稲盛和夫経営講演選集 第2巻 私心なき経営哲学
稲盛和夫(著)
,京セラ株式会社(著)
/ダイヤモンド社
作品情報
「稲盛和夫経営講演選集」シリーズ第2巻のテーマは哲学。創業直後に掲げた「全従業員の将来にわたる物心両面の幸福を追求する」という経営理念と「人類社会の進歩発展に貢献する」という思いが、いかに京セラ発展の原動力となり、いかなる結果につながったか。経営と哲学の関係を語り尽くす1990年代珠玉の講演集。
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商品情報
- シリーズ
- 稲盛和夫経営講演選集
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 書籍発売日
- 2015.09.10
- Reader Store発売日
- 2015.09.14
- ファイルサイズ
- 2.7MB
- ページ数
- 384ページ
- シリーズ情報
- 既刊6巻
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この作品のレビュー
平均 0 (2件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
結局、みなさんも一介の人間です。頭の良さにはさほど違いはありません。確かに利発な人と、そうでない人がいますが、そうした能力の差は努力で相当カバーできます。しかしそれでも、やっている仕事の出来には月とスッポンほど違うことがある。それはなぜなのかというと、その人の人間性によって、そのように大きな差が出るのです。
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経済界は修羅場ですから、特に闘志は欠けていてはいけません。幸い大学時代に空手をやっていたものですから、勇気はありました。どんな修羅場で本当のけんかをやっても怖くない、と思っていました。
人間性が良いというのはいいことですが、それが行き過ぎて子どもの頃からけんかもしたことが無いというような人は、経営者としては失格だ、ということです。社長や副社長、常務などの立場になっておられる方は、その双肩に会社の運命、従業員の運命がかかっているわけです。そうであれば、けんかを恐れるというような勇気にかける人では責任をはたせないということです。負けてもいいのです。腕力が弱く、殴り倒されても構わないのだけれども、決してひるんではならないのです。負けることが分かっていても、殺されるかもしれなくても、その場に出て行くだけの勇気を持つべきなのです。
人間とは弱いものです。自分の意思で自分を変えることはなかなかできません。できないと思い込んで、自分で可能性を否定してしまうのです。可能性を信じる人にしか、自分を変えることはできないのですが、それはなかなかできることではありません。人間と言うのはメンタル、つまり感情的にはたいへん弱いものなので、自分を鍛えてそう仕向けて行くことはできないのです。
決めたことが正しいか正しくないかと言うことは、リーダーシップとは別の問題であり、リーダーシップはまず「決める」ということが大切だろうと私は思っています。ですから、リーダーはそのような人物でなければならない、ということが現在人々の間で議論になっています。
組織に影響力を及ぼすこと、これがリーダーの第一条件なのです。
決断と言うと何かとても大きいことをしているように見えますが、実際にはほとんどがささいな、身近なレベルでの決めごとです。そのような無数の些細なdecisionから、ここぞという大きなdecisionまでを含めた、過去の自分のdecisionが集積されたあるいは統合されたものが、現在の会社の業績成果だろうと思うのです。また、人生の場合は、今まで行ってきた全部のdecisionを集積したものが、現在の人生の成果だと思うのです。
決断を下す時に、どういう基準で物事を考え、判断を下すか?
①利害損得(本能)の基準で判断を下す。
この判断基準の大元を辿っていくと、人間の本能に辿り着く。自己防衛、自分の肉体を守るという本能である。本能は、主観的で利己的なもの。本能で判断しているケースは多い。自分個人のレベルだけでなく、課と言うレベル、局のレベル、省や国のレベルでも、本能による判断は存在する。
本能を基準として判断を下すと、一過的には成功するかもしれないが、長期的には破綻する。例)バブル経済
②理性の基準で判断を下す。
理性は、客観的なもの。推理推論を行い物事を決めて行くというプロセスになる。
理性による判断は、限界がある。ありふれたことに対する判断はできるが、前例のないことに対する判断はできない。なぜならば、理性とは論理の組み立ての作業のことであり、そこには一定の限界があるから。
③魂の基準で判断を下す。
魂とは、良心のこと。良心とは真・善・美のこと。真とは、真理を求める心。善とは良き心(他人の喜びを自分の喜びと感じること。他人の苦しみを自分の苦しみと感じること。思いやり。利他の心)。美とは美しいものを求める心。
魂の基準での判断は一見すると難しそうだが、凡人にもできる。
問題に遭遇した時本能で反応するが、本能を横に置く。その次に理性で判断を試みる。それでも判断できなかったら、魂で判断する。具体的には、自分を外に置いて課のことを考える。課のことを外に置いて局のことを考える。局のことを外に置いて省のことを考える。省のことを外に置いて国のことを考えるというプロセス。
(関わりのある人たちを含んだ次元のレベルで、魂を基準に判断すればいいと思う。森田)
仏教には五行という言葉がある。
①布施・・・他人を思いやるという真我の境地。
②持戒・・・戒律を守るということ。
③精進・・・一生懸命に努力するということ。
④忍辱(にんにく)・・・不平不満をいわないで耐え忍んで頑張るということ。
⑤止観・・・座禅を組んで、心静かに一瞬を過ごすこと。
私は政治家や官僚は、偉いとは思っていません。何人かでも従業員を雇っておられる事業者こそが偉いと思うのです。
もともと度胸がある人間は、だいたい粗野なはずです。度胸があるのは格好がいいように見えるけれども、実は人間が雑だから度胸があるのです。繊細さがありセンスがあり頭も良ければ、それほど度胸が備わっているわけがない。粗野だから、その人は度胸が瑠ように見えるのです。
しかし、事業に成功するにはガッツが要る。繊細さを超えて、場数を踏んだ者、鉄火場をくぐって鍛えてきた者、ヤクザの世界なら命を賭けたけんかの場を何回もくぐって度胸をつけた者、そうゆう人間が本当に強いのです。だからヤクザの世界を見ても、見るからに派手な刺青のごつい親分というのは一人もいません。大体がおとなしそうな、身体の小さな親分が多い。投稿日:2015.12.27
・従業員の運命がかかっているのだと思えば、その責任感が、
勇気の代わりになってくれる。
・値切ることは悪いことではない。材料を安く仕入れて付加価値を高めて
いくということは理にかなったことであ…って、非人間的なことではない。
・売上を最大限に、経費を最小限にすると、その結果、20%、30%の
利益率になるかもしれないと考えるようになる。
・自分も含めた全従業員の幸福を願って経営をしている。
・無数のささいなディシジョンから、ここぞという大きなディシジョンまでを
含めた過去の自分の経営者としてのディシジョンが集積されたもの
あるいはインテグレートされたものが、現在の会社の業績、成果。
・部下が何か相談事を持ってきた場合に、どういう基準で物事を考え、
判断を下すか、ということを考える。
・利他の精神に思いをはせ愛と誠と調和に満ちた魂のレベルで判断する
・唯一頼りになるのは、心の羅針盤である。
・仏教の五行:
1)布施 他人を思いやる
2)持戒 ルールを守る
3)精進 一生懸命に努力する
4)忍辱 耐え忍んで頑張る
5)止観 心静かに一瞬を過ごす
・成功の根本要因は、その経営者が持っている心根。
・従業員を雇っているというだけで、実は人知れず立派なことをやっている
・無理をしてでも、人の前を走っていれば、調子が出てくるもの。
・人が常識から「決してできない。あんなことがやれるわけがない」ということ
そのことをやる。
・自助努力こそ経営の基本。
・人生、仕事の結果=考え方×熱意×能力
・皆が等しくもっている魂、つまりに人間の本質は「真善美」
・イライラした状態では経営は絶対できない。
心を静めるということが絶対に必要になってくる。
・人生の目的は、輪廻転生を繰り返す自分の魂を、この現世において
磨くことにある。
・「六つの精進」を経営の場で実践することで、忙しい経営者も救われる
1)誰にも負けない努力をする (精進)
2)謙虚にして驕らず
3)反省ある毎日を送る
4)生きていることに感謝をする (足るを知る)
5)善行、利他行を積む (積善の家には必ず余慶あり)
6)感性的な悩みをしない
・人生とは、世のため人のために尽くすためにある。
・才能を私物化してはならない。
個を捨て、社会の為に生きていかなくてはならない。
・善きこととは、自分より他の人がうまくいってほしいと思う、やさしい
愛に満ちた思いやりの心を持つこと
・災難とは過去の業が消えるとき
・「世のため人のためになるかどうか」という一点で物事を判断していく続きを読む投稿日:2017.05.06
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