ある町の高い煙突
新田次郎(著)
/文春文庫
作品情報
映画「ある町の高い煙突」
2018年春撮影開始。
2019年春公開予定。
明治38(1905)年、買収によって茨城の地に開業した日立鉱山。やがて鉱山の宿命ともいえる煙害が発生。亜硫酸ガスが山を枯らし、農民たちの命である農作物までも奪っていく。
そこで、立ち上がったのが地元の若者・関根三郎(モデルとなった実際の人物は関右馬允)である。郷士であった名家に生まれ、旧制一高に合格、外交官という夢に向かって進んでいた。しかし、祖父・兵馬が煙害による心労で倒れ、人生が変わる。
こうして、地元住民たちと日立鉱山との苦闘のドラマが幕を開ける。
試行錯誤の末、1914年、当時としては世界一の高さを誇る155.7mの大煙突を建設し、危機を乗り切るのであった。
足尾や別子の悲劇がなぜこの日立鉱山では繰り返されなかったのか。
青年たちの情熱と今日のCSR(企業の社会的責任)の原点といえる実話を基にした力作長篇。
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商品情報
- シリーズ
- ある町の高い煙突
- 著者
- 新田次郎
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2018.03.09
- Reader Store発売日
- 2018.03.09
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 384ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (14件のレビュー)
-
ウィキペディアで「日立鉱山の大煙突」と検索すると、本書の基になった実話が出てくる。
現在の茨城県日立市の日立鉱山では、銅の採掘と精錬を行っていた。銅を精錬する際には、有害なガスが発生し、周囲の集落の作…物や木々を枯らす等の深刻な被害が出ていた。それは、日立鉱山ばかりではなく、他の鉱山、例えば、足尾銅山や別子銅山でも同じであり、日本で最初の公害問題である。各銅山では、会社側が周囲の住民が被った被害に対しての賠償を行っていたが、その賠償の方法や額をめぐっては、少なからぬ摩擦が生じていた。日立鉱山では、賠償に加え、被害そのものを軽減するために、高さ156メートルの大煙突を建て、有害な煙を広範囲に拡散させることによって、煙害問題の軽減を図ろうとした。大煙突が建てられ実際に稼働を始めたのは、1915年3月のことで、今から100年以上前のことである。
他の鉱山では賠償が焦点であり、その内容をめぐって深刻な対立が生じていたのであるが、ここ日立鉱山では、煙害を軽減するという解決に向けての取組が行われたこと、また、日立鉱山側と住民側が対立するばかりではなかったこと等が、異なっていた。
本書はこういった実話をもとにした小説である。
この小説は、1968年に「週刊言論」という雑誌に連載されたものである。単行本としての発行は1969年。
日本では戦後の工業、特に重化学工業の発展に伴って、各地で水質汚染や大気汚染といった、いわゆる公害問題が深刻化していった。それは、例えば、イタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそく等であり、大気汚染では、自動車の排ガスを原因とする光化学スモッグ等の問題も深刻化していった。
1967年になり、ようやく公害対策基本法、1968年には大気汚染防止法が成立、更には1971年に環境庁の発足等、遅ればせながら国も対応を取り始めていた。
本書の発行年である1969年というのは、そのような時代背景を持っており、公害問題が耳目を集めていた時期のことである。
本書のベースとなった日立鉱山の煙突の話は、よくよく考えてみると、有害ガスを大気中に「薄めて」排出するだけの話であり、有毒ガス自体をなくすものではなく、今の時代の考え方からすれば、対策としては非常にプリミティブなものではある。しかしながら、一方で、それは100年以上前の話であり、足尾銅山や別子銅山といった他の公害問題への対処の仕方とは、明らかに一線を画しており、より本質的な解決に向けての努力がなされている。筆者の新田次郎は、そのことに注目したのであろう。
公害問題(現在では環境問題と言った方が良いと思うが)は、時代の認識の変化、技術の進歩などによって、焦点が時代とともに変化してきている。そういった中で、より本質的な解決を目指そうとした、本書に書かれた話は注目されて良いものだと思う。続きを読む投稿日:2023.06.19
現存する日立の大煙突をモデルにした作品。
周辺住民と企業が互いに理解し合い、合理的に公害問題へ取り組んでいく姿勢は現代でも見習うべき形であると感じた。投稿日:2021.01.14
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