日本銀行
翁邦雄(著)
/ちくま新書
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二〇一三年春、ついに「リフレ派」が日銀の執行部の中核を占めることになり、量的・質的金融緩和が採用された。これは本当に日本経済の復活をもたらすのだろうか。そもそも日銀は日々何をしている組織なのか。その業務の実態や金融政策の変遷などを、日銀OBで金融政策の第一人者がていねいに分かりやすく解説。アベノミクスで脱デフレに向けて大きく舵を切った日銀は、中長期的に金融システムを安定させていくことが可能なのだろうか―その多難な前途を考察する。
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この作品のレビュー
平均 3.8 (11件のレビュー)
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何しろ新書らしく分かりやすいのがいい。各国中央銀行の成立過程や役割といった基礎的知識から、日本のバブル前後の金融政策の変遷、貨幣数量説の限界を経て、非伝統的金融政策ひいては黒田緩和の問題点に至るまでの…流れに澱みがなく、まさに一気に読める。同氏の「ポストマネタリズムの金融政策」が、主に(日本の異次元緩和前であったこともあり)米FRBにおけるマネタリストの挫折に重点が置かれているのに比べると、本書は題名どおり日本における金融政策にフォーカスしているためはるかに読みやすい。
同氏の従来からの主張は「ゼロ金利下での量的緩和は総需要に影響しない」というもの。大規模緩和後、マネーが流れ込んでいるのは主に株や不動産等、その都度生産されるわけではない「既存アセット」であり、消費者物価の上昇はいまひとつということをみると、同氏の主張は現状では当を得ているなと感じてしまう。また、クルーグマンのいう「無責任な中銀」に対する反論も直感的に納得できる。そもそも、「中央銀行がインフレ的な政策をとるからインフレが起こるに違いない」という期待には同語反復的な怪しさがあるし、本当にインフレを起こす勇気も事後策も、日銀にはないと思えるからだ。
おそらく黒田総裁もクルーグマンと同様、インフレ政策が有効であると頭から信じ込んではいまい。「やらないよりまし」だからだろう。だが、本書の最終章ではそれが巨額の財政コストとなり日銀のBSを両側から苛むことが指摘されている。このことも理解していながら、ここに市場がフォーカスを当てることを巧妙に避けようとしているのだとしたら、もの凄い胆力だと思う。
そもそも量的・質的金融緩和は、政治サイドからすれば中央銀行側に負担を押し付けながら緊縮財政という不人気政策をバイパスすることができるという、完全なフリーランチ。これが日米欧どの国でも選挙で真っ当に選ばれた政権に要請されたものだということに問題の根深さを感じる。民主主義の限界という言葉が頭をよぎる。
ところで、最近の日銀の発表(H26.4)によれば、日本の需給ギャップはゼロに近づいているのだという。失業にトラウマ意識のない日本人にとって、完全雇用水準に近づきつつあるにもかかわらずインフレ率を上昇させる意味はどのくらいあるのだろうか。続きを読む投稿日:2014.04.12
当時は初版が出てすぐの頃だったが、大学の図書館でこの本を見つけ一度読んでおり、今回約8年越しに改めて読み直してみた。自分が随分長く経済や企業活動に興味を持っているものだと気づいた。集中して目を通したの…は7,8章のデフレ脱却の話。ここ最近読んだ本の主張は、デフレ脱却の道は緊縮財政ではなく、積極的な量的緩和(財政出動)の継続であることで一致していたが、本書では、中央銀行の限界を指摘。中央銀行による国債の購入(通貨量の増加)それ自体が財・サービスの購入に結びつかないことを読者に認識させ、波及経路をどこに求めるかというところまで検討している。日本におけるデフレの長期化については、ある知識人の、「中央銀行(日本銀行)が無責任な中央銀行であることを人々に確信させることが必要(インフレ期待を持たせる)」という主張を紹介し、それに対する日本銀行の対応が量的・質的量的緩和であるが、それが最適解になっていないと考察。日本の供給超過の背景には、人口高齢化などといった「漠然とした不安」が背景にあり、本書のベビーシッターのクーポンの話で厳冬で誰も外出したくない状況と例えられている。筆者が考える波及効果は、「持続性のある魅力的なイベントの創出(需要創出型のイノベーション)」としており、ここまでの本書の流れからは意外な回答だった。道を整備するなどといった政府が企画できる公共事業では、単発で持続性がないと評価している。どんな状況であれば魅力的なイベントが生まれやすい世の中になるのか、次の勉強のテーマが決まった。続きを読む
投稿日:2021.12.30
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