おしょりん
藤岡陽子(著)
,山本祥子(イラスト)
/ポプラ文庫
作品情報
明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった――。「金の角持つ子どもたち」等で注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!
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商品情報
- シリーズ
- おしょりん
- 出版社
- ポプラ社
- 掲載誌・レーベル
- ポプラ文庫
- 書籍発売日
- 2023.06.06
- Reader Store発売日
- 2023.06.06
- ファイルサイズ
- 1.2MB
- ページ数
- 326ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (10件のレビュー)
-
鯖江の職人が作る眼鏡愛用者なので、眼鏡職人の物語が気になり読んでみた。すみません、増永眼鏡はかけたことがありませんでした。読み終えてからホームページを拝見してブランドのフィロソフィーやビジョンなども知…った。この物語以降のことが補足されたようでとても良かった。ここで描かれるのは、明治37年から明治44年までの眼鏡作りを始めるきっかけや初期の話(過去として明治28年の話もあり)。
冬は雪深く畑仕事ができなくなる福井県麻生津村。村の将来のことを託されるようになった増永五左衛門は羽二重工場を立ち上げ、村一帯の地域産業にしようと奮起していた。しかし、大火事に見舞われ、その余波で倒産する。その後は新しい事業を始めることができずにいた。そこへ、幼くして東京や大阪に出て様々な仕事をしてきた弟の幸八が帰郷する。「これからの日本は教育が普及し、読書する人も増えるから眼鏡が必要だ」と村で眼鏡作りをしないかと持ちかける。
今までのこともありなかなか踏ん切りがつかない五左衛門が幸八と共に眼鏡作りを始め、紆余曲折を経て着実に村の産業にしていく道のりが描かれる。増永兄弟2人の情熱、五左衛門の妻むめの思い、共に歩んでいく職人たちの熱意、落胆、歓喜など、ちょっと熱い気持ちになりながら読み終えた。
特に心に残ったエピソードをひとつ、後に親方になる末吉と娘のツネの話を以下に挙げる。フィルターかけないので、まっさらで読みたい方はここで閉じてください。
増永末吉は宮大工である。何もないところから眼鏡作りを地域産業に育てていく上で、もの作りの矜持や姿勢を身をもって分かっている末吉は無くてはならない存在だと考える。五左衛門と幸八は無理を承知で末吉の家に向かい、共に眼鏡作りをしてくれるように頼みに行く。昼過ぎに訪ねたが末吉は不在で、待つ間娘のツネが歌などを教えてくれる。結果的に、末吉には今の環境を捨ててまで未知の事業に協力をすることはできないと断られてしまう。帰宅後、幸八はあの時間にツネが家にいたことを不思議に思う。学校に行っている時間ではないか?聞くところによると、板書ができないため、先生から授業について行くことが難しいと言われ退学させられていた。だが、とても賢そうなツネが授業についていけないとは思えない。そして、その晩にもう一度だけ末吉の家に行きたいと幸八は言う。目的はツネに会うこと。幸八はツネに眼鏡を掛けさせる。「眩しい」「おとっちゃんの顔がいつもと違って見える」「おっかちゃんの前掛けに白い花の模様あったんか」とツネは言う。ツネは勉強についていけなくて板書が出来なかったのではない。生まれつき目が悪くて見えなかったのだ。まだ村には眼鏡をかける人がいない。眼鏡をすればよく見えるようになるが、ツネは笑いものになるのではないか?(その後、ツネは小学校に再入学して優秀な成績を修め、高等女学校にも進学していくことになる。)このツネのことがきっかけで末吉も眼鏡作りに創業時から携わる。数年後、末吉は五左衛門に「眼鏡はただの道具やない。人生を変えるかけがえのないもんやった。」とツネのことを思い語る。このことは末吉にとって眼鏡作りの原点になっているし、ただ良いだけではなく人の人生に影響を与えるもの作りをしていく増永眼鏡の根幹にもなっている。
このエピソードには目頭が熱くなったし、もの作りに対する職人の思い、使う人の未来に関わるものの価値、全編を通して最後まで堪能した。これからも福井の眼鏡をずっと愛用していく。続きを読む投稿日:2023.08.08
題材がとても良いわけ〜最高やった。歴史の大人物とかじゃないし自分でも高校生から眼鏡なので気持ちが分かるって事。おしょりんの方言も目に留まるし、親方3人制度が生きてラストで五座右衛門と共に喜び合う。むめ…も日本の女性の鏡だと思う、芯があって旦那さんを立ててくれる、現代ではない世界だろうなあーあっ女性蔑視では決してないです、自分だって女性に生まれたら現代の方が生きていける。幸八の道を作るのと五座右衛門の堅実な経営が絶妙だから続きを読む
投稿日:2024.03.08
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