橋
小山田了三(著)
/法政大学出版局
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丸木橋・舟橋・吊橋等,人々に親しまれてきた各地の橋を訪ねて,その来歴と築橋の技術伝承を辿り,土木文化の伝播・交流の足跡をえがく。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
日本語の語源では、端と端をつなぐものが橋という話があるらしい。
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ドイツ語のブリックスでは、湿地に丸太をしいて、あるくためのものだという。
橋の種類と形状についての説明が続く。
近代の橋梁工学には到達していない。
間をつなぐ書籍があると嬉しい。投稿日:2011.10.05
橋に関する本は、私の探し方が甘いのか、思うほどありません。
あっても写真集がほとんどですが、これは歴史的な変遷を教えてくれる興味深い本。
まず驚いたのが、日本一古いとされる縄文時代の橋の遺構が横浜市…港北区(今は都筑区)牛久保町にあるということでした。
青森の三内丸山のような存在が、時代の浅い横浜から見つかったとは。
推定BC4年の、25mに及ぶ湿原の丸太道だそうです。
今度行ってみなくては。
ヴェネチアは水の都として有名ですが、どんどん水が上がってきたのではなく、もともとラグーンに杭を打ち、土砂を埋め立てた小島群だと知りました。
あそこの住民は、湖上住居をしているようなものなのだとか。
5c頃から埋め立てて、現在では小島は118にのぼるとのことです。
細い運河には、数多くの橋がかかっており、人はそこを通りながら町を散策します。
古来、橋を架ける任務を担っていたのは、僧侶たちだったとのこと。
イタリア語で聖職者を意味する言葉は(橋を作る者)という意味の「ポンティフェックス」なのだそうです。
僧侶の思想と技術で公共に奉仕する行為は、宗教が違っても見られることで、空海、最澄、行基なども架橋技術や治水工事に携わったことを思えば、聖職者が技術に通じた者だったと理解できます。
宗教と技術の密接なつながりは、興味深いものがあります。
橋の歴史は、まず丈夫で長い木を渡した丸太橋に始まり、舟橋→吊り橋→石橋と移っていったとのこと。
吊り橋は、もともと釣橋と書かれ、今の字になったのは、明治以降、西欧風近代吊り橋が移入されてからだそうです。
世界で吊り橋が最初に作られたのは中国で、3000年前。
日本の最古の石橋は、比叡山そばの日吉大社境内に日吉三橋という桃山時代のものが現存しているとのことで、気になります。
石橋はヨーロッパが多く、数千もある一方、日本は数百程度しかないとのこと。
ヨーロッパの石橋は水道橋がメインで、数十キロの長い水道橋もありますが、日本の江戸時代の水道橋は5橋のみ。
またヨーロッパは彫刻など優美で美しいものが多いものの、日本は特に装飾はなく、無骨なママのものが多いという違いがあるようです。
やはり石の文化といったら欧米だからでしょうか。
ポン・デュ・ガールが築かれたのは日本の弥生時代で、日本でようやく米作が始まった頃にはすでに架橋技術がローマにあったということに驚愕します。
日本での分布は偏っており、本州より九州が圧倒的に多いのだとか。
熊本県の通潤橋や諫早の眼鏡橋など、たしかに印象的な石橋は、九州のものばかり。
本州は消費経済のため、財政的余裕がなかったのがその原因だそうです。
それでも江戸府内には20橋あり、最古のものは小石川後楽園の円月橋だそうです。
外国にはるか後れを取っていた架橋技術ですが、長崎のアーチ型石橋などは、我が国の石垣技術の基礎を踏まえて伝えられたという見解を嬉しく読みました。
屋形橋や綱橋(籠渡し)など、珍しい橋の紹介もされており、橋の歴史を知るにはちょうどいい内容。
ただ、紹介された橋の写真や絵をもっと掲載してもらえれば、もっと理解が深まるだろうと思いました。続きを読む投稿日:2013.09.09
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