新・水滸後伝(上)
田中芳樹(著)
/らいとすたっふ
作品情報
十二世紀の中国、北宋末期。世の乱れを正そうと梁山泊に集まった好漢たちがいた。彼らの夢は潰えたが、それから数年、変わらず悪政がはびこるなか、散り散りになった生き残りたちが不思議な縁に導かれ再会。過酷な運命に涙をのんだ者たちは熱き心を胸に再び蜂起する! 『水滸伝』の痛快な後日譚を田中芳樹が現代の読者向けにリライトした新しい物語。
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商品情報
- シリーズ
- 新・水滸後伝
- 著者
- 田中芳樹
- 出版社
- らいとすたっふ
- 書籍発売日
- 2021.03.12
- Reader Store発売日
- 2022.09.16
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 368ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.4 (5件のレビュー)
-
田中芳樹に「新・水滸伝」という著作は無い。何故本編をすっ飛ばかして「後伝」から始めたのかは、おそらく(下)まで行けばハッキリさっぱり分かると思う。それは兎も角、北方謙三の「岳飛伝」が終わって水滸伝ロス…に陥っている私としては、楽しい読書だった。全数十巻ではなく、たった2巻で済みそうだし。
ご丁寧にも目次の後に「水滸伝百八星一覧表」があり、108人全員表記してくれていて、そのうち本編あとも生き残った33人に⚫︎がついている。(原作本編では、呉用や史進、扈三娘さえ既に亡くなっていたのか!←すみません、北方水滸伝を知らないと何のことやら分からないと思います)その次に「新・水滸後伝の世界」と題して北宋時代の地図があるのであるが、杭州の東の海の辺りに暹羅本島という台湾を小さくしたような島が浮いている。私は北方謙三「水滸伝シリーズ」を愛読していたので、読本を通して北方水滸伝には出てこないこの島を舞台に李俊たちが大暴れする展開を知っている。ちょっとドキドキする。「楊令伝」や「岳飛伝」の辺りで亡くなっていった傑物たちが、性格は違えども、また生き生きと喋って活躍してくれるのは、なんとなく嬉しい。童貫が卑劣漢で、聞煥章が良い奴だと言うのも、原作はそうだったんだなぁ、と新鮮である(←北方水滸伝未読の方々すみません)。パラレルワールドでまた彼らが生き返った気がする。
田中芳樹は、こんなひねくれた読者を想定しているわけでは無い。
「梁山泊が恋しいよ杜さん(杜興)。全く、宋頭領(宋江)は何でまた、あんなに帰順(宋王朝に従うこと)したがったんだろうな。俺たちみんな、朝廷づとめなんてまっぴらだからこそ、梁山泊に集まったんじゃないか」
「俺も不思議だがね、楊君(楊林)、宋頭領の帰順欲求には、みんな不満を持っていたけど、あの人に背かなかったじゃないかね」
「考えてみりゃ、そのほうが不思議だな」
「ま、天界で定められたことだ。しかたないさ」
(73p)()内は、私の注。
原作本編において、宋江が帰順したことで、梁山泊英傑が使い回され、次々と戦死し、騙し討ちで宋江などは毒殺された。それによって梁山泊は殆ど壊滅状態になったことを田中芳樹が皮肉っている所である。原作水滸伝は、天命思想によって動いていたので、読者含めてみんなが不満に思う愚者宋江の命令(運命)には、逆らえなかったのである。おそらく、水滸後伝は、それらの不満を払拭するような話になっているのかもしれない。因みに、北方水滸伝の宋江は、そこまで愚者では無い。
上巻までの私のみたところは、そういう本編水滸伝批判と、水滸伝本来の荒唐無稽さにリスペクトする話を狙っているのかもしれない。続きを読む投稿日:2021.12.15
宋江等多くの梁山泊の好漢がなくなり、生き残った梁山泊の好漢達もばらばらになった後、北宋末期の朝廷の腐敗に再び集まって対抗する。
熱き好漢達にスカッとさせられる。投稿日:2022.05.15
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