ティファニーで朝食を(新潮文庫)
トルーマン・カポーティ(著)
,村上春樹(著)
/新潮文庫
作品情報
第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった・・・・・・。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
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商品情報
- シリーズ
- ティファニーで朝食を(新潮文庫)
- 著者
- トルーマン・カポーティ, 村上春樹
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2008.12.01
- Reader Store発売日
- 2020.07.03
- ファイルサイズ
- 2MB
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この作品のレビュー
平均 3.9 (349件のレビュー)
-
映画版は途中で投げ出した。
高校生の頃、自由奔放で殿方を弄ぶヒロインに嫌気がさし"Moon River"を聴かぬまま電源を切ってしまったのだ。銀幕のHolly Golightlyとはそれっきり。とっく…に大人になってても良い頃合いなのに、あの頃の気持ちを中途半端に残したまま鑑賞できないと、未だにツッパっている。でもあの時もったいないことをしたとさすがに自覚はしているから今回(一方的な)和解をしようと、思い切って原作から乗り込んだ。
この奔放さは「しなやかさ」か。(便利な言葉…) 18歳とは思えないくらいしなやかに世の中を、殿方が見上げる垣根の上を悠々と渡り歩き、時たま寂しがり屋にもなる猫ちゃん。映画と違う箇所は恐らくストーリーの一部と時代設定、彼女の見た目年齢かと思われる。彼女が愛してやまないティファニーも読者の記憶にはそこまで残らず、恐らく原作だけじゃここまで話題に上がらなかったんじゃないかな…
それでいて村上春樹氏によるほぼ現代的な翻訳が、映画で刷り込まれたクラシカルでハイセンスな印象を多少だが取り払ってくれている。(あとがきは今まで読んできた中で一番主観的&赤裸々な書き様だった笑)
「君くらい枠に収まらない人には会ったことがない」
「それが私なの」
「読み進めるうちあるある」と言うべきか、当初は気に入らなかったヒロインの、出自やそこから生まれ出た信念を知るにつれ、少しずつだが情が湧いてきた笑 特にあの電報を受け取って以降は逞しさにも磨きがかかった気がする。
自分なんかが気にかけようが毛嫌いしようが、地表でも地底でも何食わぬ顔で生存してみせることだろう。そこが彼女にとっての「ティファニー」であればなお良しってとこか。
言い忘れていたが、本書はカポーティの短編集で『ティファニー』の他にも3編収録されている。都会的な『ティファニー』とは真逆の風合いとも言える『クリスマスの思い出』が特に惹かれたかな。飾り気のない文体はカポーティじゃなくて『ティファニー』の主人公(作家)が筆をとっているのでは?と謎の妄想も膨らませていた。締めくくりもまた『ティファニー』とは真逆だが、その分あの心象風景がそのまま心に沁み入ったのである。
村上氏の仰る通り、銀幕のHolly Golightlyとは全くの別人だった。しかし姿形が変わっても芯までは手を付けられていないと今なら信じていられるから、近いうちに会いに行ってみる!続きを読む投稿日:2022.03.06
このレビューはネタバレを含みます
映画を初めて見て、違和感を感じてしまったので原作を読んでみたら、とても好みだった。そう!ホリーは永遠に手に入らないひと、掴めない自由さ!
レビューの続きを読む
それを悲しく思ったり淋しく思ったり切なく思ったりするのも、き…っと凝り固まってるの 人の幸せなんて決められないのに 自由ってわるいこと?
なんだか、映画では「間違った考えを目覚めさせる物語」「ほらこれが愛だ、幸せだろう」ってのが押し付けられた感じがして。私の中のホリーが一瞬でホリーじゃなくなっちゃった。別の作品だと思って愛することにする
原作の中の「私」は「安住の地」に惹かれ、ホリーにもそういう場所ができるようにって願ってたけど、
自分はどうしてもホリー的立場に立ってしまうので何となく嫌だった。凝り固まってる。世間一般の考えっていうのかな おしつけてこないで
ホリーは自由な旅人なの 儀式的に一生一緒にいる誰かを決めて、優しさと暖かさと変わらない日常に拘束されて、その地に永遠に立ち止まるなんてつまらないし絶対イヤ 言い方悪いけど、心の底から
私が幼いから?
ホリーが捨てた猫は、最終的にその後他の人に拾われて、暖かそうな部屋で飼われてた ホリーとは対照的で、きっと彼女はこうなりたくないと思っているのではないかと感じる わたしもなりたくない
個人的に龍口さんの後書きも好きだった続きを読む投稿日:2024.03.27
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