決定版「軽症うつ」を治す
森下克也(著)
/角川SSC新書
作品情報
「軽症うつ」とは、典型的な「うつ」とは異なり、「仕事などの社会生活は一応できているが、心の中は非常な苦悩に満ちている状態」のこと。そこから抜け出すためにすべきなのは、薬や医師、病院に頼ることではなく、「心と身体の両方を自分でコントロールすること」です。それは例えば「生真面目すぎる性格を見直す」「自分を相対化し、過保護にしない」「食生活と睡眠、便通を正常にする」ことなど。薬に頼っていては、一時的に症状は治まっても、原因の根本的な解決にはなりません。著者の長年の診療経験から導き出されたのは、「うつは、薬に頼らずゆっくり自分で治せばいい」ということ。その画期的で効果的な方法を紹介していきます。「最近、うつっぽいかも」と思ったら読む本です。 第一章 「軽症うつ」とはどんな病気か 第二章 世の中は「軽症うつ」に満ちている 第三章 「軽症うつ」は身体の病気でもある 第四章 「軽症うつ」へと落ち込んでゆく人の心の中 第五章 「軽症うつ」はこうやって治す(1) 身体から入るセルフコントロール 第六章 「軽症うつ」はこうやって治す(2) 思考回路を修正する 第七章 「軽症うつ」はこうやって治す(3) 自宅安静の仕方 ・内容の一部/「軽症うつ」になりやすい性格とは/「新型うつ病」とどう違うのか/「できる人」ほど要注意/「すべき思考」がつらさを増大させる/「フェアな思考」でネガティブ思考を断ち切る/完璧主義から「そこそこ人間」になる/ネガティブ思考に陥らない「魔法の言葉」/死にたいと思うことについて ほか
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商品情報
- シリーズ
- 決定版「軽症うつ」を治す
- 著者
- 森下克也
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川SSC新書
- 書籍発売日
- 2012.11.01
- Reader Store発売日
- 2012.12.07
- ファイルサイズ
- 1.6MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (9件のレビュー)
-
何気に手にした本だったけど、「え?長年悩んでたこの症状は軽症うつだったのか!」と合点がいきました。
心療内科に行っても数分話すだけで、薬が増えたり変わったりするだけ。
無駄だなと思い、途中で止めちゃっ…たけど、よかったんだ、これでと解決してくれた本。
占い師たちには、芸術や何かを創作することで心が戻ってくるなんて言われたけど、こういうときってそんなのできない。
結局、水のある銭湯やスパ、サウナ、水泳、汗蒸幕で気晴らししてたけど、それが推奨されてたので、間違ってなかったんだと読み終わった後、スッキリした。
いいんだよ、それで合ってたんだよって言ってもらえた本。
この調子で徐々に元に戻したいと思う。
・病院にかかる側が「治してもらおう」と受け身の姿勢ではいけない。ただ薬が増えていくだけ。軽症うつは仕事環境、人間関係から起こることが多いので、バランスを崩さないようにセルフコントロールしていくようにする。
・軽症うつにかかりやすいのは、生真面目で完璧主義、凝り性で融通が利かない、「ずぼらな人を見ると許せない」「一度感情を害すると後々まで引きずる」「周囲に気を使いすぎている」
・軽症うつの人は外面的には社会の適応性もあり、あまり自殺に至らない。自分の中で「こうあるべきだ」が強く、理想と現実のギャップに苦しむ。
「全か無かの思考」の執着質。
・生真面目に仕事をこなす執着性格型は「できる」ようで「できない」。掘り下げるとすべてにおいて「気がすまない」体質。全部終わらせないと気が済まない、皆からよく思われないと気が済まない、机がきれじゃないと気が済まない。
・「すべき思考」がつらさを増大させ、自分を追い込んでいく。「仕事」+「すべき思考」=「きちんとやらなければいけないもの」の図式をゆるませ、「手を抜く」ではなく「余力を残す」「きちんとやらなくても一定の要件を満たせばいい」に置き換えてみる。
・人は一旦ネガティブ思考に陥るや、その楽さと心地よさから、どんどんその渦に巻き込まれ、自らが心の中で発した根拠に乏しい自己卑下の言葉によって強化していく。そして、ある程度の深さまで落ち込んでしまうと、客観的な判断を司る脳の部分が機能不全に陥り、容易には回復しなくなる。
なので、このネガティブ思考の初期段階で食い止めることが重要。
・軽症うつが増えてるのは、現代社会が人間関係に希薄で人間として持っている「愛されたい」という欲求が満たされないのも原因のひとつ。愛への飢餓感が起こしている。
・長期間にわたって抗鬱薬や精神安定剤を飲んでいる人で、気力や体力がみなぎっている人がいない。どこか生気が足りない。薬によって元気を奪われているのではないか。軽症うつに関しては特にできるだけ薬には頼らず、運動や生活リズムの調整などで別の方法で模索すべき。
・気分転換を図るということは、悪循環な思考を一旦断ち切るということ。これを実現するには読書や芸術鑑賞などの文化系は×。ストレス思考は日々繰り返され強力に脳に刷り込まれているので、ちょっと鑑賞したくらいでは消去されない。「別世界に身を置くこと」「体に負荷をかけること」が大事。水泳は特によい。呼吸を使うカラオケもよい。
・上司が叱責をするときは、「客観的事実+感情的な主観」で成り立っている。客観的な事実のみ受け入れて、感情的な主観は却下すること。自分が全否定されたようなダメージを受けないこと。
・上司たるもの職位上の機能的な位置づけだけのはずなのに、勘違いして部下との対比によってあたかも全能的に優れていると思ってる人が多い。ゆえに存在価値が危ぶまれると、自分より優秀な部下を見つけてはねじ伏せたり、感情的になって自己防衛に走りだす。
・できない仕事はすぐに断る、手に余る仕事は人に振る。周囲を思いやるあまりに「便利屋」になるのはやめること。
・完璧主義から、「そこそこ人間」になる。力を入れる部分を見抜き、2割の仕事に集中し、あとの8割はそこそこにする。また「緊急性」より「重要性」を重視し、仕事に順番をつけること。
・困難にぶつかったら「どうしよう思考」から「こうしよう思考」に変えて、先が見えるようにすれば不安が減る。
・世界一の不幸にならない→「なんで私ばかりが」「周りの人は幸せそうなのに」
・過保護にして現状維持で悶々としない→「もう年だから」「何も資格もってない」「今までダメだったから」
この二つの解決は「ま、いっか」「しょうがない」とつぶやいて思考パターンを作ること。
・軽症ウツの人にとって自殺を望むことは、この場を「逃げたい」だけ。
【治し方】
・自宅安静の休みの取り方は思い切って長期間休むこと。
・「ダラダラ期」は何もしないことに徹底すること。身体は自宅だが、心は職場ということは絶対あってはいけない。連絡を絶つくらいにする。
社会的な存在としての自分を一旦解き放ち、自分を立ち返ることが大事。
「~しなければならない」を一切排除した生活をすること。
・「活動期」は何でも楽しいと思うことをやってみる。非生産的なものがいい。得てして英語やスキルを磨きたがるが、追い立てられる気になってくる。
・「復職期」は働きたい欲求が出てきたら働けばいい。環境を整えて復帰をする。続きを読む投稿日:2013.01.15
社会生活は一応できているが、心の中は苦悩に満ちている状態を「軽症うつ」と定義し、セルフコントロールの重要性、性格、思考、認知など様々角度から対処法、治し方について綴られています。
自宅安静にお…いては「ダラダラ期」「活動期」「復職期」の三つに分けて説明。特に「ダラダラ期」については、やるべきこと、やってはいけないこと、うまくできない人へ、もたらされる心の身体の変化、と分けながら要点をまとめていて、わかりやすく納得できました。著書は10年前に出版されており、以降に出された著書も順次読んでみたいと思います。続きを読む投稿日:2022.02.14
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