動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ
河合雅雄(編著)
,林良博(編著)
/PHPサイエンス・ワールド新書
作品情報
国の森林皆伐計画によって繁殖力が強化され、森林の土壌に大きな影響を与えるまでに増えたシカ。数年に一度大量出没するクマ。食物だと認識していなかった人間の農作物を、採食し始めたニホンザル。神戸市内でゴミをあさるイノシシ…。かつて人と動物の“入会地”であった日本の里山は、今や野生動物の領有地となっている。なぜこのような問題が起こっているのか? 人と動物と森の理想的なあり方とは? 兵庫県はこれらの問題を解決するために、2006年、兵庫県森林動物研究センターを設立した。本書は、同センターの名誉所長であり、世界的なサル学者である河合雅雄、同センターの所長で東京大学教授の林良博、そして同センターの研究員六名が、野生動物の現状に迫った一冊である。日ごろ野生動物と接する機会が少ない都会人にこそ、日本の環境の実態を知るために読んでもらいたい。
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商品情報
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHPサイエンス・ワールド新書
- 書籍発売日
- 2009.11.01
- Reader Store発売日
- 2012.02.03
- ファイルサイズ
- 11.8MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (7件のレビュー)
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縄文時代の遺跡調査によると、狩猟対象の8割はイノシシとシカだった。牛と馬は5世紀頃に渡来したが、乗り物、運搬、耕作に用いられ、食用にはされなかった。日本で牧畜が発展しなかったのは、雨量が多いため牧草地…をつくることが難しかったことが大きな要因。鶏は時告げ鳥として神聖視されていたため食用にされず、江戸時代になってから鶏卵食が始まった。綱吉の生類憐みの令は、兵農分離を進めるために、農民から鉄砲を取り上げることが目的だったとの説も出されている。
戦前から生後しばらくにかけては、ヨトウムシ、ウンカ、イナゴ等の昆虫、ヒヨドリ、スズメ、カラスなどの鳥、ウサギ、ネズミ、モグラ等の獣による害が多かった。
明治になって鉄砲が解禁され、野生動物が経済取引の対象となったため、肉、皮、羽毛が輸出されたほか、ノウサギが兵士の防寒用に大量に捕獲され、カワウソはコートの襟の毛皮として乱獲されて絶滅した。馬を襲う害獣としてエゾオオカミが明治28年頃に、ニホンオオカミが明治38年にそれぞれ絶滅した。
森林の大規模皆伐によって、草や実をつける低木、高木の幼樹が生えるため、シカとニホンザルの絶好の餌場になった。1970年代に始まった畜産振興のための草地開発が進められた兵庫県などでは、シカが多くなっている。
シカは戦後に絶滅寸前になったため、活用する文化が途絶えてしまった。現在は、捕獲しても埋められたり焼却されることが多い。
イノシシは雑食だが、植物の中では消化しやすく栄養価の高いものしか食べられない。そのため、いつ、どこに何があるかを探索し、記憶する能力に優れている。イノシシの分布は西日本が中心だったが、北陸や関東にも拡大している。続きを読む投稿日:2014.05.04
数年前の出来事。島根県にある義母実家の裏山にクマが出た。地元テレビも取材に来たそうだ。ときどきニュースでクマが出たという話はある。まあそれはクマだってエサがなければ里にも下りてくるだろう、それくらいに…考えていた。しかし本書を読むと、そこにはいろいろな理由があるのだということが分かってくる。天敵だったニホンオオカミはとっくに絶滅している。サルにしろ、シカにしろ、イノシシにしろ、増えて困っている人たちがいる。丹精込めて作った農作物などがやられてしまう。シカなどは増えすぎて相当な数殺しているのだそうだ。あまり肉を食べるということもしないから、そのまま処分するしかないのだそうだ。そんな実態があるとはつゆとも知らなかった。おもしろいのはドングリの木の話。毎年毎年実をつけていると、それをエサとする動物が増えてしまい、全部食べつくされてしまう。そこで、幾種類かのドングリの木たちは相談をしたかのように、いっせいに実をつける年と、実をつけない年を決めているのだそうだ。そうすることで、動物たちは食糧不足でしばらくは増えることができない。で、いっせいに実ができても、それを食べつくすほどの数がいない。そうして、ドングリの木たちは子孫を残していく。恐るべし、自然界のからくり。ぜひ、本書を読んで日本の森の実体を知ってもらいたい。続きを読む
投稿日:2015.01.28
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