昭和史講義2 ──専門研究者が見る戦争への道
筒井清忠(編)
/ちくま新書
作品情報
なぜ昭和戦前期の日本は、破滅への道をひた走ったのか。その原因を、より深く、より正確に究明すべく二〇名の研究者が最新研究成果を結集。これまで扱われてこなかった史料や、見落とされてきた事象を検証し、一般読者に向けて、わかりやすく、事実に即した間違いのない歴史を伝える。より進んだ探究のための参考文献ガイドも充実。混乱と激動の時代の全体像を示した入門書として好評を博した『昭和史講義』から、さらに踏み込んで、新たな論点へと挑む、シリーズ第二弾!
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商品情報
- シリーズ
- 昭和史講義
- 著者
- 筒井清忠
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2016.07.10
- Reader Store発売日
- 2016.09.02
- ファイルサイズ
- 2MB
- シリーズ情報
- 既刊9巻
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この作品のレビュー
平均 3.6 (6件のレビュー)
-
全部で20講あるので当然中身も精粗様々。個人的には第5項、8講、12講、16講が興味深かった。「昭和恐慌下の日本」を扱った第4講はダメ。しかし、全体としては勉強になった。
投稿日:2016.08.03
「昭和史講義」が好評だったので、その続編としてでたもの。
前作同様に、戦前を中心として、注目すべき出来事の事実解明を中心としながら、20のトピックを20人の研究者が概説したもの。
出版の経緯からし…て、前著と一緒に読まないと、全体の流れがわからなくなるかもしれないが、これだけでも、多分、それなりに面白いだろう。
一人の著者による通史ではないので、読みにくさはあるのだが、取り扱われるのは、それなりに「知っている」つもりの出来事が多いので、それなりに面白い。また、通常、どういう文脈で議論されているかもなんとなくわかっているつもりなのが、近年の研究ではかなり違う話しになっいるかがわかって、スリリング。
やっぱ、わたしたちの戦前の歴史の標準的な理解は、戦後民主主義の視点で、戦前と戦後を切り分けて、戦前を陸軍とか、一部の政治家の責任として整理して、前に進んでいこう、という感じのものになっている。
が、現実はやはり複雑で、色々な人の思惑や権力闘争がなされるなかで、半ば、偶発的になにかがなされ、それが次の打ち手を制限していく、という感じのものなんだな。日本が無茶な戦争をやったことは必然ではない。とはいっても、その時点でどの程度の自由度があったのかというと、やはり選択の幅はだんだん狭くなっていたのだろうと思う。経路依存的なプロセスだな。
もちろん、国内の事情だけで、政策が決定されるわけでなく、戦争となると、国際情勢のなかにあるわけで、ナチスドイツの台頭、大戦前半での快進撃をみながら、どうにかなるんじゃないかみたいな他力本願な面も多々ある。
まさに、国際社会、そして国内政治、世論の荒波というか、濁流のなかで、しばしば意思決定を先送りしつつ、中央のコントロール不足で生じるさまざまな軍事衝突に苦悩しつつ、なんとなくやっているうちに、だんだん打ち手がなくなってしまう、というプロセス。
これは、やはり全体主義ではない。ほんとバラバラな意見がぶつかって、意思決定できない状態なのだから。
でも、なぜだか、「天皇」というキーワードで誰もが一致してしまう不思議さ。
では、その天皇自身はどうかというと、国際関係を重視していて、英米と協調路線でいきたい。なので、軍部、とくに陸軍の過激派を警戒していて、信じていない。できるだけ、軍部をガバナンスしたい。しかし、天皇が具体的な政治判断をすることは、旧日本憲法下においてもできない。先がわからないなかで、具体的な政治判断をすると、その責任が天皇自身にふりかかり、制度としての天皇を維持できなくなるリスクがあるわけだ。
そういうなかにおいても、トップの人事については、漠然として形ではあるけど、方向性を示して、なんらかの影響力を行使する。それが軍部をコントロールすることになると思っての介入である。だが、この介入が、しばしば、より状況を悪くすることに働いたりする。もちろん、結果論なんだけど。。。。
「天皇」という文脈を外してみると、こういうこといまだにやっているな〜と思ってしまう。続きを読む投稿日:2022.01.18
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