この作品のレビュー
平均 4.3 (21件のレビュー)
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一人一人は良い人ばかり…
どのような組織でも、内輪の都合が勝つときはあるだろう。本書では、北海道新聞社と北海道警察がそれぞれの、かつ複数の論理を貫いたときに、どのような問題が起こり、どのような作用を及ぼしたかが克明に記されてい…る。
新聞社が調査報道を貫くことも、新聞社が家宅捜索や訴訟提起におびえることも、警察が正義を貫くことも、警察が権威を守ることも、それぞれの内輪にはスジが通る話だと思う。
その中に裏金問題や経理不祥事という汚点が投げ込まれたときに、権力を持つ組織が暴力を剥き出しにして自己保存を図ろうとすると何がおこるか。極めて具体的な事例を、さすがの筆力でまとめあげていく力作でした。
一人一人は大したことをしている積もりはないところが、実に恐かった。続きを読む投稿日:2014.05.22
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読後に感じたのは、「正義はどこに?」という嘆きでした。
実名での執筆、これだけでも勇気と覚悟のいる作業だと思います。本書は、道警の組織的裏金作りをスクープした道新への圧力と、それに屈した記録です。悪い…ことをしていても必要悪とし、組織ぐるみの隠ぺいもトップの方針に従っただけと開き直る日々の妥協が組織のみならず個人の尊厳をも地に堕とす怖いお話です。さらに危惧されるのは、こうした問題がいたるところで提示されながら、警察組織の体質は変わっていないのだろうなと思わせる事実です。我々は素直に警察や裁判所などは国民を守る側だと信じていますが、権力サイドのトップの意向でいとも簡単に不正に手を染めてしまう聞き分けのよい職業人化してしまう事実はおそらくあらゆる組織が内包する危険性だと思われますが、であるからこそ最低でも司法と治安部門くらいは国民サイドの強固な砦であってほしいと願わずにはいられません。
その願いもむなしく、現在、安部政権下で政権の覚えめでたき黒川検事長定年延長が画策されています。
3権分立が建前の行政の権力者が司法のトップ人事まで介入・・なりふり構わない露骨なやり口にこの国は本当に大丈夫なのかと怒りすら感じます。
最後に、筆者について、Wikipediaから。
高田 昌幸(たかだ まさゆき、1960年 - )は、日本のジャーナリスト。東京都市大学メディア情報学部教授。元北海道新聞・高知新聞記者。
高知県立高知追手前高等学校卒業後、東京で新聞店従業員を経て法政大学法学部政治学科入学。卒業後、一般企業を経て、1986年北海道新聞入社。小樽報道部、本社経済部、本社社会部、東京支社政治経済部、本社報道本部編集委員、同部次長、東京支社国際部編集委員、ロンドン支局、東京支社国際部次長を経て、本社運動部次長。2011年6月に退社しフリーに。2012年4月に高知新聞に入社。社会部に所属。2017年3月に退社。同年4月より東京都市大学教授。
北海道拓殖銀行の破綻と営業譲渡、地元百貨店の乱脈経営、地元信用金庫の不正融資事件などを取材。
1996年、取材班の一員として「北海道庁公費乱用の一連の報道」で新聞協会賞、および日本ジャーナリスト会議(JCJ)奨励賞を受賞。
2004年、取材班代表として北海道警裏金事件取材(キャップ佐藤一、サブキャップ中原洋之輔、松本成一、林真樹、峯村秀樹、米林千晴、田中徹、青木美希、内山岳志、古田佳之、大出行秀)で新聞協会賞、JCJ大賞、菊池寛賞、新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞。続きを読む投稿日:2020.04.18
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