ファイト・クラブ〔新版〕
チャック・パラニューク(著)
,池田真紀子(訳)
/ハヤカワ文庫NV
作品情報
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する――人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピット&エドワード・ノートン主演の映画化以後、創作の原点を著者パラニューク自らが明かしたあとがきと、アメリカ文学研究者・都甲幸治氏の解説を新規収録。
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商品情報
- シリーズ
- ファイト・クラブ〔新版〕
- 著者
- チャック・パラニューク, 池田真紀子
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫NV
- 書籍発売日
- 2015.04.15
- Reader Store発売日
- 2015.06.05
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (46件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
これはすごい。
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一世を風靡した”ファイト・クラブ”。
当時映画は観た記憶はある。
とんでもなくかっこいいブラッド・ピット、激しい暴力性のイメージが強烈なまでの印象を残している。
が、それ以外の物語の部分となるとほぼ忘却の彼方。
原作を本で読んだこともなかったし、チャック・パラニュークの名すら意識したこともなかった。
最近、『ファイト・クラブ』の作者が長い空白の時を経て新作を出したと聞き、この機会に読んでみるかと手に取った一冊。
まず、度肝を抜かれるのがその文体。
最初は何を言っているのかほぼ頭に入ってこない。
何やら精神に異常をきたしているのか、薬でトリップしてしまっているかのような支離滅裂さと急速な場面転換。
ただ、注意深く、というかちゃんと言葉を沁み込ませて読んでいくとギリギリ理解できる。
理解できてくると、そのぶっ飛び具合が逆にかっこいいとさえ思え、クセになる。
なんとも不思議な文体だ。
デイヴィット・ピースとかジェイムズ・エルロイなんかを彷彿とさせるが、彼らともまた一味違う。
著者あとがきを読むと完全に狙った結果のようにコメントしており、ものすごい技術だと感じた。
そして、この文体を新訳で見事に表現しているのが池田真紀子さん。
最高です。
物語性としても、これはこの世界観に憧れ、かぶれる輩が多く出てくるだろうと思うような中毒性のある陶酔感が半端ない。
不眠症に悩みながらサラリーマン生活を送り、そこそこの暮らしをしているものの今ひとつ生きている実感が薄い主人公。
迫り来る死と向き合うことでその空虚さを埋めることが出来ると気付き、病を詐称し、様々な病気の互助グループ通いをするが、そこで出会ったマーラ・シンガー。
彼女も自分と同じ詐病と確信する。
なぜなら、自分と同じく複数の互助グループで見かけるから。
彼女が居ると見透かされているようで互助グループの活動に没入できない。
何とかマーラと話を着けようと近づくが、あえなく交渉決裂。
そんな中、出会ったタイラー・ダーデンというカリスマ男。
最初はウェイター業の中で行うちょっと過激ないたずら(と言うには悪意ありすぎだが)と少人数での”ファイト・クラブ”の開催を共に行い、やや歪んだ方法で人生の彩りを取り戻して行くのだが、次第にエスカレートし、コントロールが効かなくなって行く。。。
”生”を実感するために繰り返す、正気とは思えない暴力、悪事の数々、狂乱。
ともすると、足を踏み入れてしまいそうになる危うさを牽引力とするカルト的でパンクな唯一無二の物語。投稿日:2023.05.09
このレビューはネタバレを含みます
私は野生を忘れた草食動物です。現代人に野生を取り戻させる圧巻の文学。
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「私はジョーの前立腺です」から始まる、私は〇〇です、が好きだ。この構文、ファイト・クラブ構文と言っても良いのではないだろうか。(…元ネタは雑誌みたいだけど)
ファイト・クラブの創設者、タイラーは「僕」のもう一つの人格だった、というところに何故気がつかなかったのだろうと思うほど、比喩やシーン転換が巧みだった。
そして、殴り合い、全身に怪我をしながらでないと到達できない境地。私たちはフィクションを通して、とても自分では体験できないあらゆる体験ができるのだが、この「ファイト・クラブ」の描写は、騒乱プロジェクトや、タイラーのキスなどは、私たちがどんなに賢ぶろうと、動物で、有機物で、暴力の本能を持ち、血を流し、汚物で世界を汚し、死ぬということを、これでもかと訴えてくる。私はジョーの荒れ狂う胆のうなのだ。
文明は、私たちを野生から遠ざけていく。本能に近い部分はより隠蔽され、私たちに刺激を与えるのはいつでも人工のものだ。それに抗うかのように、ファイト・クラブは、自らの肉体、血肉を使うことで、自分という人間と向き合う場なのだ。
頭に焼きついて、ファイト・クラブを、チャック・パラニュークの文章、世界を欲してしまう自分がいる。続きを読む投稿日:2023.11.01
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