この作品のレビュー
平均 4.3 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
「グラン・ヴァカンス:廃園の天使」以来の第2長編とのこと。
レビューの続きを読む
遅筆遅筆とはいいながらも確実に作を重ねている作家で、情けないことに9年前に読んだ「グラン・ヴァカンス」の思い出に酔うばかりで他の著作に手を伸ばせずにいた。
ハードカバー版をチラ見して、重厚そうだなと感じていたが、なに、読み始めれば娯楽そのもの。
キャラクターは丁寧に描き分けられ、漫画やアニメに親和性が高そう、と冒頭十数ページで、容易に軌道に乗れた(萩尾望都の絵柄で脳内再生)。
ところがなんと漫画っぽいとかアニメっぽいという印象を越えて、そのまんまポップカルチャー諸々を取り入れた作りだと判り、断然面白くなった。
あー「プリキュア」ね。そして「まどかマギカ」。てか「ゴレンジャー」って。「ジョジョ」の石仮面かな。手塚治虫「どろろ」じゃん。いや「火の鳥」のムーピー(思えば籘真千歳「スワロウテイル人工少女販売処」の視肉も)。「ナウシカ」の巨神兵というかまあ「エヴァ」かな。
と元ネタを想起できる仕組みが、まず面白い。
しかも後半に行くにつれて、作品を愉しむとはどういうことか、創作物で感情が動かされるとはどういうことか、二次創作とはどういう現象なのか、といった創作論・物語論に斬り込んでいく。
ここが凄い。なのに凄さを言語化できない。
それ以前に後半、どこで何が起き世界がどうなっているのか、よくわからない。混沌。
わからないのに立ち上がってくる圧倒的な抒情。
あ、やっぱり「グラン・ヴァカンス」の作家なのだな、と。
ネットで探しても見つからなかったからレポート用紙3枚で用語集を作りながら読んだというのに、この体たらく。
すごいものを読みました、ゴーグルなしにVR・ARを経験するなら本書に尽きる、ということだけ書き残して、数年後数十年後の再読に賭けたい。
読後ネットで感想などなど漁ったが、作者自身がツイッターで「本作に限らず自作の多くは自罰的心性の産物」と語っていたのが印象深い。
自分向けメモだが、「少女歌劇レヴュースタァライト」特に劇場版と併せて読むのもアリかもしれない。
最後に、「想像しえぬものが、想像された」という帯を考えた編集者? にも喝采を。投稿日:2021.11.10
このレビューはネタバレを含みます
凄まじい本だった。豊富で繊細な言葉が、こっちの想像力の枠を押し広げていくかんじがする。詩的な文章、色や質感を表す無数の語彙、文体が好きだし、上巻のアヴァンタイトルでもう参ってしまった。それでも作者のい…わんとすることに私の貧困な想像力が追いついた気はしなくて、特に下巻の仮劇本番なんか、全然仔細に理解出来ていないんだろうな。一気読みしたこともあって体力すら追いついていないし…疲れた…笑
レビューの続きを読む
〈行ってしまった人たち〉の未知なる力によって支えられた世界観や魅力的なキャラクター、何よりストーリーを夢中で追っていたら、最後の最後で物語は時間を遡り、陰鬱で恥辱にまみれ、だからこそ隠されていた「初め」を明かす。SFの最高のカタルシスだし、それを味わえてとても幸せ。でも欲を言うならセルジゥの活躍をもっと見たかったし、パウルやクレオパトラの鼻を明かす痛快さも味わいたかった。笑 とにかく続きが読みたい。せめてセルジゥがもう少し身体のパーツを取り戻すところが読みたい…。
作者がノートで述べていた通り「お気楽な読み物」だと思って読んでいたから、解説で「それだけじゃない」可能性の一端を知って目を剥いてしまった。買ったのがずいぶん前なので帯付きの本だったんだけど、帯の煽り文句「それは日本SFの呪いか、それとも希望か」ってそういうことか。そういう読み方もあるのか。
かつて一度だけ鳴った零號琴は原爆のメタファーでその余韻は今現在も続いている。その上で、私達(SFファン?戦後日本SFそのもの?)は梦卑ではないだろうか。原爆によって焼きついてしまい、同じ仮劇を何度も繰り返すことで自らを想像している。その目を覚まさせることに作者の企みがあると、解説はいう。
〈亜童〉はアトム、〈牛頭〉はゴジラ、……多分〈鉄靭〉は鉄人だよね。〈守倭〉はウルトラマン? あとはなんだろう…。〈鋳衣〉〈孤空〉〈ぼう藍〉…うーん。
⚫︎あらすじ
想像しえぬものが、想像された。 著者デビュー40周年記念刊行
はるかな未来、特種楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクと相棒シェリュバンは、大富豪パウル・フェアフーフェンの誘いで惑星美縟を訪れた。そこでは首都磐記全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉が五百年ぶりに再建されるのを記念し、首都の全住民が参加する假面劇の準備が進んでいた。だが案内役の咩鷺、菜綵とともに劇を観ていたトロムボノクらは、突如何者かの襲撃を受け――規格外の想像力に彩られた著者第二長篇
(ハヤカワオンラインより引用)続きを読む投稿日:2024.01.28
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。