ヤマケイ文庫 定本 黒部の山賊
伊藤 正一(著)
/山と溪谷社
作品情報
北アルプスの最奥部・黒部原流域のフロンティアとして、長く山小屋(三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋、湯俣山荘)の経営に携わってきた伊藤正一と、遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎ら「山賊」と称された仲間たちによる、 北アルプス登山黎明期、驚天動地の昔話。 戦後の混乱期に山小屋を経営し、事業を軌道に乗せようとするなかでの、「山賊」たちとの交流、不思議な経験が綴られる。山賊たちとの出会い、山賊との奇妙な生活、埋蔵金に憑かれた男たち、山のバケモノたち、山の遭難事件と登山者、山小屋生活あれこれ・・・・・・。補遺に「遭難者のお礼参り」。戦後の混乱期とまだ未開の黒部に関する逸話満載の不思議な魅力あふれるロングセラー。「人物グラフィティ」、「黒部源流グラフィティ」を再構成し文庫化。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- ヤマケイ文庫 定本 黒部の山賊
- 著者
- 伊藤 正一
- ジャンル
- スポーツ・アウトドア - 登山
- 出版社
- 山と溪谷社
- 書籍発売日
- 2019.02.14
- Reader Store発売日
- 2019.02.14
- ファイルサイズ
- 12.2MB
- ページ数
- 304ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (10件のレビュー)
-
毎年アルプスのどこかに山籠りする登山好きとしては、当然読みたい本ラストにランクインしていたのだが、とうとう今年はこの本の舞台辺りに行くことになったので、急いで読むことに…
舞台となる中心地は北アル…プスの最奥地である
日本最後の秘境と言われる「雲ノ平」や黒部源流があり、長野県、岐阜県、富山県の三県の境をなす「三俣蓮華」も有名であろう
標高3000M近くの別天地
真夏に凍死するほどの強風(雨に濡れて、暴風が吹いたら気化熱でイチコロである)はもちろん、濃霧による道迷い、黒部の増水や鉄砲水など、恐ろしい場所である
(行くと決めても、やめようかと悩んでしまう場所だ)
そして、なぜ秘境かといえば、それはもうただただ2日程かけないと行けないような奥地なのだ
(今回この奥地を縦走するにあたり、5日間の行程を組んだ)
戦後昭和20年頃
著者の伊藤正一氏は三俣蓮華小屋、水晶小屋を譲り受け、山賊らの協力を得て、この辺りを発展させていった
また最短ルートの登山道を独力で完成させたり、と雲ノ平一体の魅力を多くの人に広めた功績者である
そんな北アルプスの奥地を誰よりも知る人の本が面白くないわけがない!
まず、盗難や殺害など恐ろしい噂ばかりがあった得体の知れない山賊達との出会いがある
情報量がただでさえ少ない時代、ましてや人跡未踏の奥地での話である
噂が噂を読んで真相を知る術もない中、ポケットに短剣を忍ばせ伊藤氏は山小屋にいる山賊に会いに行くのだ
本当は自分が買い取った山小屋なのに、主の如く、その山賊がいる
意外な彼の風采はポマードをつけた恰幅の良い紳士
しかし天井には拳銃、猟銃、たくさんのはいだ獣の皮や丸ごと薫製されたグロテスクな兎が吊るしてある
そこらのサスペンス以上の恐ろしさだ
どんな展開になるのか、恐ろしさと好奇心ではちきれそうになる(笑)
山賊達は、手製のワラジを1日4足履き潰し、常人が4日かかるところを1日で歩く
岩魚、熊、カモシカ、兎などの猟をし、もちろんそれらは食される
巻末には彼らの写真とプロフィールもあり、大変興味深い
こんな調子でとても読みやすく、ワクワク、ゾクゾク、ハラハラ、ドキドキ楽しめる
しかし自然の恐ろしさに関しては、残念ながら楽しいことは何一つない
現代の登山装備があってさえも、ビビってしまう場所なのだが、戦後の時代の装備を考えると確かに亡くなる人は多かったのもわかる気がする(ゴアテックスの凄さを実感)
また山を甘んじる無謀な登山者は今も昔も変わらないのは残念だ
多くの命を救ったであろう伊藤氏の話は切に染みるものがある
死と隣り合わせの登山の恐ろしさを改めてヒシヒシ感じ、身が引き締まった
そして不思議な体験…
死を誘う「オーイ」の呼び声はバケモノ、「ヤッホー」にしよう!
カッパの正体や狸の擬音の巧みさ…
摩訶不思議で恐ろしい体験話がいくつもある
でも山だから…となんか妙に納得してしまうんだな、これが…
他にも
埋蔵金の話し、物資運搬の大変さ(歩荷賃とヘリを使った輸送費は大差ない⁉︎)動物との共存(食料欲しさに山小屋をノックする熊)、黒部(黒四)ダム建設(7年の年月と990万人の人力を費し、167人の尊い犠牲者を出した)など
興味深い話が沢山ある
山の怖さも魅力も全てを知り尽くした作者の著は、登山をするしないに関わらず、興味深く、人々のDNAに響く気がする
そして所々にある写真を見ないと、とても昭和20年代の内容と感じないのも不思議なのである…
そうか、時代が移り変わっても、山の真の姿みたいなものは不変なのか…⁉︎
さて、果たして計画は立てたが行けるだろうか…続きを読む投稿日:2020.07.26
第二次大戦直後に黒部川源流の山小屋を買い取ったら、山賊たちが主人然としていたので彼らに宿料を払った。
山賊たちは銃を持っており、山で行方不明になった人々がいるのは彼らのせいだという噂。
仔細がわかっ…てみると、山賊というよりはアルプスを熟知した猟師たちで、噂されていたことは誤解が多かった(もしくは立証できなかった)ので、彼らと5年ほど山小屋で生活を共にし、その後、昭和30年代半ばまでに山で経験したあれこれを書き記したという一冊。
「アルプスの怪」というのは、山賊たちのこともそうだし、佐々成政の埋蔵金を目当てにやって来る山師たち、さまざまな遭難事件、動物に化かされる話、そして妖怪や幽霊の話に聞こえるような話(疲労や標高などの理由で幻覚を見やすくなるのかな)、といった事柄を総称したもので、適切なサブタイトルなのである。
著者は工学者であって科学的な視点を持っていながらも、そういう内容になっているので「昭和の遠野物語」みたいな感じを受けた。
第一版は昭和39年で、絶版となった時期を経て復刊し、現在はヤマケイ文庫で入手しやすくなった。
それだけ根強い人気があるのは納得できる。とても面白い。続きを読む投稿日:2023.07.15
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。