異端の統計学 ベイズ
シャロン・バーチェ・マグレイン(著)
,冨永星(訳)
/草思社
作品情報
ベイズ統計学は、機械翻訳、迷惑メール除去など身近なITにも利用され、人工知能やビッグデータ解析にも不可欠の、いまや注目の理論。
だが、統計学界の主流派「頻度主義者」により、「ベイズ」は200年近くの長きにわたり、異端視されてきた。
それでも、第二次大戦中・戦後に暗号解読、敵潜水艦の探索などの軍事面や、保険数理、意志決定理論などの実用面で、ひっそりと発展。
やがて、コンピューターの進歩・普及が、ベイズ統計の劣勢を一気に逆転させた。
ベイズ統計の数奇な遍歴と、統計学者たちのあまりに人間的な諍いの物語が、初めて語られる!
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商品情報
- シリーズ
- 異端の統計学 ベイズ
- 著者
- シャロン・バーチェ・マグレイン, 冨永星
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 草思社
- 書籍発売日
- 2018.12.01
- Reader Store発売日
- 2019.02.06
- ファイルサイズ
- 1.9MB
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この作品のレビュー
平均 2.9 (9件のレビュー)
-
ベイズ統計の歴史について述べた本。
トーマス・ベイズによるベイズの定理の発見から、ベイズ統計が市民権を得るまでについてとても細かく記述されているので、面白いのだが読むのに時間がかかった。
ベイズが生…きていた時代に18世紀には、数学者や科学者の多くは自然界の法則を知ることで神の存在を知ることができると信じていたというところが文化の違いを強く感じさせた。また、学問の世界でははじめは受け入れられなかったが、暗号の解読や沈没した潜水艦の場所を探すことなど学問の世界の外で先に使われているという点が興味深かった。
全体的に読み物として面白かったが、ベイズ統計そのものについての勉強のための本ではないのに注意が必要。逆に、教科書的な記述では知ることのできない人間模様を知ることで心理的な抵抗がなくなるかもしれない。続きを読む投稿日:2020.12.20
このレビューはネタバレを含みます
ベイズ統計の歴史をまとめた"風"の内容。
レビューの続きを読む
ベイズ統計の中身やその発展を説明してくれるのかと期待して買ったが、ベイズ統計の数学的・解析の部分は皆無で関係した人物や社会での扱われ方といった内容の歴史的な事…柄が書かれている。
ベイズ統計について多少の知識があっても、何について書いているのか全くわからない内容が多く、
著者はベイズ統計どころか、統計学を全く理解していないのでは無いかと疑われるような記述が随所にある(文章の書き方、展開からして翻訳の問題ではない)。
ベイズ統計の発展を見るつもりで読み進めたが、読み終えても「結局、ギブスサンプラーとMCMCが出てくるまで使い物にならなかったのか」という感想しか生まれなかった(※ おそらく著者のせいで誤った印象になっている)。
文章自体は読みやすいが、構成や書き方に気に入らないことが多く、よく最後まで読み切ったなと感じる。
序盤の、ベイズの法則が生まれたあとから第二次大戦時まで(1〜5章)は時系列で物語が展開していくが、
大戦後〜70年代くらいの内容(6〜15章)は同時代の様々な事例が各論として羅列されるようになるので、6、7、8章あたりを読み始めた際には章ごとに時間が行ったり来たりして混乱してしまった。
時系列で3部構成に編集し直して、「黎明期」「散発的な発展」「爆発的な浸透」のように分け、2部の冒頭で前章最後のまとめと各論の羅列になる旨の短い文章を入れるだけでずいぶん読みやすくなると思う。
また、6章以降ではベイズ統計が様々なところで小規模に、散発的に使われていくのだが、
それぞれの章の中ではその事例を賞賛しているのに、次の章に入ると前章までの事例をけなすような(広がらなかった、上手く行かなかった)な展開が繰り返され、辟易する。
評価に一貫性が無く、直前まで褒めていたものを急に貶す内容が繰り返されると興ざめだし、一見上手くいかなかったように見えても方法論の内部では知識が蓄積され、どんどん研ぎ澄まされていくことがある(それが後の大きな飛躍の礎になる)のが理解できていないのは著者がバカなんだろうと思ってしまう。
本書の随所で"頻度主義"と"ベイズ派"の対立が書かれているが、それぞれの派閥に属することの定義が書かれていないためかなりわかりにくい。
「ベイズの法則を一度でも使ったことがある」人がベイズ派の定義なら頻度主義者なんて昔からほとんど居ないことになるだろう。今も昔も問題の多くは「事前確率をどうするか?」「事前確率が気に入らない」に収束するのだから統計分布を新しいデータでたたき直すのに文句のある人は極端に少ないはずだ。
逆に、フィッシャー流の統計学を主に使う人が頻度主義者なら現在でも頻度主義は健在で、本書の末にあるようなベイズの一方的勝利ではない。
時代とともに頻度主義・ベイズ派の定義も変わってくるだろうから章や部ごとにそれぞれの派閥の定義を適度に更新すべきであったと感じる。
この不明確な言葉・概念の使用は、文中で多く見られる。例えば「ベイズの深遠な哲学が・・」(※ のちには大したことない扱いになっているのも意味不明)のような部分はもう少し詳しく書いてもらわないと、ベイズを知っている人でも「ああ、あの概念はこんな以前に完成していたのか・・」とはならないだろう。
本書は数式を使わないのではなく、(著者が理解できないから)使えないだけなんだろうなと思えた。
ページ数は600ページを超え、無駄に長いが、
得られるものが少ないだけでなく、著者の興味の偏りが明瞭に見える(内容が極めて薄い章が紛れ込んでいたりする一方、軍関係の内容は記載が過剰気味である)ので、「こんなに無駄に長くしないで、書きたい部分だけを書けば良いのに」と思いながら読んでいた。
本書の題名にそのことがよく表れていて、本書の内容全般としては邦題の方がよく合っていて秀逸だが、英語タイトルこそが著者の書きたかった内容なんだろうなと思う。続きを読む投稿日:2024.03.04
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