夜の少年
ローラン・プティマンジャン(著)
,松本百合子(訳)
/早川書房
作品情報
フランスの本屋大賞最終候補作! 父と息子の不器用な愛の物語 フランス北東部。妻亡き後、わたしは息子二人を男手一つで育ててきた。長男のフスは小さい頃は素直だったのに、反抗期を迎え地元の不良とつるむようになったが、いつかは分かり合えると思っていた。あの日、あの事件を起こすまでは――。不器用な父子の感動物語
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 夜の少年
- 著者
- ローラン・プティマンジャン, 松本百合子
- 出版社
- 早川書房
- 書籍発売日
- 2022.05.24
- Reader Store発売日
- 2022.05.24
- ファイルサイズ
- 1.3MB
- ページ数
- 176ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.7 (13件のレビュー)
-
どれほどの夜が必要か
病気で妻を亡くし、幼い息子2人と懸命に生きる父親が物語の語り手だ。
内に不安や怒りを溜め込みつつも、やること全てが不器用で、周りが見かねていろいろと救いの手を入れるほどのもどかしさ。
彼の視点とシ…ンクロさせているのか、本書は驚くほど改行が少なく、会話も本文に織り込まれている。
数えてみると約160ページ中に改行はわずか70以下という少なさで、先日読んだ日本の小説なんか5〜6ページで達してしまうほど。
自らが傾倒する政党とは真逆の連中とつるむ長男に対し、頭の中ではとんでもない折檻を想像するのだが、実行には移さない。
家族の間でお互いに距離を保つ様がいじらしい。
「フスとわたしはまともに話すことなく伝えるべきことだけ伝えて、あとは息をつめてじっとしていた。足の置き場が残っているところにおそるおそる足をつくという状態だった」
「まるで舞台の上で演技をしているようだった。距離を保ち、同じ廊下ですれ違わないように、出かける時間、帰宅のタイミングを調整していた。バスルームの小さな洗面台の前に所狭しと集まって、押し合いへし合いしながら歯を磨いていた時代はもう終わっていた。わざと邪魔し合ったり、触れ合ったり、やさしく小突き合ったりしながら手っ取り早く皿洗いを済ませていたのは過去のことになってしまった。今ではわたしたちの動きは用心することがたくさんありすぎて重苦しく、ぎこちないものになっていた。余白をたっぷりと残しておかなければならなかった。一人が入ってくる前に、できれば、もう一人が出ていって場所を空けられるように。ずっしりと重い潜水服でも身につけて忌々しい放射能ゾーンの上でも歩いているかのように」
田舎に暮らしながら勉強を頑張り晴れて中央を目指そうとする弟が、家計を案じ下宿先を地方に決めようとすると、すぐさま「ふざけんな、高いところを目指せ!パリに行くチャンスがあるんだから、パリを選べよ。父さんとおれでおまえの寝床くらいどうにかするさ」と励ます兄のフス。
一瞬の逡巡を恥じる間もなく、一気に涙腺が崩壊する父親の描写がたまらなくいい。
「頭のてっぺんまで満潮になって、しなびた鼓膜がズキズキして、大きな玉のような涙がこぼれた。車を走らせながら泣けるだけ泣いて、墓地に着くとベンチに腰かけてまた泣いた。妻の墓のすぐ側ではなかったけれど、そんなことはどうでもいい、墓地にいることが大事だった」
原題は、「(人生の彩りを再び見出すために)どれほどの夜が必要か」で、詩の一節から取られている。
訳者は勘違いしているのか、この"夜"を、人生の"闇"や"トンネル"と解釈してしまっているが、本文にも出てくるように"記憶"や"夢"、"逡巡"や"後悔"など、"身悶えつつも乗り越えていく時間"を象徴しているように思う。
だから、『夜の少年』というタイトルよりはそのまま、『どれほどの夜が必要か』でも良かったんじゃないかと感じた。続きを読む投稿日:2022.11.07
-
父親の苦悩と悲しみが波のように襲ってくるように感じた。
ひとことで言うと辛い、だろうか。
妻を病気で亡くした後、二人の息子を育てる私、というように父親のひとり語りで始まる。
父親の気持ちが切々と綴…られていて、父親の視点でしか知り得ない物語だったが、ラストの父さんへというフスの手紙で胸を締めつけられた。
続きを読む投稿日:2023.07.05
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。