母親になって後悔してる
オルナ・ドーナト(著)
,鹿田昌美(著)
/新潮社
作品情報
もし時間を巻き戻せたら、あなたは再び母になることを選びますか? この質問に「ノー」と答えた23人の女性にインタビューし、女性が母親になることで経験する多様な感情を明らかにする。女性は母親になるべきであり、母親は幸せなものであるという社会常識の中で見過ごされてきた切実な想いに丁寧に寄り添った画期的な書。
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商品情報
- シリーズ
- 母親になって後悔してる
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 新潮社
- 書籍発売日
- 2022.03.24
- Reader Store発売日
- 2022.03.24
- ファイルサイズ
- 1.6MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (85件のレビュー)
-
著者オルナ・ドーナトは、「私は子どもを持たない」と決意したイスラエル人社会学者であり、すべての女性が母親になりたいはずという社会的期待と、母になることを価値ある経験とする評価に疑問を呈すべく、学術的な…活動を続けてきた
本書は、母親になったことを心の底から後悔している女性たちを研究した報告書である。
母になることが、女性の心身の健康を脅かす可能性があることは、すでに知られている。
病気、うつ病、倦怠感、感情の乱れ、肉体的損傷、社会て地位の喪失は、産後の数年に女性が経験することのほんの一例である。
だが、母は母であることに順応し、受け入れるものと見なされているのだ。
このことが普通にそして広く認識されていることで、母となったからにはみんなそうだから…。
と言われると自分は母親には向いてないと思ってしまうのだろう。
女性が背負うべきものの大きさに誰も気づくことなく、昔から延々と続いてきたことだとあたりまえのことだと。
だから無理だとは言えなくて、後悔してるという言葉が出るのだと思う。
続きを読む投稿日:2022.09.14
このレビューはネタバレを含みます
妻が買ってきたが、読みかけで放置されていた本
レビューの続きを読む
子どもが産まれたので読んでおこうと思った
翻訳の関係か、正直かなり読みづらい部分があり、読了まで半年もかかってしまった…(頭が元気なときでないと読み進めら…れない)
以下メモ
はじめに
・23人のイスラエル女性への調査結果をもとにした本
著者自身も、母になりたくない女性
・イスラエルの女性は平均3人の子供を産む(OECDの平均は1.75人)
・私たちの社会は、「母」の神話的イメージが損なわれないことを望んでいる
→母になることが不幸になることだと感じたり、考えたりすることが許可されていない、暗黙のタブー
・後悔は母を、我が子の幸福=自分の幸福という「客体」から、自分の体や思考の所有者であるという「主体」としてみなすのに役立つ
・後悔を論じようとすると、アンビバレンス(相反する感情を同時に持つこと)の議論へと移行、混同されがち
→母になった後悔を議論の中心としてとどめるべき
・本書において後悔を定義するための基準
①本人に「後悔」の自己認識があること
→アンビバレンスや葛藤を持ちつつ、後悔と認識していない場合は含めない
②過去に戻れるとしても母になるか?に、NOと答えること
・本書は「そういう母」の一般化を意図したものではなく、さまざまな社会集団に属する母が、自分自身の居場所を確認できるようにするため
また、そういう母親たちの存在を認めるため
1章 母になる道筋
・社会の指示VS女性自身の経験
母への道筋は多様である(母になることに興味がない、母になりたくないが子どもには興味がある、母にはなりたいが出産への恐れがある等)
どんな道を辿っているのか自身にさえわからないこともある
→にもかかわらず、母になった女性ならばそれを望んでいたに違いない、という一般的な仮定がある
・「自然の摂理」または「選択の自由」
母であることを正当化する、対照的な2つの仮定
①自然の摂理として女性は出産能力がある、母になる義務がある(選択の欠如)
②母になったことは、メリットを考慮し、合理的に自分で選んだ道(選択の自由)
・母にならなかった女性は「本来与えられたはずの有利な能力を使わなかった」とされ、欠陥や損傷があるとみなされがち
→そのため、母になるか否かを決めることができる女性が増えてきた現代においても、「正しい選択」をすることが期待されている
→子どもは必ずしも「自然の摂理」や「選択の自由」によって生まれるとは限らない
・流れにまかせて
妊娠出産が当たり前すぎるために、産んだ/産みたくなかった理由を挙げにくい
・子どもを持つ隠された理由
母になることを「通じて」立場を改善したいという欲求
コミュニティに受け入れてもらえる、実家からの脱出、欠けていた何かを埋めたい等
・意思に反して母になることに同意する
パートナーからの潜在的・顕在的な圧力によって
→セックスに応じることは、セックスを望むことと同義ではない
2章 要求の多い母親業
・母は、どのように見て、行動し、感じるべきか
女性は単に母になるだけでは不十分であると見なされている
→母のあり方を規定する、厳格で普遍的な規則に従うことが求められる
・「良い母親」と「悪い母親」
「良き母」は我が子一人ひとりを愛し、母であることに喜びを感じなければならない、という期待
→これらは単に外部からの圧力ではなく、母自身に内在化して働きかける
また、良き母と認識されるためには、それに応じた行動を実行してみせる必要がある
・母性のアンビバレンス
母は父に比べて、過保護すぎるor冷淡すぎるなどと非難されがち
→愛と憎しみ、近づきたいけれど離れたいといった相反する感情を強める
入り混じる感情が和らいだ状態ではなく、複雑で矛盾した精神状態
→さらに、それらを精神障害や生理的な倦怠感によるものと片付けられてしまう
3章 母になった後悔
・誰の母でもない自分になれたら
後悔という心の状態には、しばしば途方もない混乱と苦しみが伴う
→それについて話す機会が事実上ないから
また、母は後悔とは無縁とされているから
・時間と記憶
未来を改善させることを目的としない過去の回想に関して、私たちは距離を保つように教えられている
セクハラを忘れて前進するよう求められる女性など
→「起きたことは仕方がない」という、「記憶の作法」が形成される
・後悔:取り戻せないことを元に戻したいという願い
法廷では、人は後悔を感じることが期待されている
→一方でなぜ「母になった後悔」はありえないとされるのか
・後悔と生殖と母性のかけひき
「後悔」が社会によって利用されている
→中絶を考えている女性や母になりたくない女性に「後悔するぞ」と脅して出産させる
「電車に乗り遅れたことを後悔するでしょう」
・後悔は母になったことであり、子どもではない
・母であることのメリットとデメリット
主な利点は、成熟した感覚や、道徳的な能力を証明できたという感覚を持てること
→家族や国、コミュニティとの間に秩序や所属感を得られる
4章 許されない感情を持って生きる
・過去の私と今の私
「誰の母でもない」アイデンティティは、「母」になるために死ななければならない
→母になることで女性は「完全」な姿に近づくという社会通念があるが、実際は「完全」から「不足」への動きだといえる
・母性愛の絆と束縛
19世紀に西洋諸国で、母性愛を文化や慣習に結び付け、母に特定の義務を課す「愛の構造」が作り出された
→感情を体系的に分類し、明確に定められた「適切な」方法で愛することを強制
→これによって社会は、母性愛や子どもとの関係を疑ったりすることがなくなる
→女性が母であり続けることを確実にする
つまり社会的秩序を維持するために利用、また抑圧されている
→「子どもを愛しているが、母になったことは後悔している」は定義上不可能であると見なされる
・世話をする義務
誰の母でもいたくない女性は、母としての二重の責任を感じる
→通常の子育てに伴う責任と、そもそも産んだことに対しての責任
・母であること:終わらない物語
多くの女性にとって、母性は特定の時間や場所に限定されない
子どもから遠く離れていても、成長して自立しても、亡くしても、常に心の奥にある
「一度母になったら、常に母」
・子どもを増やすか否か
母になって後悔しているのに、なぜ2人目や3人目がいるのか?
→一般的な理由は、ひとりっ子であることが有害だと考えられがちなため
甘やかされて利己的になる、親の世話をするときに負担が増える等
→しかし、研究に参加した複数の女性は、母の幸福度と子どもの数は関係しないと話した(ゼロが望ましいので)
子どもからの圧力でもう1人産む女性、どうせ2人産むなら早く産んで終わらせてしまおうという女性など
→「次の子どもを持たない」と決断する女性もいる(これは後悔の表明でもある)
→社会からは「もう一度やってみればきっと変わる」「失望を超えて再試行すべきだ」と説得を受ける
5章 でも、子どもたちはどうなる?
・後悔について沈黙することで、子どもを守る
母としての後悔を子どもに話さないのは、3つの願いがあるから
①子どもを守ること…子どもが罪悪感を持ったりしないように
②子どもとの絆を守ること
③自分自身を守ること…「悪い母」と批判されないように
・知らせることで、子どもを守る
子どもを同じ過ちから守るため、警告を与える
→いずれにせよ母親は、後悔について子どもと話し合うか、沈黙するかという問題に取り組む必要がある
6章 主体としての母
・母であることの満足度:条件だけが問題なのか?
「後悔するのは貧困のせい」あるいは「余裕があれば楽しめる」という考え方は正確ではない
異なる条件下で子育てをしている母親が、後悔を表明している
→母を苦しめているのは、新自由主義と資本主義の「完璧であれ」という精神
19世紀以降、「平均」という概念が「理想(到達不可能なもの)」に取って代わって基準となり、「平均」が正しさを表すものに転換
→逆説的に「平均」は、「達成可能な理想」「理想が標準」となり、「そうしなければならない」という仮定が生まれた
→女性は、完璧を目指す競争の中で一瞬たりとも休むことができない
・客体から主体へ:人間としての母、関係性としての母性
「良い」母には、競争的で人間味に欠ける資本主義のロジックを拒否することが期待される(その代わりに無私無欲で、思いやりを持つべきとされる)
→後悔する母親は、資本主義的で、コストと利益を冷淡に計算した、冷血な女性として認識される
中世にも、子どもを生み育てることに対してのアンビバレンスがあった
家族が宗教的献身や、哲学の研究を妨げるという記述が文献にある
道徳的な民話にも、「最初に神、次に自分、その次に子どもを愛すべき」とある
→子育てのメリットとデメリットを天秤にかけることは昔から一般的
→ただし、母としての感情ルールに違反する場合のみ「非情」だと非難される
母を「主体」として認めることは、母を「役割」として規定している社会では当たり前ではない
→役割としての母性と、関係としての母性に目を向けるとよい
母性を役割ではなく「関係」として捉え、話すことで、様々な母のシナリオが作成できる
→「役割」と認識されている限り、「完璧な母」を目指すシナリオしかない
成長した子どもは「製品」で、母は「理想的な従業員」と言える
母であることを「個々の主体間の関係」「人間関係のスペクトルの一部」として認識するべき
→そうすれば、後悔を含め、母であることに関する感情のスペクトルを調べることができる
母になって後悔するということは、社会的命令(女性に主体を放棄せよと要求すること)について再考する機会のひとつ
→そういった要求は最終的には不可能
なぜなら、(女性には感情の論理があり)、感情の論理を持つのは、主体であり人間として生きていることの証拠だから続きを読む投稿日:2024.02.21
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