中にある経験の「パターン」から対処できるようになる――その繰り返しを経て技術が向上していくと言います。時には“三歩進んで二歩下がる”ことも必要であり、下がることは「踏ん張ってまた一歩前進するときの力強さを生み出す」と著者は指摘しています。
本書では、さまざまな中華料理が登場しますが、その調理の様子などが臨場感あふれる形で書かれているため、とても食欲をそそられる内容になっています。また【POINT③】で触れた“経験”と“技術”の関係については、料理に限らず、勉強やスポーツにも同様のことが言えるはずです。自分の中で経験を蓄積してパターン化するためには、その都度、自分の行動について反省(振り返り)をして積み重ねていく必要があります。まさに料理の“技術”を習得することに生涯をかけた著者の半生を読むことで、学べることは非常に多いと思います。
(1398字)続きを読む投稿日:2023.11.22
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