書くための文章読本(インターナショナル新書)
瀬戸賢一(著)
/集英社インターナショナル
作品情報
日本語の文章で力点が置かれるのは圧倒的に文末。文末は、文の全体に書き手の意思を伝え、情報の核を据えるところ。そして、もっとも記憶に残りやすい。だから文章におけるパンチの効かせどころだと著者は説く。ところが日本語では最後に動詞がくるので、付け足しがしにくく、その大切な文末が弱い。さらに「です」「だ」などが連続して単調になりがちだという弱点もある。これらをどう解決するか。『日本語のレトリック』『メタファー思考』などのベストセラーがある言語学者が向田邦子、筒井康隆、井上ひさしなどの名文を引いて丁寧に構造を分析し、わかりやすく解説。プロの文章テクニックが身につき、伝わる文章が書けるようになる、まさに「書くための」文章読本。また引用されたバラエティに富む名文で、日本語の美しさや豊かさ、作家の技が堪能できる。実践的でありながら楽しい1冊! ○斎藤美奈子氏(文芸評論家)推薦! 「日本語のお荷物「文末」が、かくもエキサイティングだったとは!」
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商品情報
- 著者
- 瀬戸賢一
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社インターナショナル
- 書籍発売日
- 2019.12.11
- Reader Store発売日
- 2020.02.28
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (15件のレビュー)
-
以前、他の本の感想でも書いた記憶がありますが、文章を書く際に迷うのが、「だ・である調」か、「です・ます調」か、という点。
前者では、淡白な表現になりがちで、後者では、「です」で終わることの多いこと多い…こと。
文字通り、日本語について回るこの文末の表現は、歴史的観点から見ても、多くのライターを悩ませ、「文豪」と呼ばれるスペシャリストは、エレガントにこれを解決してきました。
この本では、そんな文末に着目し、単調になりがちな結びの部分を、有名作家たちがどう解決しているかを、構造から読み解く作りとなっており、ただ名文を眺めて感慨に浸るのではなく、使いこなせるようにすることを目指しています。
そのため、内容としては新書でありながらも、かなりハードな部類。
読んでみると、学生時代に習ったこともありながらも、いざ自分が使うとなると、なかなか乗りこなせない、暴れ馬のような表現技巧の数々。
まるでみじん切りのように、文章を分解していく流れは、ことごとく脳の栄養分を消費し、思わず、糖分が欲しくなる…。
それほどまでに、今まで意識して文末表現を使っていなかったことを痛感させられました。
どうしても書き出しに意識が向きすぎて、あとは勢いに任せてざっと書き上げる自分。
そんな私にとって、この本はブレーキをかけてくれるきっかけになったように思います。
(このレビューを書く際に、意図的に「です・ます」で終わらないように意識してみましたが、なかなかに難しいですね。)続きを読む投稿日:2019.12.22
文章を書く際に悩ましいのが『文末問題』。単調になりがちな文末を解消するための技法やテクニックを文学小説を引用しながら紹介している本。ネチネチと文末技法を追っていく熱量がすごい本です。
最初の方は難し…くて挫折しそうでしたが、ちょっと読み飛ばしつつ読み進めていくと発見があったりして面白くなってきました。引用程度ですが文豪の文末表現を味わえるのもなんだか楽しい。
自分もnoteで文章を書く時には文末表現を多少コントロールしていましたが、ちょっと意識しているくらいです。改めて文末技法について言語化されたものを目の当たりにすると、日本語ってほんとに奥が深いし、無意識に日本語を駆使している日本人もすごい民族だなと感心しました。
勉強になったのは、文章に律動感や躍動感を与える方法。
「デス・マス調とダ・デアル調をうまく調整する」、「過去・完了の「た」に現在形をうまく配合する」のがポイントですが、これによって文章の【主体性】を高まり、まるで書き手あるいは語り手が 現場に立ってその場の空気感も含めて実況中継をしているようになります。
文章の【主体性】という概念を知ったので、これから小説をよむのが楽しみ!機会があれば自分の文章にも取り入れていきたいです。続きを読む投稿日:2024.01.15
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