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マリーケ・ルカス・ライネフェルト, 國森由美子 / 早川書房 (5件のレビュー)
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総合評価:
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dai-4
本の雑誌・めったくたガイドから。上半期を含めたベスト企画や、ジャンル特集などでのオススメ作品については、複数人の意見だったり、時を経ての評価だったりで、ある程度以上の保証付きって感じがするけど、新刊に…ついては、とりあえず留保っていう臨み方が妥当なのかも。手あたり次第の時間があるでもなく、書店での目利き力があるでもない自分は、どうしても書評やブックガイドで当りをつけたくなってしまう訳だけど、その仕方も工夫しないと、ってことで。前置きばっかになったけど、要は本作が、いまひとつ楽しめなかったということなのでした。続きを読む
投稿日:2023.08.15
がじ丸
難しい小説でした。 幼い主人公が長兄を事故で亡くす直前、罰当たりな祈りをして現実になった事で、聖書を規範に接していた世界と少しづつ離れていく様、それが主人公一人だけでなく家族全員静かに徐々に、それぞれ…の世界との離れ方をするのが興味深かったです。 父親のあくまで聖書が基礎である事を変えない姿勢や、次兄オブの聖書を全く気にせず破壊的な行動ばかりする様が目立つ中、妹ハンナはおかしくなっていく家族にも目を背けず、かといって受け入れるでもなく柳の様に受け流す感じが面白いなと思いました。そして母親の描写が薄いなと思ったのは気のせいでしょうか。 万人に勧められる小説では無いし、かなりクセがあり読むのを何度も断念しそうでしたが、終盤はクセの中にあった遅効性の毒が効いてきてラストはそれが見事に結実したなと思いました。 表紙や書評を読んでピンと来た人ならお勧め、といった微妙な事情も込みでこの星評価です。続きを読む
投稿日:2023.08.01
hosinotuki
10歳の時スケートに出かけた大好きな兄が氷の割れ目に落ちて死んだ。その喪失感がヤスの心に暗い陰を落とし壊れていく家族とともに闇の中で喘いでいるような日々となる。聖書の言葉が恐ろしい枷となり、父母の修復…のための生贄や目覚め始めた性への興味、禍禍しい兄の性的虐待や牛の口蹄疫などいろんな問題がごった煮になった風景が物悲しく広がって、最後の冷凍庫の場面に収束する。 表紙の少女が身を守る赤いジャケットを着てこちらを見る虚な目に恐怖する。続きを読む
投稿日:2023.06.18
kitsunebi
このレビューはネタバレを含みます
当初はジャケ買いだったワ。装丁かわいーと思って。表紙のそこかしこに牛のイラストが散りばめてあるの。 でも物語の進行につれて、(主人公ヤスと思われる)女の子の表情が、目の色が変化して、読後の今はもう、表紙を見るのが怖いワ。この子の怯えた視線の先を辿りたくないの。だってそれは、私たち汚れてしまった大人の、純真な子供を飲み込む、果て無い闇だもの。ものすごく感受性の強い子の内側に入って、繊細な水晶体から、ゆっくりと瓦解していく世界を覗き見るような文体。それを詩情豊かな日本語で伝える、素晴らしい翻訳ね。救済と安息を与えるはずの聖書の引用が所々、不穏な警句のように響くワ。変な子、と大人たちは乱暴に括るけど、突拍子もない言動や病的な挙動の裏には子どもなりの切実な理由からなるイメージと連想があり、計り難い不安と怯えが隠されているのよ。 さて、私はLGBTQなので(MtX)、穿った読みになるかもしれないけれど、主人公ヤスの、思春期特有の性への好奇心を示す一方で、自身の第二次性徴をどこか拒絶しているような描写/言動がちらほら気になったワ。さらに踏み込むと、妹とやや性的(かつ同性愛的!)な児戯に耽るシーン、父と次兄との男同士の連帯に疎外感を覚えるシーン、異性の性器自体にというよりむしろ、それに関心を抱く同性の友人の様子を観察することにこそ興味を掻き立てられるシーン、これら全て、私も似たような経験があるワ。この小説は自伝的要素を多分に含んでいるようだし、著者は元々ノンバイナリーを公言していたのを、2022年から「he/him」を標榜していることから推しても、あながち誤読ではなさそう? 性自認/性的志向における違和感を覚えつつも誰にも相談できず、まして周囲の理解など到底望めない生き辛さもまた、ヤスの最終決断の一因となったんじゃないかしら。こう読んでいくと、赤いジャケットには「(兄の死に対する)自戒」や「(徐々に敵対していく世界に対する)防御」という象徴性のみならず、自身の成長を止める(=自縄、拘束)、あるいはその徴を周囲の目から隠す(=秘匿)意味合いがあるのかもしれないわねえ。 マリーケ・ルカス・ライネフェルトは元々、詩人としてキャリアをスタートさせており、何冊か詩集を出版しているらしいの。詩もぜひ読んでみたいわ~
投稿日:2023.05.11
ほん3
オランダの作家さん。 デビュー長篇の本作で、ブッカー国際賞を受賞。2020年当時、29歳での受賞は史上最年少だそうです。 息子の死をきっかけに、良くない方に進んでいってしまう家族の話です。 主人公…はそんな家族の長女。 思春期にさしかかった彼女は、その年頃特有の鋭い感受性を持ち、性に目覚め、あやうい日々を過ごします。 一言で言えば「厨二」の状態だと思います。 本書が日本の厨二文化(そんなものがあるのか分かりませんが)と違うのは、芸術的なところ。 厨二も描き方次第で芸術になるのだと思いました。 この感性は好きです。続きを読む
投稿日:2023.04.12
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