キリンのひづめ、ヒトの指 比べてわかる生き物の進化
郡司芽久(著)
/NHK出版
作品情報
高血圧なキリンの心臓、物をつかみにくい猫の手・・・・・・生き物に「ざんねんな進化」はない!
ヒトとキリンは似ている動物? 見た目はまったく違うけれど、じつは骨格の構造や赤ちゃんの育て方など共通点も多くある。似ている部分に注目すると、複雑な進化の仕組みを理解しやすくなる。生き物の成り立ちを知るうえで「比較」は最も重要なのだ。手足、首、皮膚、心臓など8つの器官を通して、さまざまな動物の体に刻まれた進化の歴史をひも解く。
「キリン博士」こと人気解剖学者によるユニークな進化の話!
はじめに――解剖からひも解く生き物の進化
第1章 肺 息苦しい水中への対応策
第2章 手足 手のひらを返すヒト、返せないキリン
第3章 首 頭と肩に挟まれた隙間
第4章 皮膚 外から支える偉大な「臓器」
第5章 角 その不思議な魅力
第6章 消化器官 たくさん食べるか、無駄なく消化か
第7章 心臓 はるか遠くへと血液を運ぶ旅
第8章 腎臓 「毒」の排出を担う器官
第9章 呼吸器 酸素の取りこぼしを減らす工夫
第10章 進化とは妥協点を探ること
あとがき――自分の体を知ることは
*電子書籍版ではイラストをカラーで収録しています。
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商品情報
- 著者
- 郡司芽久
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- NHK出版
- 書籍発売日
- 2022.09.28
- Reader Store発売日
- 2022.09.28
- ファイルサイズ
- 13.8MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (22件のレビュー)
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「あれって役に立たないですよね?」
まずイラストレーター浅野文彦さんが描く挿画に感心させられた。
人間と様々な動物の器官や骨格の違いを、見事な構図でわかりやすく一枚の絵で表現している。
共著と言ってもよいレベルで、何なら本文よりも説…得力があり、著者が執筆のモチベーションになったというのも首肯ける。
肝腎の内容で言えば、比較解剖学で見えてくる進化の形で、同一の器官のはずなのに動物によって機能や構造が違ったり、別個の進化を辿った動物が、生存上の問題の解決策がたまたま同じだったという理由で、同一の構造を持ったりと、比較することで見えてくる生き様がたいへん面白かった。
進化にルールがあるかというと、あるとも言えるし、ないとも言える。
例えば、哺乳類の頸椎は7個と決まっているから、キリンの首がどんなに伸びようが、数は不変。
それでもキリンが、"7個じゃ無理、足下の水を飲むのに首をグゥーと曲げないといけないのに"と文句言ったって決まりは決まり。
仕方なく、本来は動かないはずの胸椎を首と連動させることで、無理やり8番目の首の骨を作って、なんとかルールを遵守したまま首の可動範囲を広げている。
一方で、鳥類や爬虫類の頸椎の数は千差万別と言うから、制約があるようでいてない。
これまでは進化なんて、必要だからその形が生まれるんだとばかり思っていた。
しかし著者は、「○○のために進化した」とかじゃなく、そもそも「進化に目的意識はない」んだと強調する。
例えば、生物のはじめての陸上進出。
水中からじゃなくて空中から酸素取り込むために肺を発達させて準備万端、いざ勇躍というわけではなく、実際には乾期の間に陸地に取り残されて海に戻れなくなったパターンだったのかも、と。
つまり、予想される未来を想定した進化ではなく、止むに止まれず、切羽詰まって行なわれる進化の有様。
事実、肺の元となるものは、生物が陸上へ進出するずっと前、水中でエラ呼吸しているはずの魚の一部がすでに獲得していた。
というのもあまりにもデボン期が高温すぎたため、急激に水中の酸素濃度が低下して、エラだけじゃ間に合わなくなったから。
それでも以降は寒冷化して、酸素濃度も元に戻ったから、肺も一緒に退化してしまうはずじゃ?
自然は無駄という贅沢を許さず、使われなくなれば消え去るはずじゃなかったのか?
でも、"肺は不要だけど、これ浮き袋として使えるんじゃね"と転用されていく。
何が幸いするかわかんないけど、まぁ無駄にはしてないわけか。
パンダの指にしたって、あんなつるつるした丸い竹を一日中掴んでなきゃいけないなら、人間のように親指が他の指と向き合う形で進化すれば良かったのに、同じ方向を向いちゃっててOKマークも作れない。
仕方ないから、第6の指を作って、偽物の親指として代用しちゃってるが、それでいいのかと小一時間。
志村けんの「カラス、なぜ鳴くの、カラスの勝手でしょ〜」という替え歌が聞こえてきそうだ。
毎年生え変わる鹿の角もそうで、"無駄だし、手間じゃん"と思えても、「無駄がなく、硬く強いことだけが素晴らしいわけではない」と著者は言う。
ただ進化の説明を聞いていると、何とでも言えるよなとも思えてくる。
例えば、この動物の尻尾が短い理由は、尾が長いと捕食者に見つかりやすく捕まりやすいからです、と。
一方で、あの動物の尻尾が長い理由は、バランスを取ったり、3本目の手のように物を掴みやすくなるからです、と。
役割や機能の説明が取ってつけたような無理やり感すぎて、いままで生き残ってきたんだから、何かしら意味があったんだという現状肯定の姿勢。
ここから「キリンの角って、いったい何の役にたっているんですか?」という質問も生まれて来ているような気がする。続きを読む投稿日:2023.04.14
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○市立図書館より。
○進化生物学に興味があり、読みやすくて入門にちょうど良さそうだったので読んでみた。
○大学での講義を再編集して執筆されたものなので、章立ても器官ごとになっており、わかりやすい。
○…生物の進化について専門的な知識を交えつつ、一見不便に見える変化についても取り上げ、「進化とは、より便利に、機能が向上するだけとは限らない」と、生物の進化の多様性と奥深さにも触れている。生物にとっての進化は、その生物にとって生きることがより効率的に便利になることだと思っていたので、そうとも限らないのか、環境と種の進化の関係は複雑なんだな……と学びを得た。続きを読む投稿日:2023.12.07
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