パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~
増井俊之 / 光文社新書
面白い教科書みたいな面白さ
4
大学の講義録なのかな。スライドを前に滔々と語る姿が浮かぶ一冊です。機器やソフトのUIを設計する人に知っていて欲しい心理学や、実用と実験の歴史がばらまかれています。
例えば、クリップボードから想定外のも…のをペーストしてしまった時に感じるガッカリ感は、クリップボードの中身を教えないUIが悪い。実験的にはこんな提案があった。(さて、君ならどうする?)という感じ。みずから考えれば考えるほど、楽しめると思います。 続きを読む投稿日:2015.03.12
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ひとはなぜ戦争をするのか
アルバート・アインシュタイン, ジグムント・フロイト, 浅見昇吾, 養老孟司, 斎藤環 / 講談社学術文庫
ナチスに席巻される直前の往復書簡
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人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?
と問うアインシュタインに、
私たちはなぜ戦争に強い憤りを覚えるのか?
と返しつつ、解釈と道筋をつきつめていくフロイト。
2人のユダヤ人の、それぞれ…の思索が興味深かった。養老孟司・斉藤環両氏の解説も熱い。 続きを読む投稿日:2016.08.18
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本好きの下剋上ふぁんぶっく
香月美夜, 椎名優, 鈴華 / TOブックス
壮大な物語の物語
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ちょうどウェブ連載が完結した日に発売されたのは偶然でしょうか。
物語前半の答え合わせと裏話の数々で、たまらなく読み返したくなってきました。投稿日:2017.03.10
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つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2
森博嗣 / 講談社文庫
100の抜き身のコトバ集
4
「電子書籍の対語としての印刷書籍」という話をtwitterで知って読んだ、文庫書き下ろしのエッセイ集(の電子版)。相変わらず一語一語がシャープ。電子書籍からの収入は微々たるものと言う話をあちこちで聞い…ていたが、森先生は年々1ケタ伸びで、既に1/3に達したそうだ。
これからの本は、印刷する必要は無いのだからスペシャルなのが増えるというお話に、願望も込めて同意。はたしてReaderStoreはそれに対応できるだろうか。どうもこちらは印刷書籍のロジのアナロジーから抜けきれず、KDPの独壇場になっていくように見えて仕方ない。革新に期待したい。 続きを読む投稿日:2014.01.17
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真実 新聞が警察に跪いた日
高田昌幸 / 角川文庫
一人一人は良い人ばかり…
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どのような組織でも、内輪の都合が勝つときはあるだろう。本書では、北海道新聞社と北海道警察がそれぞれの、かつ複数の論理を貫いたときに、どのような問題が起こり、どのような作用を及ぼしたかが克明に記されてい…る。
新聞社が調査報道を貫くことも、新聞社が家宅捜索や訴訟提起におびえることも、警察が正義を貫くことも、警察が権威を守ることも、それぞれの内輪にはスジが通る話だと思う。
その中に裏金問題や経理不祥事という汚点が投げ込まれたときに、権力を持つ組織が暴力を剥き出しにして自己保存を図ろうとすると何がおこるか。極めて具体的な事例を、さすがの筆力でまとめあげていく力作でした。
一人一人は大したことをしている積もりはないところが、実に恐かった。 続きを読む投稿日:2014.05.22
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コロロギ岳から木星トロヤへ
小川一水 / ハヤカワ文庫JA
絡み合う3つの時空それぞれに味わいがありました
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多次元宇宙を人間の認識できる3次元で切り取る話は偶に見かけるけれど、異次元の知的生命体の視点を取り入れることで俄然おもしろくなったのだと思う。さらにそいつが空気読めないドジっ娘で少年たちが危機に陥ると…いう、はた迷惑なお話。満喫しました。 続きを読む
投稿日:2014.07.23