羊飼い猫の日記 アイルランドの四季と暮らし
スザンナ・クランプトン(著)
,宮崎真紀(訳)
/ハーパーコリンズ・ジャパン
作品情報
牧羊ネコ、ボデイシャスは空と羊の間をみる。
何をみているのだろうと不思議に思う。
ご主人のスザンナさんがささやく。「妖精がいるのよ」
僕も空と羊の間をみる。 ――岩合光昭(動物写真家)
野良猫だったぼくはある日拾われ、牧羊猫になった――
テレビやSNSでも話題、アイルランドでもっとも有名な猫の365日
「ぼくは牧羊猫のボデイシャス、これはぼくの物語だ」
ある日、羊飼いに拾われてブラックシープ農場で暮らすことになった野良猫のボデイシャス。
やがて立派な“羊飼い猫”になったボデイシャスが、
ご主人の羊飼い、そして動物の仲間たちとの四季折々の日々を綴った猫自伝。
――小高い丘のてっぺんの牧草地は、心地のいい静寂に包まれている。
トラクターや車の音も、人の声も聞こえない。
毛のふわふわしたぼくの耳を震わせる音は何もない。
もちろん、梢がこすれる音、鳥の歌声、ハイイロリスのやかましいおしゃべり、
カラスの呼び声、彼方で啼くタカ、ノスリのさえずり、牛の呻き声は聞こえる。
そして、ぼくの足下の大地が、氷を解かすあたたかな南風を大きく呼吸する。(本文より)
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商品情報
- 著者
- スザンナ・クランプトン, 宮崎真紀
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- ハーパーコリンズ・ジャパン
- 掲載誌・レーベル
- ハーパーコリンズ・ジャパン
- 書籍発売日
- 2020.06.19
- Reader Store発売日
- 2020.06.19
- ファイルサイズ
- 8.9MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (5件のレビュー)
-
アイルランドの農場で暮らす、羊飼い猫の春夏秋冬の物語。
・はじめに
第1部 春 第2部 夏 第3部 秋 第4部 冬
・そのあと ・謝辞 ・羊飼い、語る
冒頭口絵はボディシャス中心の写真8ペー…ジ
アイルランドの農場での生活と、羊飼いさん、仲間たち、そして
春夏秋冬の情景を表紙の凛々しい猫、ボディシャスが語る物語です。
ブラックシープ農場の自然の移ろいの中、ボディシャスは
生き生きと動き、働いています。そう“大胆不敵”な名前の通り。
日々の仕事は朝のパトロール、卵係の卵を確認し、羊たちを監視、
ネズミ狩りし、羊飼いさんの手助けをします。
花咲き乱れる春は、子羊の世話、イラクサ探しにウサギ狩り。
暑いけど木陰が涼しい夏には、農場見学の客を案内(日本からも!)。
渡り鳥が去る秋には、土壌の性質を調べ、厩堆肥の監視、
シチュー作りの手伝い、フライパンや皿をキレイにする。
冬になる前の重労働に勤しむ羊飼いさんを気遣い、時には看病も。
そして厳しい冬の寒さ、羊たちの出産を見守る。
合間に挟まれるのは、農場での月毎の仕事。
仲間の猫、犬、鶏、羊、馬、アルパカたちの事。
羊飼いさんの生い立ちから、農場経営に関わるまでの、紆余曲折。
ボディランゲージの習得、農業世界での性差別、
SNSでの人との繋がり等々も語られています。
農場暮らしの適性はあっても、弛まぬ努力と経験が大切。
それを語るボディシャスの自伝であると同時に、
代筆する羊飼いさん自身の自伝でもあります。
厳しい現実と自然、しかしどちらも豊かに結びつかせ、
逞しく生きていく彼らの姿が、清々しく感じられました。
そして最後の“羊飼い、語る”は、溢れんばかりの想いに、涙。続きを読む投稿日:2020.09.02
アイルランドの羊農家の四季と暮らし。著者はアメリカ人女性で、農業大学を卒業後、農業と農業以外の多様な職業を経験した後、アイルランド系の母方の祖父の親族所有の農場で羊農家となる。
四季の移り変わりや気候…に影響される日常の仕事、羊の繁殖や出産手助けなどの仕事の他に、農家らしい食生活、近辺の様子、近所の人や身内のこと、最初は農場だけではやっていけず仕事を掛け持ちしていたこと、農場で働く女性の地位が低いことなども織り込まれて書かれている。羊と猫以外に犬もいるし、鶏や馬、のちには羊のガードのためにアルパカも飼い始める。何かあった時には近隣の農家同士助け合いもする。自然と動物と共に働くことは大変だが、最も自然体に近い生き方のような気がしてしまう。そのこと自体に癒しがあると思うのは農業、酪農を知らない人間の過大な期待だろうか。
この農場に猫がいるのはネズミ対策のためでもあるが、猫は仕事を手伝ってくれるわけではない。気ままに遊びに行ったり寝ていたり。作業をしている人間の近くにずっといて、人間のやることを興味深く見ていることもある。ボデイシャスもそういう猫だったのだろう。猫は人間ほど長く生きることはないと知っていても、基本的に一人で農場生活を送っている著者にとって、共に暮らす猫の死はさぞかしショックだっただろう。最後は私も泣かずにはいられなかった。続きを読む投稿日:2022.06.03
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