【感想】SUPERサイエンス 鮮度を保つ漁業の科学

齋藤勝裕 / シーアンドアール研究所
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • mysterymanbo

    mysterymanbo

    ーー日本は海に囲まれた島国です。この様な地形の影響から、昔から水産資源を重要な食料源として利用してきました。それだけに日本は漁業の優れた技術をもち、世界有数の漁業国です。本書では、漁業の現状や養殖、捕獲の基礎知識などの他に漁獲物の冷蔵、活魚輸送方法など水産物など方法持ちさせる技術や品種改良についても科学的に詳しく解説しています。ーー

    漁業についての基本的な知識が得られる良書です。
    個人的には「流通漁業」「加工漁業」「品種管理」「資源管理」など後半以降の内容が役に立つ。
    例えば、急速冷凍の技術は素材の鮮度を数十年レベルでキープできる(P104)、遠洋漁業では1年以上も船内保管の必要がある(P106)、腐敗の原因となる細菌は10℃以下で増殖が遅くなり、-15℃以下ではほとんど繁殖できなくなることから冷蔵庫の設定温度は決められている(P110)、鮮度を保つための魚の活〆の原理(P114)、二酸化炭素麻酔による輸送方法で従来10%の容量しか輸送できなかった活魚車が30%にまで可能となった(P118)、ウイルスは宿主である生物無しでは増殖できない物体で細菌や微生物と違って生物ではない(P122)、人間にとって有用なものを発酵、有害なものを腐敗という(P123)、漁業大国だった日本には科学的な知見以前に様々な加工保存技術(知恵)があった(トラフグ卵巣の麹漬け、鰹節、干物、塩蔵、燻製など)、またクサヤ汁の正体は使いまわした塩水(P138)、品種改良での交配もニジマスのメスとイワナのオスは生存性があるのに、逆の性別交配だと致死性となる(P166)、日本は2018年まで年間の漁獲量の上限を定めたダービー方式だったため、早い者勝ち&小魚まで根こそぎ漁業が当たり前だったが、その後個々の漁船や漁業者ごとに漁獲量を割り当てる方式に方向転換した(P178)など有益な情報が盛りだくさんです。
    スーパーサイエンスシリーズ、本書以外にも農業や食卓の危険、お酒や電池についても書籍化されているようですが、これは侮れません!
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    投稿日:2021.01.18

  • izusaku

    izusaku

    このレビューはネタバレを含みます

     図書館の新着コーナーにあり手に取った。
     捕獲や養殖から流通、加工、品種改良まで幅広く平易に漁業の現状が概説されている。
     さらっと触れられている品種改良だが、味覚を満足させながら効率的に魚肉量が確保できる品種やその地域に独特の品種などを開発する需要が増えるのだろう。
     著者の専門は有機化学から物理化学という、ここまで解説できるのは大したものだ。

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    投稿日:2021.01.10

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