情報リテラシーのための図書館――日本の教育制度と図書館の改革
根本彰(著)
/みすず書房
作品情報
「本書執筆の当初のモチーフは、書物自体は一貫して重要視されていた日本で、社会機関としての図書館の評価が低かったのはなぜなのかということにあった。私は書いているうちに、これは単なる図書館論にとどまらず、書物論、情報論、文化論、そして何よりも教育論にひろがっていかざるをえないと考えるようになった。図書館の存在が意識されにくかった理由は、日本社会が個人の知的活動を自律的に行うことを妨げてきた理由と同じだということに気づいたからである。」図書館情報学において、「情報リテラシー」は、テクノロジーの発達に応じてその習得・活用・提供技術の更新が求められる、生きたテーマである。情報が氾濫する社会を生きる私たちにとって、第一次資料の保存庫であり、公共の情報サービス機関である図書館は、信頼の置ける、身近な情報拠点だ。これからの図書館は、図書の貸出し、検索技術の提供にとどまらず、利用者の情報リテラシーを導くといった教育的な役割も自覚的に担ってゆく必要がある。そして今日、学校での情報リテラシー教育も喫緊の課題となっている。日本の教育現場において、情報リテラシー教育の重要性は意識されてきたが、それはコンピューターなどの情報通信技術を使いこなす技能という認識にとどまってきた。だが、真の情報リテラシーとは、情報を探索し、評価し、それにより自分の問題を解決できる能力、さらにはその力をもって批判的思考を展開できることをいう。本書では、日本の教育制度と図書館の社会史をふりかえることで課題を浮き彫りにし、今後どのような改革をなすべきか、欧米の学校の動向と比較しつつ方向を示す。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
-
これからの図書館は、情報リテラシーを導く機関としての社会的役割を、自覚的に担う必要がある。日本の教育制度と図書館の歴史を再考し、今後の課題を示す。
投稿日:2023.09.26
このレビューはネタバレを含みます
根本彰著『情報リテラシーのための図書館-日本の教育制度と図書館の改革』(みすず書房)
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2017.12.1第1刷発行
2022.9.26読了
情報リテラシーとコンピュータリテラシーを混同している人向…けに書かれた本と推察するが、思いつくままに書きだしたのかと疑いたくなるほど、読みにくい。論理展開の整序について工夫すべき点があるのではないかと感じた。
なお、本書の本旨は、従来の教育課程では情報リテラシーの習得が必ずしも重要視されてこなかったことを指摘し、今後の教育改革においては、情報リテラシー教育の充実と情報リテラシーを推進する装置としての図書館改革を同時に進めていく必要がある、というものである。
明治期以降、黙読と暗記を中心とした教育課程に収斂していったとあるが、その理由について本書は詳しく述べていない。
図書館を含めた教育機関が思想善道の一翼を担っていた歴史を考えると、むしろ、この国は市民が批判的思考を持つことを嫌悪しているのかもしれない。近代初期にみられた立身出世の風潮は例外として、立憲君主制というタガが嵌められている以上、批判的思考が育たないのも無理からぬことだろう。集団主義的適応能力が美徳とされる日本において、情報リテラシーは食い合わせが悪いのである。
【目次】
はしがき
第1章 「エウリディケを冥界から連れ出すオルフェウス」
1 コローの絵のオリジナルを求めて
2 絵画検索のための情報リテラシー
第2章 読書大国からネット社会へ
1 リテラシーと情報リテラシー
2 読書感想文と自由研究
3 フロー情報とストック情報
第3章 情報リテラシー教育の必要性
1 ネットを使いこなす?
2 情報リテラシーの過程
3 日本における情報リテラシーの課題
第4章 文化史的背景
1 日本人のリテラシー
2 武士の学びと庶民の学び
3 文字社会の形成と民衆読書
4 文庫と知のネットワーク
第5章 近代文字社会における図書館
1 近代における学びの変遷と読書
2 明治・大正における図書館
3 昭和期の図書館
第6章 図書館と図書館員
1 図書館の昔と今
2 図書館の基本的な業務
3 日本の図書館員の資格制度のあり方
4 アメリカの図書館職
第7章 図書館と博物館を比較する
1 専門職の社会学
2 博物館法と図書館法
3 資格と養成
第8章 大学入試改革と学習方法・カリキュラム
1 近づいている大学入試改革
2 欧米の学校における学び
3 情報リテラシーのための図書館
第9章 情報リテラシーの回路
1 ふたたび、図書館員のイメージ
2 リテラシー、情報リテラシー、高次リテラシー
3 インフラとしてのデジタル情報ネットワーク
4 情報リテラシー装置を使いこなせたか
引用/参考文献
索引続きを読む投稿日:2022.09.26
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