千人怪談
エブリスタ(編)
/竹書房文庫
作品情報
眠れないほど怖い話を聞かせてほしい。
ホラーイベント〈稲川淳二の怪談冬フェス~幽宴~〉と小説投稿サイト〈エブリスタ〉がコラボした投稿企画=【最恐怪談コンテスト】。
全国から集まった恐怖の総数、なんと約1000!
そこから受賞作他、審査員もトラウマになった本気のヤバネタ23話を大収録!
今夜はきっと眠れない、眠らせてもらえない……。
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商品情報
- シリーズ
- 千人怪談
- 著者
- エブリスタ
- 出版社
- 竹書房
- 掲載誌・レーベル
- 竹書房文庫
- 書籍発売日
- 2018.11.29
- Reader Store発売日
- 2018.11.29
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 2.0 (2件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
豪雪の中、山間に埋もれるようにして存在する集落。大野はこの地域で行われる、祭りである「かまくら祭」を見るために、僻地へとやって来た。民宿で一息着いていると、かまくら祭の由来を民宿のお婆さんから聞かされる……。 *** 小説投稿サイトエブリスタで度々行われている、怪談コンテスト(今回は、約1000話という前回読んだ本より多くの投稿から)で選出された23話を収録。前回と同様一般の方からの投稿のため、怖さにばらつきがある。前回は「封印されたエレベーター」の様に度肝を抜く怖い話もあったが、今回は少なかったのが残念。幽霊や怨念渦巻く恐怖体験!というよりは、人間怖いという話や創作怪談も多く含まれており、実話風怪談を求める人にはやや不向きかも。百物語や怪談会で語られるようなおどろおどろしい怪談話、というよりは広い意味での怖い話という感じだった。お気に入りの話は「冷えた指先」、「検証」。 「冷えた指先」は一部の地域で行われる独自の祭り「かまくら祭」に興味を持った語り手が宿泊する民泊で、掘りごたつに入りながらかまくら祭の由来を聞く……。川べりにずらっと並ぶ小さなかまくらに灯された小さな明かりが幻想的でまるで天の川のようだという前情報があったので、どんな由来なのだろうとワクワクしながら読んでいたが、いざ蓋を開けてみると悲惨な死に方をした幼子の供養のための祭りだったらしい。なるほど、灯をともすという行為は霊を供養するための灯篭流しに通ずるものがあるのだなと土着の供養方法が非常に興味深かったが、掘り炬燵に入っている語り手にその話するか……?と首をひねった。語り手も同じ心境だったようで、戸惑ったようにその話をすると、事態は一変。彼が今まで足を突っ込んでいたそれは何だったのだろう。もし、あのまま由来を聞いて、違和感を覚えずに足を突っ込んだままにしたらどうなっていたのだろう。もしかして、連れていかれたかもしれないと思うとひやりとする。 「検証」は昔の友人から突然電話がかかってきて、その友人から語られたのは、共通の友人たちと電話主の身に起こった呪いともいうべき現象。住んでいた町に伝わる眉唾物の伝説。廃病院の手術室の壁に自分の名前を書くと三日後に死ぬというもの。ふざけ半分で書いた友人が一人死に、そして本当に呪いの所為で友人が死んだのかを確かめるために自らの名前を名前を書いた友人がもう一人死に……。という展開だった。名前を書くと死ぬというのはよくある話だが、この後「検証」というタイトルの通り、電話主が行った悪意ある検証にゾッとした。確かに名前に関するその様な話は聞いたことがあるが、だからと言ってそんな検証に巻き込むのは非常に理不尽。というか、ある程度、確証をもって行ったのではないか?この怪談の冒頭で語られる「勝ち組ってやつだ」という台詞を鑑みるに電話主は成功した語り手に嫉妬していそうな雰囲気だ。話し方からして、洗濯に迫られ仕方なくやったという切迫した感じも伝わってこないため、その線が濃厚かもしれない。まあ、最後様子がおかしいので呪いの元凶に憑りつかれての行為かもしれないが、それにしても、ざわざそのことを語り手に話すあたり害意があるのは間違いなさそう。
レビューの続きを読む投稿日:2020.11.03
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