カルロ・ロヴェッリの 科学とは何か
カルロ・ロヴェッリ(著)
,栗原俊秀(訳)
/河出書房新社
作品情報
地球が宙を浮いていることを最初に見抜き、初めて地図を描き、世界を始まりも終わりも無限だと想定した古代ギリシャの世界初の科学者アナクシマンドロス。科学的思考の本質をえぐり出す。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- カルロ・ロヴェッリの 科学とは何か
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 河出書房新社
- 書籍発売日
- 2022.02.19
- Reader Store発売日
- 2022.02.19
- ファイルサイズ
- 10.4MB
- ページ数
- 280ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (6件のレビュー)
-
不確かさの道は、冒険に満ちた美しい道
科学研究とは、検証可能な予想を証明することでもなければ、設定された問題をルールに沿って答えることでもない。
これまでに蓄積された知に立脚しつつも、暫定的には正しいが同時に間違ってもいると疑い、問題そ…のものをあらたに設定し直すこと、「問題の解決」ではなく、「問題自体の再設定」こそが科学の本質なのだ。
決定的な解答は存在せず、常に現時点での最良の答えに過ぎない。
だからこそ科学は信頼できないのではなく、信頼に足るのは、学びに対する開かれた姿勢のためで、確かさの元で休らおうとせず、積極的に批判を受け入れ、再考を促し続ける。
「科学の知とはその本質からして、暫定的で、発展途上の性格を有している。批判を抜きにして、科学の知が成長することはない。獲得したと思っていた知の問い直しこそ、科学にとってのなによりの養分である」
「科学とは、世界について考えるための方法を探求し、わたしたちが大切にしているいかなる確かさをも転覆させて倦むことのない、どこまでも人間的な冒険である。人間がなしうるなかで、もっとも美しい冒険のひとつ、それこそが科学である」
本書はロヴェッリが、世界的なベストセラーを出して売れっ子サイエンス・ライターとなる前に出版された、ほぼ処女作に当たる作品。
ゾッコンでお気に入りのアナクシマンドロスやギリシャの思想的な背景紹介、科学的思考とはなにか、その限界はどこにあるのかといった科学論にとどまらず、宗教や神の観念の誕生、儀礼、言葉、思考そのものへと話が進んでいくため、訳者もあとがきで"ただ読んで"とだけコメントし解説に苦慮している。
でも、処女作にふさわしい高邁さと言うか、考えていることを全部詰め込んだような若々しさがあって、納得はできない部分もあったけど、刺激的で面白かった。
解説にもある通り、クーンの言う断裂したパラダイム・シフトではなく、継続的な変化であったとする科学革命の見方は新鮮だった。
アインシュタインにおけるニュートン、コペルニクスにおけるプトレマイオス、アナクシマンドロスにおけるタレスなど、師の教えを徹底的に学んで理解し、それを我がものとした弟子こそが、師の過ちを発見し修正することで、世界について考えるための概念構造を発展させることができたのだ。
ただ、どれだけの研究者が、著者が語るレベルの科学研究を実践できているのだろうか?
ほとんどの研究者は実証と照合の連続に日々追われているのではないか?
それと、古代の学者が太陽や星の運動について、今日の平均的な大学教授よりもはるかに深く理解していたというのも大いに考えさせられた。
明け方の東の空にどの星座が浮かんでいるかを観察するだけで、いまが何月なのかを割り出すことができたというが、そんな能力はほとんどの現代人にはないし、昔の農夫のように、土や草木の匂いを嗅ぎ取り、季節のリズムに合わせることもできないだろう。
ロシア・ウクライナ戦争の解説をしていた元自衛官は、あまりにも通信システムが発達したために、それに頼りきり、現場の指揮系統がお粗末になってきていると指摘していたが、ますます鈍していく一方の我々に、著者の言うリベルの知の探求は、ハードルが高すぎるような気がしてならない。
ほんと印象に残る文章が多いのだけど、いちばん心に残ったのがコレ。
「いまわたしたちが生きている世界は、不確かさに向かって歩むことを受け入れた人類によって築かれた。わたしたちが生きる世界は、わたしたちよりも前に生きた人びとの、自由な夢が現実となった姿である。未来は、わたしたちの自由な夢からしか生まれない。だが、未来を築くためには多くの場合、現在から解放される必要がある」続きを読む投稿日:2022.04.04
-
私にはちょっと難しかったです。興味深いですが、読みにくかったです。東野圭吾さんが懐かしいです。
矢沢○○さんの歌を否定するようなタイトルの本を書いているカルロさん、科学の未来に危惧されてる点がある…ようで、人類最初に概念の科学革命を実現させた、約2600年前のアナクシマンドロスさんまで立ち返って、科学的であることの大切さを説かれていました。
アナクシマンドロスさんより古い時代は、神様を持ち出して自然を解釈していたのを、アナクシマンドロスさんたちは、雨は神様が降らせたのではなく、川や海の水が巡っている、と考えるような、自然現象をその関係性で考察されたようです。今当たり前でも、2600年前とはすごいです。
カルロさんは、いまでも人類の半分は神様抜きで世界を理解しようとしていない、と心配されています。反科学とか前科学はもうやめようよと。
科学の発展には批判的精神が大切、アナクシマンドロスさんにはそれがあり、彼は自分の先生であっても、過ちはきっちり指摘されていたようです。それについては、中国文明との対比が面白かったです。
そしてカルロさん、異質なものに心開き、耳を傾ける大切さを語られていました。ブクログに「おすすめの読書家さん」がありますが、そういう意味で「おすすめしない読書家さん」もありかも。Amazonでおすすめしない商品を表示されても困りますが、ブクログならありなんじゃないでしょうか。続きを読む投稿日:2024.02.02
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。