この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
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【東日本大震災関連・その⑬】
(2011.07.16読了)(2011.07.14借入)
著者は、岩手県陸前高田市出身のジャーナリストです。歌手の千昌夫、俳優の村上弘明、も陸前高田市の出身です。
ケセン…地方(陸前高田市・大船渡市)の地元新聞「東海新報社」の協力を得ながら著者が、被災者に取材して記録した、助かった人たちの声です。
3月11日に被災地にいた人たち一人一人に話したいことがあるはずです。この本は、その一部でしかありませんが、貴重な記録だと思います。
取材地が、岩手県の陸前高田市と大船渡市にほぼ限定されますが、僕みたいな、その地域を生活圏として育った人間には、ありがたいことです。生まれ育った生活圏にどんなことがあったのかわかりますので。
実は、僕は、所用があって3月11日に大船渡市に帰省したのです。2時40分に大船渡線終点盛駅に到着。出迎えたかみさんの運転する車で、田舎の家の前に着いたときに地震に見舞われました。すぐ近くまで津波が来ていることも知らずに、11日、12日と余震におびえながら、炊き出しのお結びを食べて過ごしました。
津波警報が解除になった13日に親戚の人たちの安否を確認するために、JRの駅で言うと、盛⇒大船渡⇒下船渡⇒細浦、と三つ分の駅を神さんと歩きました。そのときに、津波の被害の様子を自分の目で見てあまりの凄まじさに呆然としてしまいました。
14日の日に首都圏に戻るつもりで帰省したのですが、交通も通信も遮断されてしまったので、戻るどころではありませんでした。ある程度、普通の生活ができるようになったのを確かめて、3月28日に、バスを乗り継いで、首都圏に戻ってきました。
大船渡に滞在中に、新聞・テレビで知ったことも、この本に書かれていますが、知らないことも結構あるので、ありがたかったです。
前書きには「本書では、絶望的な状況の中で、奇跡的な生還を果たした人たち、人命救助に活躍した人たち、そして、何もかも失ったが再興に向け、立ち上がった人たちの声を集めた。」とあります。
章立ては、以下の通りです。
1章、奇跡の脱出劇! ―史上最強の大津波が町を襲った
2章、明日の希望へ向かって動き出す! ―必死の人命救助、復興への足音
3章、絆、思いやりが再興のカギ! ―人は皆、つながっている
●被災状況(19頁)
陸前高田市の町並みは完全な廃墟と化した。隣の大船渡の駅前のメインストリートも同様、海岸沿いの繁華街が壊滅的な打撃を受けた。大火に包まれた気仙沼では、陸地で遠洋の漁船が数艘がぶつかり合い、凄まじい津波のエネルギーを見せつけた。
●避難所の体育館(32頁)
体育館の天井は、優に14メートルか15メートルはある。その天井まで水はあっという間に押し寄せた。この時、2階には70人前後が避難していたのだが、ほとんど波にさらわれてしまった。やがて波は引いていき、3人だけ生き残ったことがわかった。
●市民会館の3階(40頁)
「市役所前の公園には大勢の人が避難していて、市役所か市民会館の3階に逃げろという指示があり、私は市民会館の3階に駆け込んだのです」
3階には会議室があり、60人から70人が避難していた。
「窓から屋根の上に茶色の波飛沫が見え、大きな家がぶつかってきたのです。」
菅原さんは波に吹っ飛ばされ、気を失い、会議室脇の倉庫内に閉じ込められたのだ。この時、12人がいっしょにこの部屋に流されたという。これが幸いした。
●何が生死を分けたのか?(62頁)
「残念ながら、町の人たちは、とくに高齢者はここまで来るわけがないと思って、避難しない人がほとんどだったのです。何も持たずにまっしぐらに高台に走った人が助かり、家に戻って何か持ち出そうとした人は助からなかったようです。なかには、寝たきりの高齢者を助けようとして、親族数人が無くなってしまった例もあります」
●三陸町吉浜(98頁)
「吉浜の集落は、1896年の三陸大津波で204人が死亡するなど、大被害を受けたのです。そこで、当時村長の新沼武右衛門が辣腕をふるい、家屋は高台に作るよう指導したのです。現在も低地に家を建てないのは当たり前という先祖代々からの言い伝えが自然に浸透しています。」
☆関連図書
「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
「これからを生きる君たちへ」三重博一著、新潮社、2011.04.26
「祈りと希望」、「祈りと希望」実行委員会編、経済界、2011.04.29
「この言葉を忘れない」、『この言葉を忘れない』編集グループ、徳間書店、2011.04.30
「がれきの中で本当にあったこと」産経新聞社著、産経新聞出版、2011.06.02
「超巨大地震に迫る」大木聖子・纐纈一起著(済)、NHK出版新書、2011.06.10
(2011年7月18日・記)続きを読む投稿日:2011.07.18
陸前高田市、大船渡市で被災し、生き残った人びとに直接インタビューし、まとめたもの。
生々しい生還までの様子がつづられています。
字も大きいし、記述している内容もよみやすい。投稿日:2012.03.23
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