脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論
ジェフ・ホーキンス(著)
,大田直子(訳)
/早川書房
作品情報
細胞の塊にすぎない脳に、なぜ知能が生じるのか? カギは大脳新皮質の構成単位「皮質コラム」にあった。ひとつの物体や概念に対して何千ものコラムがモデルを持ち、次の入力を予測している――脳と人工知能の理解に革命を起こす「1000の脳」理論、初の解説書
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商品情報
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- 早川書房
- 書籍発売日
- 2022.04.20
- Reader Store発売日
- 2022.04.20
- ファイルサイズ
- 3.9MB
- ページ数
- 328ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (32件のレビュー)
-
脳の中に座標系が満ち溢れてる?
街で演奏しているストリートミュージシャンの前を通った時。
次の曲に移り、ギターの前奏を聞いただけで、足を止め何も思わず口ずさむ。
一緒についてハミングしたりして、演者もこちらに顔を向け微笑む。
…普通それは、それがお気に入りの曲で、カラオケでも歌っているものだったからだよと思うが、脳を単に入出力するだけのコンピューターだと考えていた一昔前の脳科学だと説明がつかない現象なのだ。
あるいは、道を歩いていると曲がり角から急に自転車が飛び出してくるが、驚きつつも体は瞬間に反応して身をかわす。
まるで、予測していたかのように。
脳もきっと人知れず、常に予測しているんじゃないか。
著者は最初、それは経験や記憶に基づくと考えていたが、それだと具合が悪いことに気づく(あのミュージシャンやあの道は初めてだ!)。
そこで何らかのモデル、常に学習によって絶えず更新され続けるモデルに基づいて脳は予測を立てているのだと考える。
しかしメロディは予測できても、物体の動きをどうやって脳は予測できるのか。
例えば、自分が座っている椅子の下に転がってきたボールを、人はどうやって椅子を回転させ、身を屈めて、拾い上げることができるのか?
きっと脳の中には座標系があって、それがあるから物体の位置を補足することができるんだと考える。
そうだ、きっとそうに違いないと著者は興奮気味に考え、何本か論文を書きあげ発表するも、いまにいたるまでニューロン内に座標系は見つかっていないそうな。
ラットの頭の中には地図ニューロンがあって、実験でもそれぞれに対応して活性化する頭方位細胞や場所細胞、格子細胞が見つかった。
たとえば現在地のD6から餌のあるB4へ行く時には、その地図のおかげで、東に何区画進み、北に何区画進んだら餌にありつけるか分かっているんだ。
なんとこの地図は古い脳だけでなく新しい脳である新皮質にもありそうだぞ。
我々の脳の中には行列で無数に仕切られた町の地図も持っているんだ、と。
著者が言う"モデル"では、自分がどこにいるかや、どこに触れているかなどの空間認識は、感覚入力信号だけではダメで、実際に動いたり、動かしてみる必要があるとのこと。
これがないと、モノや場所、作業の構造を知りようがない、と。
考えることは一種の動きであり、座標系内の適切な位置が活性化しない限り思考も始まらない、と。
眼の動きだけでコミュニケーションをとっている筋萎縮症で寝たきりのALS患者も同様なのだろうか?
いやいや、物理的に体を動かさなくても、脳の中で動き回ることはできる。
概念の座標系や架空の地図の中で動くことで、触れることのできないDNAや民主主義について考えているんだ、と。
イデアとは何か良く理解できない?
この方程式がよくわからない?
それはあなたの頭の中に対応する座標系がないからだ、と。
未来のAIを真に知的な機械にするためには、自分が考えた脳の原理にもとづいて忠実に設計されなけばならない、と。
そのような脳と同じ原理で動く機械にはもれなく意識があるはず。
意識のメカニズムが不可解だ?
それは考え方が間違っているんであって、座標系を用いれば論理的に説明がつくはずだ、と。
そんな意識をもった機械のコンセントは抜くことができなくなるって?
心配するな、人間だって就寝する時にスイッチをオフってんだ、と。
だったら朝起きてスイッチが入るのと、再びコンセントをつなぐのと同じことだ、と。
最後まで読み終えて不可解なのは、この本を読んで1部は絶賛して、残りの2、3部を否定している読者が多いこと。
"蛇足だ"とか、"読まなくてもよい"とか。
1部にまったく惹かれない立場から言わせてもらえば、残りの章も十分に首尾一貫していて、何なら彼の主張を肉付けする内容になっている。
単なる遺伝子の複製するだけの存在を超えて、知識を守り未来に運ぶ存在になるのだ、と。
真実の全体像と真実に近いらしい真実を考えざるを得ない。
データ中で答えを探す難しさは、大まかに言って、酔っ払いが街灯の下で鍵を探しているようなものだと言われる。
その酔っ払いに、なぜ街灯の下で鍵を探しているのか聞いてみれば、きっとこう返すに違いない。
「だってここが明るいから」
データは、データがある場所しか照らさない。
しかし周囲には深遠な闇が控えたままだ。 続きを読む投稿日:2022.09.17
-
脳の仕組みを解明しようとする研究者の著作。この本が面白いのは、作者がアカデミック出身ではなく、パームコンピューターで大成功した起業家であること。ビジネスで大成功を収めてから、元々関心あった脳の研究所を…設立し、打ち込んでいるという変わり者。だからかもしれないが、内容はとてもわかりやすい。人工知能がもたらす変化なども、シンギュラリティを恐れる必要はないし、映画のような機械の反乱などが起こらないことをわかりやすく説明してくれる。脳を機械に接続して保存したものは、人間なのかという問いや、地球外生命体とのコンタクトまで、脳を題材にいろいろなテーマを取り上げていて、興味が尽きない。続きを読む
投稿日:2024.04.14
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